短い思想の物語

アサツキ ホシナ

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月の笑い者

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月に自我あるとしよう

しかし、体も頭もない一つ大きな目玉を想像する

だとしたら、人間は常に観察され

月の笑い者にされているにちがいない

月からすれば「ヒト」という一括りの生命体である

しかし、「ヒト」の個体差がありすぎて全くの別の生命体と錯覚する

色んなヒトがいる

優しいヒト、悲しいヒト、怒るヒト、寂しいヒト

良くしゃべるヒト、全くしゃべらないヒト

助けるヒト、助けないヒト、助けられないヒト

月はこう思うだろうか

「感情を全て足し合わせて、均等に分割すればちょうどいいではないか」

そして、こうも思うだろう

「しかし、それでは、私は何を見て笑えばいいのだろうか」

月からすればどんなヒトも笑い者で

どんなヒトも見応えのある生命体であろう

そんな月も何者かに観察されていると思うと

誰かの笑い者、なんだか可笑しい

誰かに笑われるのが笑い者ならば

誰かに泣かれるのが泣かれ者

誰かに怒られるのが怒られ者

誰かに喜ばれるなら喜ばれ者

きっと全てのヒトがその全ての要素をもっているだろう
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