17 / 48
第17話:ウォルトン家のメイド9(グレース視点)
――グレース視点――
毎日行われる恐ろしい王妃教育の午前の部が終わり、満身創痍の状態で部屋に戻ってくると、私はベッドの上に倒れこんだ。
王妃教育の鬼ババア……本当に怖いわ。あれは間違いなく人間じゃないもの。人の形をした鬼よ。私が王妃になったら、反対を押しきってでもクビにしないと。
メイド長のババアも怖いのよね、と思っていると、うちの使えない捨て駒メイドがやってきた。
私のメイドとして付き添いをさせてあげているのに、王城の仕事で手一杯のポンコツメイド。これくらいの人材ならいくらでも代わりがいるし、早めに処分することも検討している。
次のメイドは、黒い髪の娘にしようかな。私の部屋の模様替えを担当した娘も、最初はシャルロットみたいな黒髪で腹が立ったけど、ああいう娘をいじめるのは気分が良さそうだもの。
まあ、今はこの捨て駒メイドの相手をしてあげないと。
「グレース様、少しお話が……」
「どうしたの? またあのババア……メイド長が何かしてきたの?」
「いえ、実はレオン王子の誕生日パーティーの件なんですが、元婚約者であるシャルロット様が派手なドレスを着てくる予定とのことです」
「あの女が、派手なドレスを……?」
どういうことかしら。一国の王子の誕生日を祝う席で、主役よりも目立つつもり? どんな席でも地味でシックな服装ばかり着る陰険一族なのに、派手なドレスなんて意味がわからないわ。
婚約破棄してから随分と静かだし、何を考えているのよ。堅物女め。
まさかとは思うけれど、この捨て駒メイドが私を陥れようなんて考えるはずはないわよね。一応、用心をしておいた方がいいかもしれないわ。
「メイドのあなたが、その情報をどこで手に入れたの? ローズレイ家と接触する機会はないわよね」
「も、もちろんです。グレース様もご存知の通り、旦那様からの指示を受けて、夜の街に出ていますよね。その時にドレス屋の店主が言っておりました。珍しくローズレイ家が派手なドレスでパーティーに出る、と」
なるほどね。それなら信憑性が高いかもしれないわ。
シャルロットが派手なドレスを着ているところは見たことがないし、ローズレイ家が持っているとは思えない。特注して作成する必要があり、時間的にも誕生日パーティーにギリギリ間に合うはず。
ローズレイ家は奇策に出たみたいね。
捨て駒にしては十分な働きだわ。でも、念には念を入れるべきよ。ドレス屋に信頼できる人間を派遣して、正しい情報を仕入れないと。
「とてもいい情報ね、嬉しいわ。でもね、あなたを疑うわけじゃないけど、他の人をドレス屋に派遣して、事実確認を進めるわね。本当に疑っているわけじゃないのよ。あなたがとても優秀なメイドだとわかっているもの」
本当は名前も知らないし、優秀だと思ったこともないけどね。
「……ありがとうございます。グレース様にそうおっしゃっていただけて、光栄に思います」
「わかってくれて嬉しいわ。正しい情報なら、お父様もお喜びになると思うの」
まあ、あなたが手柄を得ることはないわ。メイドの手柄は、私の手柄になるんだもの。
***
その日の夜、私はウォルトン家の屋敷の一室で、久しぶりに赤ワインを飲んでいた。
王妃教育期間中はアルコール類が禁止なんて、誰が作ったルールなのよ。本当にしょうもないルールだわ。いつまでも古くさい仕来たりに縛られたままでは、国が落ちぶれるだけね。
「うふふふ。とてもおいしいわ。やっぱり赤ワインと男は、良いものを選ばないとね」
ハイペースで飲み進めた私が赤ワインを一本開ける頃、ちょうど良い男がやってきた。王城にはいない、若くて甘~い匂いのする執事が。
「グレースお嬢様。例の件、どうやら事実のようです」
「そう。たまには捨て駒も役に立つことがあるのね。あの女が派手なドレスなんて……フッ、似合わなすぎて笑っちゃうわ」
今まで沈黙を守ってきたシャルロットが、まさか元婚約者の誕生日パーティーで反撃ののろしを上げようとするとは、考えてもいなかった。
王城で開かれる緊急会議を見る限り、まだローズレイ家の芽は摘めていない。パーティーはローズレイ派の人ばかり参加するし、下手をしたら、反撃の余地を与える可能性もある。
意表を突く鋭い手よ、シャルロット。でも、詰めが甘かったわね。
今でもあの時のような生意気なことが言えるのかしら。必ず裁きを与えに来るわ、なーんて、本当にくだらない。
ドレスの情報が手に入るだけでも、シャルロットの思惑が簡単にわかるんだもの。
煌びやかな服装がメインのウォルトン家に対して、派手なドレスでシャルロットが登場すれば、私の面目は丸つぶれ。おまけに普段は見せない派手なドレスを着ることで、敵の思い通りにはならないと、ローズレイ派を鼓舞しようと考えたに違いない。
ウォルトン家と正々堂々ドレス対決で戦おうとするあたり、昔から変わらないわね。まあ、おバカなところが、だけど。
「どんなドレスか調査は済んだ?」
「はい。今までのローズレイ家を一新するようなドレスとのこと。すでに完成図を入手しました」
完成図を受け取った私は、思わずフンッと鼻で笑ってしまった。
バラの花を活かした真っ赤なドレス、ね。今頃になって、あの無愛想な王子に情熱な気持ちをアピールするつもりかしら。
珍しくミニスカートのデザインにして、随分と頑張るみたいだけど。数少ない色気を出して振り向いてもらいたいなんて、必死すぎるわ。もう……意外に純愛だったのね、シャルロットちゃん。
「さすがね。捨て駒と違って、良い働きをしてくれるわ。じゃあ、私のドレスは……もっと王妃に相応しいものにしようかしら。うふふふ」
無愛想な王子のハートをわしづかみにして、シャルロットを黙らせるドレス。この対決で圧倒して、ローズレイ派を一気に黙らせてあげましょうか。
そして、最後の仕上げに、シャルロットが指を加えてるところで、ちょっとした大人の遊戯でも見せてあげるの。あの堅物女がどんな顔で悔しがるのか、本当に楽しみなパーティーになりそうだわ。
こんな楽しい日はもっと赤ワインを飲んで気持ちよくなるべきね、そう思っていると、執事に赤ワインを没収されてしまう。
「グレースお嬢様、飲みすぎです」
「たまにはいいじゃない。久しぶりに赤ワインを飲むのよ」
「明日、王城でお酒が残っているとバレたら、大変な目に遭います。お控えください」
「ちぇ、つまらないわね。まあいいわ。ちょうどおいしそうなデザートがあるんだもの」
チョンッと人差し指で執事の唇を触り、今日のデザートが何かを伝えてあげると、早くも執事は顔を真っ赤にしていた。
「お気持ちは嬉しいのですが、もう少し慎みをお持ちください。あなたは偉大なる聖女なのですから」
何度か体を交えただけで恥じらうなんて、本当においしそうな男ね。あぁ~、どうしよう。こういう男を絶望の淵に突き落とした時、最高に気持ちいいのよね。
今日で使い潰しちゃおうかなー。お酒を没収する悪い子には、お仕置きが必要だもの。
無愛想な王子を誘惑しなければならないストレスと、久しぶりのアルコールで自分の欲望が止められそうにない。ただでさえ、シャルロットの悔しがる顔を思い浮かべるだけで気持ちいいのだから。
恥じらう執事を無理やりベッドに押し倒し、手足を押さえつけるようにマウントを取る。
「赤ワインを没収した責任、ちゃ~んと体で取りなさい。心が壊れても知らないけどね」
毎日行われる恐ろしい王妃教育の午前の部が終わり、満身創痍の状態で部屋に戻ってくると、私はベッドの上に倒れこんだ。
王妃教育の鬼ババア……本当に怖いわ。あれは間違いなく人間じゃないもの。人の形をした鬼よ。私が王妃になったら、反対を押しきってでもクビにしないと。
メイド長のババアも怖いのよね、と思っていると、うちの使えない捨て駒メイドがやってきた。
私のメイドとして付き添いをさせてあげているのに、王城の仕事で手一杯のポンコツメイド。これくらいの人材ならいくらでも代わりがいるし、早めに処分することも検討している。
次のメイドは、黒い髪の娘にしようかな。私の部屋の模様替えを担当した娘も、最初はシャルロットみたいな黒髪で腹が立ったけど、ああいう娘をいじめるのは気分が良さそうだもの。
まあ、今はこの捨て駒メイドの相手をしてあげないと。
「グレース様、少しお話が……」
「どうしたの? またあのババア……メイド長が何かしてきたの?」
「いえ、実はレオン王子の誕生日パーティーの件なんですが、元婚約者であるシャルロット様が派手なドレスを着てくる予定とのことです」
「あの女が、派手なドレスを……?」
どういうことかしら。一国の王子の誕生日を祝う席で、主役よりも目立つつもり? どんな席でも地味でシックな服装ばかり着る陰険一族なのに、派手なドレスなんて意味がわからないわ。
婚約破棄してから随分と静かだし、何を考えているのよ。堅物女め。
まさかとは思うけれど、この捨て駒メイドが私を陥れようなんて考えるはずはないわよね。一応、用心をしておいた方がいいかもしれないわ。
「メイドのあなたが、その情報をどこで手に入れたの? ローズレイ家と接触する機会はないわよね」
「も、もちろんです。グレース様もご存知の通り、旦那様からの指示を受けて、夜の街に出ていますよね。その時にドレス屋の店主が言っておりました。珍しくローズレイ家が派手なドレスでパーティーに出る、と」
なるほどね。それなら信憑性が高いかもしれないわ。
シャルロットが派手なドレスを着ているところは見たことがないし、ローズレイ家が持っているとは思えない。特注して作成する必要があり、時間的にも誕生日パーティーにギリギリ間に合うはず。
ローズレイ家は奇策に出たみたいね。
捨て駒にしては十分な働きだわ。でも、念には念を入れるべきよ。ドレス屋に信頼できる人間を派遣して、正しい情報を仕入れないと。
「とてもいい情報ね、嬉しいわ。でもね、あなたを疑うわけじゃないけど、他の人をドレス屋に派遣して、事実確認を進めるわね。本当に疑っているわけじゃないのよ。あなたがとても優秀なメイドだとわかっているもの」
本当は名前も知らないし、優秀だと思ったこともないけどね。
「……ありがとうございます。グレース様にそうおっしゃっていただけて、光栄に思います」
「わかってくれて嬉しいわ。正しい情報なら、お父様もお喜びになると思うの」
まあ、あなたが手柄を得ることはないわ。メイドの手柄は、私の手柄になるんだもの。
***
その日の夜、私はウォルトン家の屋敷の一室で、久しぶりに赤ワインを飲んでいた。
王妃教育期間中はアルコール類が禁止なんて、誰が作ったルールなのよ。本当にしょうもないルールだわ。いつまでも古くさい仕来たりに縛られたままでは、国が落ちぶれるだけね。
「うふふふ。とてもおいしいわ。やっぱり赤ワインと男は、良いものを選ばないとね」
ハイペースで飲み進めた私が赤ワインを一本開ける頃、ちょうど良い男がやってきた。王城にはいない、若くて甘~い匂いのする執事が。
「グレースお嬢様。例の件、どうやら事実のようです」
「そう。たまには捨て駒も役に立つことがあるのね。あの女が派手なドレスなんて……フッ、似合わなすぎて笑っちゃうわ」
今まで沈黙を守ってきたシャルロットが、まさか元婚約者の誕生日パーティーで反撃ののろしを上げようとするとは、考えてもいなかった。
王城で開かれる緊急会議を見る限り、まだローズレイ家の芽は摘めていない。パーティーはローズレイ派の人ばかり参加するし、下手をしたら、反撃の余地を与える可能性もある。
意表を突く鋭い手よ、シャルロット。でも、詰めが甘かったわね。
今でもあの時のような生意気なことが言えるのかしら。必ず裁きを与えに来るわ、なーんて、本当にくだらない。
ドレスの情報が手に入るだけでも、シャルロットの思惑が簡単にわかるんだもの。
煌びやかな服装がメインのウォルトン家に対して、派手なドレスでシャルロットが登場すれば、私の面目は丸つぶれ。おまけに普段は見せない派手なドレスを着ることで、敵の思い通りにはならないと、ローズレイ派を鼓舞しようと考えたに違いない。
ウォルトン家と正々堂々ドレス対決で戦おうとするあたり、昔から変わらないわね。まあ、おバカなところが、だけど。
「どんなドレスか調査は済んだ?」
「はい。今までのローズレイ家を一新するようなドレスとのこと。すでに完成図を入手しました」
完成図を受け取った私は、思わずフンッと鼻で笑ってしまった。
バラの花を活かした真っ赤なドレス、ね。今頃になって、あの無愛想な王子に情熱な気持ちをアピールするつもりかしら。
珍しくミニスカートのデザインにして、随分と頑張るみたいだけど。数少ない色気を出して振り向いてもらいたいなんて、必死すぎるわ。もう……意外に純愛だったのね、シャルロットちゃん。
「さすがね。捨て駒と違って、良い働きをしてくれるわ。じゃあ、私のドレスは……もっと王妃に相応しいものにしようかしら。うふふふ」
無愛想な王子のハートをわしづかみにして、シャルロットを黙らせるドレス。この対決で圧倒して、ローズレイ派を一気に黙らせてあげましょうか。
そして、最後の仕上げに、シャルロットが指を加えてるところで、ちょっとした大人の遊戯でも見せてあげるの。あの堅物女がどんな顔で悔しがるのか、本当に楽しみなパーティーになりそうだわ。
こんな楽しい日はもっと赤ワインを飲んで気持ちよくなるべきね、そう思っていると、執事に赤ワインを没収されてしまう。
「グレースお嬢様、飲みすぎです」
「たまにはいいじゃない。久しぶりに赤ワインを飲むのよ」
「明日、王城でお酒が残っているとバレたら、大変な目に遭います。お控えください」
「ちぇ、つまらないわね。まあいいわ。ちょうどおいしそうなデザートがあるんだもの」
チョンッと人差し指で執事の唇を触り、今日のデザートが何かを伝えてあげると、早くも執事は顔を真っ赤にしていた。
「お気持ちは嬉しいのですが、もう少し慎みをお持ちください。あなたは偉大なる聖女なのですから」
何度か体を交えただけで恥じらうなんて、本当においしそうな男ね。あぁ~、どうしよう。こういう男を絶望の淵に突き落とした時、最高に気持ちいいのよね。
今日で使い潰しちゃおうかなー。お酒を没収する悪い子には、お仕置きが必要だもの。
無愛想な王子を誘惑しなければならないストレスと、久しぶりのアルコールで自分の欲望が止められそうにない。ただでさえ、シャルロットの悔しがる顔を思い浮かべるだけで気持ちいいのだから。
恥じらう執事を無理やりベッドに押し倒し、手足を押さえつけるようにマウントを取る。
「赤ワインを没収した責任、ちゃ~んと体で取りなさい。心が壊れても知らないけどね」
あなたにおすすめの小説
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
兄の婚約解消による支払うべき代償【本編完結】
美麗
恋愛
アスターテ皇国
皇帝 ヨハン=シュトラウス=アスターテ
アスターテ皇国は周辺国との関係も良く、落ち着いた治世が続いていた。貴族も平民も良く働き、平和で豊かな暮らしをおくっている。
皇帝ヨハンには
皇妃に男の子が一人
妾妃に女の子が一人
二人の子どもがある。
皇妃の産んだ男の子が皇太子となり
妾妃の産んだ女の子は降嫁することが決まっている。
その皇女様の降嫁先だった侯爵家の
とばっちりを受けた妹のお話。
始まります。
よろしくお願いします。
【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。
As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。
愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
番外編追記しました。
スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします!
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。
*元作品は都合により削除致しました。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜
まりー
恋愛
ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。
でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。