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13,新しいクラスと制服デート
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入学式
新しい制服に腕を通し、髪を下に結んで前髪で目を少し隠し、伊達メガネをかける。あとはオマケにダサい&ブスに見えるおまじないをちょチョイっと。
学校までは、すぐ近くなので同じく梳かしていない髪に分厚い瓶底メガネをかけた海斗とタワマンの1階のラウンジで少し話して、登校する。
「今日は、着替えないで制服で遊びに行こうぜ。」
「良いけど……変装は解いてもいいよね?海斗の横にいるなら出来る限り可愛く居ないと……」
「そのつもりだ。」
「了解。」
私達は学校の近くまで来ると、繋いでいた手を離し、ちょっと距離をとる。
後ろ姿の海斗を追い掛けるように、ゆっくり歩く。
門を通ると、クラス表が出ていて見る。
………………
…………
海斗と一緒だ。
だいたい分かっていたことだけど嬉しい。
(なんでかって?私達……運がいいので……( ・´ー・`))
クラスを確認すると、案内に従って教室に行く。
…………あ~……あるわ。
ここの地下にダンジョン……
ここの地下だけ、異様な感じがするから。
私はそんな事を思いつつ、朝日奈という苗字の人の宿命なのか、出席番号が1番なので1番前の席に座る。
「えーと……おはようございます。まずは入学おめでとうございます。私はあなた達の担任になる雪関 萌(せつせき もえ)と言います。教科は主に数学を教えますので、よろしくね。」
20代後半の女の人が、挨拶する。
「この後、入学式をやってまたこの教室に帰ってくるから、自己紹介の内容考えておいてくださいね。」
やっぱりあるのか……なんと言ったら……
……うん、名前と挨拶でいっか。
私は退屈な入学式の間そんな事を考えて終わらせた。
「では、出席番号1番からどうぞ。」
私は、席を立ち上がり言う。
「朝日奈 冬紗です。1年間よろしくお願いします。」
そう言って座る。
パ、パチパチパチ……
そんな拍手がなる。
いや、そうだよね。
めっちゃ無難。
趣味とか好きな事とか他にも何かないの?と思うと思うよ?
まぁ、これでいいんだけど……
他の子達も挨拶をしていき、海斗の番になった。
「影山 海斗……です。」
そう言って座る海斗。
……そういう感じで行くのか~……難しいな……
私はパチパチパチと拍手してあとは適当に聞き流す。
「これから皆さんが購入してくださった教材を配ります。前に並べてあるので、買った人は名簿にチェックをして取って言ってください。」
そう言って、こちらの列の人どうぞと私の居る列が呼ばれたので、各自取って行った。
私達は、ダンジョン関連する物以外は教科書しか買っていなかった。
と言うか、教科書も本当は必要無かったが一応学生としてここに居るんだし……と言うことで私は取った教科書達に名前を書いていく。
『朝日奈 冬紗』
……
最初は違和感しか無かった今世の名前。
すっかり慣れてしまった。
思い出してから、12年経った
学生として数え切れないほどにこの名前を書いているのだから当たり前か……
「これから、1年間の大まかな予定表を配ります。その後、係や委員会の人達も決めて行くので何をやりたいか考えておいてね。」
そう言って配り始める先生。
手紙を見ると、これから起こる行事は…………え、20、21日オリエンテーション合宿がある……
……何やるの?
今日は、6日……2週間後……
ほんとに何やるの?
泊まり……でしょ?
え?
チラッと海斗の方を見たら、海斗は私の方を見ていた。
割と私と海斗の席は近い。
『あ』と『か』だから私の2つ後ろ。
『係決めどうする?やるか?』
『やらないかな。気配消して当てられないようにする。』
『了解。』
私は、『すんっ』と気配を消して完全に空気になる。
「まずは~……」
色々と委員会や係が決まっていく。
委員会や係やったら仕事とか海斗との一緒にいる時間とか減っちゃうもんね。
ある程度決まり、少し空いた時間が出来た。
「えーと……確か朝日奈さんだよね?手紙に書いてあったオリエンテーション合宿って何するんだろうね。」
私の隣に座る男子が話しかけてきた。
「……分からないけど、なにか協力するんでしょ」
私が冷たく言ってこれ以上話しかけてくんなって言う雰囲気を出す。
大抵の人はここで終わらせてくれるんだけど、どうやらこの男は違ったらしい。
「だよね~。何処に行くんだろう……あ、連絡先交換しない?」
凄い自然な流れを作る隣の男子。
「!!」
急に隣の男子が震えた。
「?? 今、凄い圧を感じたな……なんだったんだろう……?」
「何を言ってるのか知らないけど、交換しないから。話しかけて来ないで。」
「え~?そんな感じだと友達や彼氏とか出来ないよ?」
「友達はともかく彼氏はいるから余計なお世話。」
「え!そうなの?は~……朝日奈さん……磨けば光るだろうなと思ったのに……え?誰?この学校?」
だから話しかけんなって。
私は聞こえないふりをして、配られた教科書を見ることにする。
チラッと海斗の方を見ると海斗も男子に話しかけられてた。
海斗もか……
大変だね……
…………
あ!
女子まで……
いやでもこれぐらいはこれからもある筈だし……
……連絡先の交換まで!?
え?
それはちょっと悲しい……いや、海斗の事だから私口出しできないんだけど……ぬぬぬ……
「ね~……その彼氏ってあそこに居る?」
そう言って海斗を指す男子。
何指差しでんだよ。
まぁ、ガン無視するんだけど……
「黙ってるって事は当たりかなー?」
「…………何でそんなに話しかけてくんの?」
「え?あ~……俺ん家服飾や美容系の家系でさ、磨きがいありそうだな~って思って。」
「余計なお世話だから。私は今好きでこういう格好をしてるから良いの。他人と話すの面倒臭いから話しかけてこないでくれない?」
特に男子は。
はぁ……面倒臭い……
そう思っていると先生が話し出した。
「では、今日はこれで終わりです。部活動見学もしているので、見て回ってみるのもいいと思う。では、解散!」
そう言って教室を出る先生。
私は、受け取った手紙や教科書類をバッグに入れ、帰る。
後に海斗の気配もするから、ゆっくり歩いているとある程度学校から離れると、海斗が私の横に居た。
「どうだった?学校。」
「うーん……面倒臭いんだな……って。特に今日話しかけて来た男子。」
「あぁ……そう思っているなら良いや。」
?
「そういう海斗は?」
「俺は、ずっと黙ってた。合宿ってどうする?」
「変に隠れて目立ったらあれだし、素顔は2人一緒に居る時以外は見せないで普通に居よう。」
「了解。」
「あ、私海斗との関係隠すつもりは無いから。聞かれてないから答えない。これを通していくつもり。海斗と付き合っているのに、恥ずかしいことなんて無いもんね。」
「了解。俺も、聞かれたら……って事にしよう。」
「素顔は……私達2人で居る時じゃないと素顔を見せるのは不安だから……って事だからね。わかってる?海斗かっこいいんだからね?」
「わかってる、それは俺もだ。冬紗がさっき隣の男子に話し掛けられてて、凄い羨ましかった……」
「うぇ?!羨ましがるような会話はしないでいたよ?凄い話しかけんなって言ったもの。」
「だよな。聞こえた。あーあー……席替えがあったら自然に横になれるんだけどなぁ……」
「ほんとだねぇ……」
そんな事を言っているともうタワマンに着いてしまった。
「……思ったんだが、帰る必要なくね?これから出かけるんだから。」
「あ。」
フロアでそんな話をする。
私は、変装を解いておかしくないように鏡でチェックする。
……うん、大丈夫そう。
海斗も横で綺麗にしていて、制服のかっこいい海斗……破壊力満点だね☆
私達は、タワマンを出て何処に行くか話す。
「どこに行く?」
「あ~……」
……
……
「結構私達が行きたい所行ったもんね……」
「あぁ……」
……でも、デートはしたいと思う私たち……
「あ、せっかく高校生になったんだし、世の中の高校生達のやってる事やらない?」
「あ~……今は検索でもすれば出てくるもんな。良いよ。」
私は検索すると、『制服ディズニー』『制服でのデート』『2人の写真をSNSに上げる』『イチャイチャプリクラ』などなど……
沢山ある……
「えーと……今出来ることは……2人の写真をSNSに上げる……かな?あとは……ゲームセンターに行ってプリクラをとる……か……2つともやった事ないな……」
「とりあえず、アプリインストールするか……」
そう言って海斗は、有名なSNSアプリをダンロードしてくれた。
私もして、どんな写真を撮るのか検索したら普通に『何を食べたか』とか『どこどこへ行った』とかほっぺにチュウしてる写真とか……
「へ~……じゃあ、冬紗。ん。」
そう言って頬を差し出す海斗。
私は、ちょっと照れながら海斗のほっぺにチュウをする。
アカウントの名前は、【カイ】
じゃあ、私は……【トゥ】
これで、ふたつのアカウントに写真を上げる。
『彼氏と無事に高校生になれました~♪』
神脳内さんに、考えてもらってそのまんま上げる。
海斗の方を見ると、
『高校生になって初めての投稿。彼女が恥ずかしがって可愛い……』
……はっず。
電車に乗って、ゲームセンターに着くと携帯に通知が……
「早っ!……30分でもう、ハートとフォローが……」
「……こっちもだ……」
私は、調べながらプリクラの機械に行ってやり方を知る。
「ここで、イチャイチャのポーズを撮るみたいだよ?」
「なるほど……」
そう言って私達は、プリクラの機械の中に入る。
『撮るよー!3,2,1』
パシャ
私は海斗に抱き着いてニコってピースする。
『こんな感じだよ!』
そう言って画面に映される。
私が抱き締めた海斗は優しく微笑んでくれていて、凄いキュンとする……
『次に行くよー!3,2,1』
パシャ
次は海斗がポーズを決めてくれて、海斗は私の後ろに周り、後ろから抱き着いて私の頭に顎を乗せてきた。
……凄い……
高校生みたい……
いや、もう高校生か。
それから何枚か撮って、それがシールになった。
「おぉぉぉぉ……これが世の中高校生……」
「すげぇな……」
「うん……」
2人でまじまじと見たあと、笑い合いその後にご飯を食べに行く。
「おー……SNSには食べ物ものせるのか……」
「なるほど……」
この近くにいい感じの食事が出来る所ないかな……
「……あ、良いのあるみたいだよ?」
神脳内さんにおまかせだぜぇい☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ある夫婦の視点
「あなた……そろそろ閉め時かもしれないわ……」
「そんな事言わないでくれ……ここは親父の守ってきた店だからそうやすやすと閉める訳にも行かない……」
私達夫婦は、もう60を過ぎこの小さな喫茶店も客がもう見えない。
私も続けたいけど、お客様が見えなければやっていけない。
旦那も私もそろそろ腰やがん等心配になっていた。
そんなある日
「ここみたいだね。」
「へ~……」
外で話し声が聞こえたと思ったら、店の扉が開いた。
「い、いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ。」
もしかしたら最後のお客様になるかもしれない、若く綺麗な恋人さん達。
「あなた、お客様よ。」
「そうか……分かった。」
旦那は店の奥からカウンターまで出て行く。
「いらっしゃいませ。何に致しましょうか?」
「そうですね……ブラックと軽食をお願いします。おすすめので。」
「じゃあ、俺も。」
注文を聞き、私は軽食作りに励む。
あぁ……腰が痛い……
だけど、お客様や旦那の為だもの……頑張りなさい、私。
旦那がコーヒーを入れ、私はトーストのサンドイッチとスープを作る。
それらを出すと、輝いた目で見てくださるお客様。
その姿を見ているだけで、私達は満足です。
片付けに取り掛かっていると、ひとつ気がついた。
あら?腰の痛みが……
「わっ、美味しい……むぅ……参考になるな……」
「だな。また来るか。」
「だね~」
こんな古い場所にまた来て下さるの?
気のせいか、キラキラとお客様達が輝いて見える……
「ごちそうさまでした。」
そうおっしゃり、帰って行ったお客様。
私は旦那と話した。
「あなた……やっぱりお店、続けましょう?お客様がまた来ると仰られたのですから、あの恋人さん達にはまた来て欲しいわ。」
「だな……わしも、心なしか体が軽くなったような気持ちがするんだ。もう少し、続けていよう。」
それから数日後
あの恋人さん達は数日に1回通って下さり、その度に私達の身体と心は健康になっていくような気がした。
だけど、そんな事普通はありえない。
私達は定期的に病院に通っている。
「驚きました。奇跡です。がん細胞が全て消滅しています……」
「「え?」」
「それに、身体も健康そのもの……」
「ど、どういう事ですか?」
いつも担当してくだっしゃる先生にそう言われ、私達は驚きを隠せないでいた。
「私も不思議出なりません。……何か幸せな事や楽しい事がありましたか?」
「「え?」」
「時に幸せが運んできてくださる奇跡と言うのがあるのです。」
「奇跡……」
あの恋人さん達が私達に奇跡を運んでくださったのかもしれない……
私達の考えている事は同じだった。
「そうかもしれません……私達に奇跡を運んでくださった人達が居ます……」
私達は微笑んでそう言った。
今度来てくださった時は、サービスでなにかお礼をしなきゃ……
それから1ヶ月……半年……1年……
このお店は、ある程度常連さんが増え若い人達にもたまに来て下さる程お客様が増えた。
あの恋人さん達は、今もまだ来て下さり私達の店は大学を卒業した孫が継いでくれるようになった。
新しい制服に腕を通し、髪を下に結んで前髪で目を少し隠し、伊達メガネをかける。あとはオマケにダサい&ブスに見えるおまじないをちょチョイっと。
学校までは、すぐ近くなので同じく梳かしていない髪に分厚い瓶底メガネをかけた海斗とタワマンの1階のラウンジで少し話して、登校する。
「今日は、着替えないで制服で遊びに行こうぜ。」
「良いけど……変装は解いてもいいよね?海斗の横にいるなら出来る限り可愛く居ないと……」
「そのつもりだ。」
「了解。」
私達は学校の近くまで来ると、繋いでいた手を離し、ちょっと距離をとる。
後ろ姿の海斗を追い掛けるように、ゆっくり歩く。
門を通ると、クラス表が出ていて見る。
………………
…………
海斗と一緒だ。
だいたい分かっていたことだけど嬉しい。
(なんでかって?私達……運がいいので……( ・´ー・`))
クラスを確認すると、案内に従って教室に行く。
…………あ~……あるわ。
ここの地下にダンジョン……
ここの地下だけ、異様な感じがするから。
私はそんな事を思いつつ、朝日奈という苗字の人の宿命なのか、出席番号が1番なので1番前の席に座る。
「えーと……おはようございます。まずは入学おめでとうございます。私はあなた達の担任になる雪関 萌(せつせき もえ)と言います。教科は主に数学を教えますので、よろしくね。」
20代後半の女の人が、挨拶する。
「この後、入学式をやってまたこの教室に帰ってくるから、自己紹介の内容考えておいてくださいね。」
やっぱりあるのか……なんと言ったら……
……うん、名前と挨拶でいっか。
私は退屈な入学式の間そんな事を考えて終わらせた。
「では、出席番号1番からどうぞ。」
私は、席を立ち上がり言う。
「朝日奈 冬紗です。1年間よろしくお願いします。」
そう言って座る。
パ、パチパチパチ……
そんな拍手がなる。
いや、そうだよね。
めっちゃ無難。
趣味とか好きな事とか他にも何かないの?と思うと思うよ?
まぁ、これでいいんだけど……
他の子達も挨拶をしていき、海斗の番になった。
「影山 海斗……です。」
そう言って座る海斗。
……そういう感じで行くのか~……難しいな……
私はパチパチパチと拍手してあとは適当に聞き流す。
「これから皆さんが購入してくださった教材を配ります。前に並べてあるので、買った人は名簿にチェックをして取って言ってください。」
そう言って、こちらの列の人どうぞと私の居る列が呼ばれたので、各自取って行った。
私達は、ダンジョン関連する物以外は教科書しか買っていなかった。
と言うか、教科書も本当は必要無かったが一応学生としてここに居るんだし……と言うことで私は取った教科書達に名前を書いていく。
『朝日奈 冬紗』
……
最初は違和感しか無かった今世の名前。
すっかり慣れてしまった。
思い出してから、12年経った
学生として数え切れないほどにこの名前を書いているのだから当たり前か……
「これから、1年間の大まかな予定表を配ります。その後、係や委員会の人達も決めて行くので何をやりたいか考えておいてね。」
そう言って配り始める先生。
手紙を見ると、これから起こる行事は…………え、20、21日オリエンテーション合宿がある……
……何やるの?
今日は、6日……2週間後……
ほんとに何やるの?
泊まり……でしょ?
え?
チラッと海斗の方を見たら、海斗は私の方を見ていた。
割と私と海斗の席は近い。
『あ』と『か』だから私の2つ後ろ。
『係決めどうする?やるか?』
『やらないかな。気配消して当てられないようにする。』
『了解。』
私は、『すんっ』と気配を消して完全に空気になる。
「まずは~……」
色々と委員会や係が決まっていく。
委員会や係やったら仕事とか海斗との一緒にいる時間とか減っちゃうもんね。
ある程度決まり、少し空いた時間が出来た。
「えーと……確か朝日奈さんだよね?手紙に書いてあったオリエンテーション合宿って何するんだろうね。」
私の隣に座る男子が話しかけてきた。
「……分からないけど、なにか協力するんでしょ」
私が冷たく言ってこれ以上話しかけてくんなって言う雰囲気を出す。
大抵の人はここで終わらせてくれるんだけど、どうやらこの男は違ったらしい。
「だよね~。何処に行くんだろう……あ、連絡先交換しない?」
凄い自然な流れを作る隣の男子。
「!!」
急に隣の男子が震えた。
「?? 今、凄い圧を感じたな……なんだったんだろう……?」
「何を言ってるのか知らないけど、交換しないから。話しかけて来ないで。」
「え~?そんな感じだと友達や彼氏とか出来ないよ?」
「友達はともかく彼氏はいるから余計なお世話。」
「え!そうなの?は~……朝日奈さん……磨けば光るだろうなと思ったのに……え?誰?この学校?」
だから話しかけんなって。
私は聞こえないふりをして、配られた教科書を見ることにする。
チラッと海斗の方を見ると海斗も男子に話しかけられてた。
海斗もか……
大変だね……
…………
あ!
女子まで……
いやでもこれぐらいはこれからもある筈だし……
……連絡先の交換まで!?
え?
それはちょっと悲しい……いや、海斗の事だから私口出しできないんだけど……ぬぬぬ……
「ね~……その彼氏ってあそこに居る?」
そう言って海斗を指す男子。
何指差しでんだよ。
まぁ、ガン無視するんだけど……
「黙ってるって事は当たりかなー?」
「…………何でそんなに話しかけてくんの?」
「え?あ~……俺ん家服飾や美容系の家系でさ、磨きがいありそうだな~って思って。」
「余計なお世話だから。私は今好きでこういう格好をしてるから良いの。他人と話すの面倒臭いから話しかけてこないでくれない?」
特に男子は。
はぁ……面倒臭い……
そう思っていると先生が話し出した。
「では、今日はこれで終わりです。部活動見学もしているので、見て回ってみるのもいいと思う。では、解散!」
そう言って教室を出る先生。
私は、受け取った手紙や教科書類をバッグに入れ、帰る。
後に海斗の気配もするから、ゆっくり歩いているとある程度学校から離れると、海斗が私の横に居た。
「どうだった?学校。」
「うーん……面倒臭いんだな……って。特に今日話しかけて来た男子。」
「あぁ……そう思っているなら良いや。」
?
「そういう海斗は?」
「俺は、ずっと黙ってた。合宿ってどうする?」
「変に隠れて目立ったらあれだし、素顔は2人一緒に居る時以外は見せないで普通に居よう。」
「了解。」
「あ、私海斗との関係隠すつもりは無いから。聞かれてないから答えない。これを通していくつもり。海斗と付き合っているのに、恥ずかしいことなんて無いもんね。」
「了解。俺も、聞かれたら……って事にしよう。」
「素顔は……私達2人で居る時じゃないと素顔を見せるのは不安だから……って事だからね。わかってる?海斗かっこいいんだからね?」
「わかってる、それは俺もだ。冬紗がさっき隣の男子に話し掛けられてて、凄い羨ましかった……」
「うぇ?!羨ましがるような会話はしないでいたよ?凄い話しかけんなって言ったもの。」
「だよな。聞こえた。あーあー……席替えがあったら自然に横になれるんだけどなぁ……」
「ほんとだねぇ……」
そんな事を言っているともうタワマンに着いてしまった。
「……思ったんだが、帰る必要なくね?これから出かけるんだから。」
「あ。」
フロアでそんな話をする。
私は、変装を解いておかしくないように鏡でチェックする。
……うん、大丈夫そう。
海斗も横で綺麗にしていて、制服のかっこいい海斗……破壊力満点だね☆
私達は、タワマンを出て何処に行くか話す。
「どこに行く?」
「あ~……」
……
……
「結構私達が行きたい所行ったもんね……」
「あぁ……」
……でも、デートはしたいと思う私たち……
「あ、せっかく高校生になったんだし、世の中の高校生達のやってる事やらない?」
「あ~……今は検索でもすれば出てくるもんな。良いよ。」
私は検索すると、『制服ディズニー』『制服でのデート』『2人の写真をSNSに上げる』『イチャイチャプリクラ』などなど……
沢山ある……
「えーと……今出来ることは……2人の写真をSNSに上げる……かな?あとは……ゲームセンターに行ってプリクラをとる……か……2つともやった事ないな……」
「とりあえず、アプリインストールするか……」
そう言って海斗は、有名なSNSアプリをダンロードしてくれた。
私もして、どんな写真を撮るのか検索したら普通に『何を食べたか』とか『どこどこへ行った』とかほっぺにチュウしてる写真とか……
「へ~……じゃあ、冬紗。ん。」
そう言って頬を差し出す海斗。
私は、ちょっと照れながら海斗のほっぺにチュウをする。
アカウントの名前は、【カイ】
じゃあ、私は……【トゥ】
これで、ふたつのアカウントに写真を上げる。
『彼氏と無事に高校生になれました~♪』
神脳内さんに、考えてもらってそのまんま上げる。
海斗の方を見ると、
『高校生になって初めての投稿。彼女が恥ずかしがって可愛い……』
……はっず。
電車に乗って、ゲームセンターに着くと携帯に通知が……
「早っ!……30分でもう、ハートとフォローが……」
「……こっちもだ……」
私は、調べながらプリクラの機械に行ってやり方を知る。
「ここで、イチャイチャのポーズを撮るみたいだよ?」
「なるほど……」
そう言って私達は、プリクラの機械の中に入る。
『撮るよー!3,2,1』
パシャ
私は海斗に抱き着いてニコってピースする。
『こんな感じだよ!』
そう言って画面に映される。
私が抱き締めた海斗は優しく微笑んでくれていて、凄いキュンとする……
『次に行くよー!3,2,1』
パシャ
次は海斗がポーズを決めてくれて、海斗は私の後ろに周り、後ろから抱き着いて私の頭に顎を乗せてきた。
……凄い……
高校生みたい……
いや、もう高校生か。
それから何枚か撮って、それがシールになった。
「おぉぉぉぉ……これが世の中高校生……」
「すげぇな……」
「うん……」
2人でまじまじと見たあと、笑い合いその後にご飯を食べに行く。
「おー……SNSには食べ物ものせるのか……」
「なるほど……」
この近くにいい感じの食事が出来る所ないかな……
「……あ、良いのあるみたいだよ?」
神脳内さんにおまかせだぜぇい☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ある夫婦の視点
「あなた……そろそろ閉め時かもしれないわ……」
「そんな事言わないでくれ……ここは親父の守ってきた店だからそうやすやすと閉める訳にも行かない……」
私達夫婦は、もう60を過ぎこの小さな喫茶店も客がもう見えない。
私も続けたいけど、お客様が見えなければやっていけない。
旦那も私もそろそろ腰やがん等心配になっていた。
そんなある日
「ここみたいだね。」
「へ~……」
外で話し声が聞こえたと思ったら、店の扉が開いた。
「い、いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ。」
もしかしたら最後のお客様になるかもしれない、若く綺麗な恋人さん達。
「あなた、お客様よ。」
「そうか……分かった。」
旦那は店の奥からカウンターまで出て行く。
「いらっしゃいませ。何に致しましょうか?」
「そうですね……ブラックと軽食をお願いします。おすすめので。」
「じゃあ、俺も。」
注文を聞き、私は軽食作りに励む。
あぁ……腰が痛い……
だけど、お客様や旦那の為だもの……頑張りなさい、私。
旦那がコーヒーを入れ、私はトーストのサンドイッチとスープを作る。
それらを出すと、輝いた目で見てくださるお客様。
その姿を見ているだけで、私達は満足です。
片付けに取り掛かっていると、ひとつ気がついた。
あら?腰の痛みが……
「わっ、美味しい……むぅ……参考になるな……」
「だな。また来るか。」
「だね~」
こんな古い場所にまた来て下さるの?
気のせいか、キラキラとお客様達が輝いて見える……
「ごちそうさまでした。」
そうおっしゃり、帰って行ったお客様。
私は旦那と話した。
「あなた……やっぱりお店、続けましょう?お客様がまた来ると仰られたのですから、あの恋人さん達にはまた来て欲しいわ。」
「だな……わしも、心なしか体が軽くなったような気持ちがするんだ。もう少し、続けていよう。」
それから数日後
あの恋人さん達は数日に1回通って下さり、その度に私達の身体と心は健康になっていくような気がした。
だけど、そんな事普通はありえない。
私達は定期的に病院に通っている。
「驚きました。奇跡です。がん細胞が全て消滅しています……」
「「え?」」
「それに、身体も健康そのもの……」
「ど、どういう事ですか?」
いつも担当してくだっしゃる先生にそう言われ、私達は驚きを隠せないでいた。
「私も不思議出なりません。……何か幸せな事や楽しい事がありましたか?」
「「え?」」
「時に幸せが運んできてくださる奇跡と言うのがあるのです。」
「奇跡……」
あの恋人さん達が私達に奇跡を運んでくださったのかもしれない……
私達の考えている事は同じだった。
「そうかもしれません……私達に奇跡を運んでくださった人達が居ます……」
私達は微笑んでそう言った。
今度来てくださった時は、サービスでなにかお礼をしなきゃ……
それから1ヶ月……半年……1年……
このお店は、ある程度常連さんが増え若い人達にもたまに来て下さる程お客様が増えた。
あの恋人さん達は、今もまだ来て下さり私達の店は大学を卒業した孫が継いでくれるようになった。
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神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
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彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
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久しぶりの投稿ありがとうございます!!
楽しみ待ってました!
新たな更新また楽しみに待ってます!(o・・o)/~
続編待ってました!
カイルも菜々葉も変わってなくて面白いです!社長さんも苦労されてて大変ですねwww楽しみが増えました!