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暗殺者さん

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「あ、あ、た、助けてくださってありがとうございます!!」

もの凄いどもりながらお礼を言った。

「え?あぁ。大丈夫ですけど……さっきのは?」

あ、掘り返されちゃうパターンですか~……

そうですか~……

「申し訳ございません!!いえ、思ってしまった事をつい言ってしまっただけなので、どうぞお気になさらず……」

私は、顔が熱くなりながらも言い切った。

「クックッ…………そういう事か……良いな。」

い、良いなって……



でも、何か違う事に納得してない?



「名前は?」

な、名前……

「……私に名前をつけて下さいませんか?」

ルーナリア・フォルテーナ

 それが今世の名前だったけど、それは公爵家の長女だった頃の名前。

嫌な記憶は名前と共に捨てちゃおう作戦だ!

「名前か……」

彼は私を食い入るように見つめ言った。

「ミラ……」

ミラ……うん。良いな……

「ミラ……ですか?」

「昔の神話で不思議なるものと言うらしい。お前は攫われてきた貴族の娘なのに目の前で人を殺したのを感じているはずなのにそんな事を言う奴にピッタリだなって。」

「あ。」

 そうだ、彼は私を攫っていた人達を殺していたんだった。

よく見ると、下に転がっている二つの死骸。

「あんな人達を殺せるなんて強いんですね~」

そういう所も素敵です。

「は?」

「え?」

「他になにか思うことないのか?」

「えぇ?!何故分かったんです?!確かにそう言う見かけによらずとても強いんだな~素敵だな~って思いましたけども?!」

エスパーか何かなのかなっ?!

「素敵……か。いや、普通なら死体を見てビビるもんだろ。」

あれ?口調がなにか崩れてきた?

これが素なのかな?

良いですね~……

「惚れた者の弱みって奴です。」

私は、彼の瞳を真っ直ぐに見つめる。

あぁ……カッコイイ……

 夜空に浮かぶ星のような暗闇で光るかのような瞳に私は吸い込まれそうで、でもそんな瞳も素敵で心臓がとても痛い。

「ふっ…………まじで惚れてるのか?」

「はい!」

即答に決まっているよね!

 なんと言うか、恋愛感情と推し愛が混ざってる感じ?

この世界がゲームだって知っているからかな?

凄い自分の気持ちに素直になれる。

「良いな……ミラ、この後はどうするつもりなんだ?」

「はい!この後は、質屋に行ってこの趣味の悪いゴテゴテ達を売ってそのお金でしばらくは生活しようと企んでいたんですが、攫われてしまったのでどうしようか悩んでいた所です!」

「は?!ミラ、お前……貴族の令嬢だろ?」

「はい!今日やっとめでたく追放されました!」

「何やったんだ……」

呆れながら、聞いてくる彼。

勿論素直に答えます!

「妹が居たんですけど、嵌められそうだったので、それを利用して自由になろうかと逆に利用してきました!」

「はぁ?」

「妹はまんまと嵌ってくれたと思っているようでお互いウィン・ウィンの関係ってやつですね!」

「………………うん。まぁ、良かったな。」

「はい!」

 なんて声を掛けようか悩んで末に褒めてくれました!

 ……やばいです……この方と一緒に居ると令嬢だった頃と全く別人になりそうです……

「もし、良かったらだが……俺に着いてこねぇ?」

「はい!」

これも即答ですね。

 好きな人が私に手を差し伸べてくれるなら取らない手はありません!
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