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アガネスト帝国王立魔法学園

カイルside

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「どういう流れでなったんですか!?」 

「それはね~?カイル君が勇者の話で奈々葉ちゃんが凄い怖がっていたでしょ~?
 それを聞きたくてカイルが奈々葉ちゃんを呼び出したんだけど、奈々葉ちゃんは話すには私達の事バレちゃうじゃない?
 だから、人間って汚れてる人が多いいから戻れなくなるよ?って聞いていたのよ~ 
 だって、誰かにばらした瞬間に私達が消しちゃうんだから。
 それでもいいって言うカイル君に奈々葉ちゃんがなんでそこまで言ってくるの?って聞いて、カイルからの告白よ~
 ほんとに手が早いわ~」

手が早いって……

 いや、グズグズしてたら奈々葉取られるだろ。

 奈々葉の事が好きなら当然の事だけどな。

「答えを聞けなかったとしても、意識はして貰えるだろ?」

まぁ、告白は成功で終わったけどな

「……流石、俺様肉食系……手が早いってものじゃないわ~」

「で~……知っての通りに奈々葉ちゃんは同じくカイル君が好きでしょ?だけど、カイル君は『変化』していた奈々葉ちゃんに告白したのよ~だから元の姿になってからもう一度告白してもらって~……そっからは、今の2人の状態なのよ☆」

「では、何故殿下がこちらに?」

 使用人の1人が聞くと、今まで顔を赤くしていた奈々葉が真顔になる。

「大事な大事な奈々葉ちゃんとの初々しい告白現場をこの人間が見ていたのよ。こういう現場に私が居ないわけないのにね~?ほんと、奈々葉ちゃんの守護対象じゃなかったら、奈々葉ちゃんにも伝えずに、消している所だったわ。」 
 
皆驚いて、ターゲットの方を見る。

「では、殿下は姉様がカイルに話した全てを知ってしまったって事ですか?」

「そうね~……付け足して言うと、もう面倒くさくなって任務の事は極秘って言われてないから、聞かれていい程度の事はカイル君に説明するついでに聞いてもらったわ。ルーデリアちゃん、あなたの事も少し……」

「「「「「「「!?」」」」」」」

「あ、待って、転生者としか2人は知らないから!……よ~く考えてみて?断罪はもっと免れると思わない?!」

断罪?


「……あ、そうなの?……奈々葉ちゃんのお仲間6人だけじゃなくて私を呼んだのって……」

「いやいやいや、仲間だって思っているよ?ただ、付け足しでそういう事もあったって言うのも知って欲しくて……」

「……」

「……」

「……」

「……」

奈々葉がだんだん泣きそうな顔になってくる。

「……プッ!あははっ!ごめんごめん。わかってるよ、からかってごめんね。」

「……!もう」

「 ……で、何~?この世界の話を殿下達が居る前で話しちゃうの?……ってそもそも、この綺麗な女の人だれ?」

紹介してなかったんだな。

「はいは~い!ルーデリアちゃん!私はアフロディナって言うのよ~♪奈々葉ちゃんの姉だからよろしくね♡」

「へ~奈々葉の姉…………え?!ってことは、女神様!?」

「ピンポンピンポン、だいせいかーい!ある程度話は聞いていたでしょ?」

「は、はい!あのっ、お会いできて光栄です!妹の奈々葉ちゃんには思い出してからすっごく良くしてもらってて、どうか私も仲間に入る事をお許しくださいっ!」

「ん~私達神はそんなに数は要らないんだけど~あ、カイル君以外奈々葉ちゃんについて行きたい人は天使にでもなれば行けるんじゃないかしら~?!」

 あ、俺は奈々葉と一緒にって事で神決定なんだな。

と言うか、ぜってえこの7人は天使になるだろ。

「「「「「「「良いんですか?!」」」」」」」

「天使達はいくら居ても足りないからね~主の仕事は私達のお世話と、輪廻転生の決め事なのよ?あなた達にはピッタリ~!」

輪廻転生……?

「……ねぇ、一緒に居られるのは嬉しいんだけど、窓の外を見て?もう真っ暗だよ?!」

「「「「「「「「あ、」」」」」」」」



気付かなかった。

「殿下、この事はご内密にお願いしますね?陛下にもダメですよ?もし、誰かに話でもしたらどうなるんでしょうね?話の続きはまた明日お話しますので。では、ごきげんよう。」

 奈々葉はナナの姿になり、ターゲットをサラリと脅して挨拶をした。

「俺は、どうしようか。」 

「カイルは~……」

「アパートに連れてきちゃお~!」

「え?どうやって?私達女子寮と男子寮別々だよ?」

「そんなの、私が呼び出しちゃえば、ちょちょいのちょいよ~♪」

まじか?

「……神か?」

「神よん☆」

婚約者と姉さんがふざけてる。

「では、また。ご機嫌よう。」

「……ご機嫌よう、殿下。カイル様。」

「「ご機嫌よう。」」

「「「「「失礼します。」」」」」

「じゃあね~♪」

 そう言って奈々葉達は出て行く。

「……それじゃぁ帰るか?」

「いや、この状況でよく言えるね?!」

「だって俺はこの後説明してもらえるみたいだしな。」

「はぁ……そうだったね。私も疲れたよ。帰ろう。」

「了解っ」

そして、男子寮の自分の部屋に戻ると

「カイル君、おいでませ~♪」

との声が。

するといきなり地面に足が沈み、気付いたら


ゴンッ



そんな音をたててで俺は尻もちついていた。

「いって」

「あら~」

「ちょ、大丈夫?」

「あ?あぁ。ここは……?」

 俺はキョロキョロと辺りを見回すが知らない場所だ。

「ここは、おじいちゃんから貰ったアパートの食堂……まぁ、私達の家かな……?」 


おじいちゃん……?まだ居るのか……


「……あ~さっき言っていたやつか……」

「うん、ようこそ。」

 奈々葉は座っている俺に手を差し出して起こしてくれた。

「さ~て、とりあえず皆お風呂入ってご飯食べない?お姉ちゃん、奈々葉ちゃんの手料理食べたいのよ~」

風呂?

貴族が住むようなとこしかないやつか?

……あ、俺の彼女女神の妹だったわ。

「え?うん、良いけど……その前に……」

奈々葉は使用人の方をむいて言った。

「シン、トリス。カイルの着れる変えの洋服ってありそう?」

「大丈夫です。色々なサイズの服がありましたので、その中に着れるものは何着かあるかと。」

「私どもが着てない服の方が多いいので、カイル様に選ばせてもいいかと。」

服……?

借りていいのか?

何か、申し訳なさが少し感じる。


「じゃあ、シンはカイルを連れて服や下着を選ばせて。トリスは……あ~どこで寝ようか……」

「また、205号室で皆で寝たらいいんじゃない?」

「あ~……じゃあトリスはネルトと一緒に私達の布団11人分……はギリ入るか……の用意して貰える?」

「「「かしこまりました。」」」

 そう言った使用人は俺について来いと目配りをする。

 俺は素直について行き、扉を開けるとそこは黒い空間が広がっていた。

「ここ、どうなっているんだ?」

「さぁ?知りませんが、奥に行き過ぎると戻って来れなくなるから辞めた方が良いと言われております。」

「ほんとに、これは現実か?これで夢だったら流石に俺も傷付くぞ?」

「良かったですね。夢ではありませんよ。」

 俺らは、ドアがいくつも並んだ廊下のような場所を歩く。

「こちらを上がってください。」

そう言って階段を上がっていく使用人。

へ~2階もあるんだな……

2階も1階と同じでいくつもの扉があった。

使用人はそのうちの一つの扉を開け、入る。

「こちらです。」

 中に入ると、靴を脱がされ変な形の靴……スリッパって言うらしい。それを履かされて、ひとつの部屋に入った。

 そこには、ベットが1つと机、ソファ、クローゼットがあり、こいつの部屋だと分かった。

「ここからお好きなのをお選びください。」

そう言ってクローゼットを指す。

 俺はクローゼットを開けると明らかに見た目と違う空間があった。

「お、おい、おかしくね?これ……入ってる量……もはやこれ一つでひとつの部屋じゃねぇか。」

「ここは、そんなおかしくね?って言うもので溢れていますから。どうぞ、好きなのをお選びください。」

それを聞いて、クローゼット?の中を見る。

 中に入ると変なマークが大きく書かれている所にそれぞれの大きさの服が揃えられていた。

「ん~……わかんねぇわ。適当に俺に合うやつ探してくんないか?」

「かしこまりました。」

 そう言って、サッと持ってきたのは黒い上質なシャツと見たことの無い素材のズボンだった。(下着系は捜索しないでくれ)

「おー?見たことの無い素材だな?」

「ご主人様の世界の服だそうです。」

「へ~奈々葉の……了解。じゃあこれにするわ。」

「着替え方は分かりますか?」

「おぅ……だいたい一緒みたいだからな。」

「では、行きましょう。」

 そしてさっきの道を通り、奈々葉達がいた部屋に入る。

「お……お姉様……涙が止まりません……ふぇぇ……」

「あ~あるあるだねー。大丈夫?目をタオルで拭いて私のソースと種作りを交換しようか?」

「……お願いします……」

「お姉ちゃん、大丈夫ー?」

「一生の不覚です……」

「いや、大袈裟すぎ……」

 な、奈々葉……が、エプロン姿でご飯を作っている!

……やばい……俺、奈々葉と二人暮ししたらどれだけ奈々葉を襲っちゃうのかわからん…… 

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