52 / 60
第52話 沙耶ちゃん抜きの告白作戦
しおりを挟む
翌朝、高級車の中は笑いで包まれていた。
みんな楽しそうでいいよね?
私はMAXで暗い状態だよ。
草壁君と沙耶ちゃんが昨日どんな話をしていたのかとても気になるんだけど。
焼き餅を焼いているみたいで、流石に聞きづらいよ。
私はそっと草壁君を見る。
爽やかに笑っている。てか心の底から笑ってるみたい。
草壁君のこんな笑顔を今まで見たことなかった気がする。
「どうしたの柚衣? もう着いたよ」
いつの間に。
最初に『おはよう』って挨拶しただけで草壁君と何も話してないよ。
このままじゃダメだよね。ますます草壁君との距離が遠くなってしまう感じ。
「朝から元気ないなぁ」
沙耶ちゃんのせいだよ。
「草壁君が話しかけてくれないからふてくされてるの?」
「誰かさんとばかり話してるもんね?」
私は嫌味を込めて言った。
「だったらもう一度ラブレター作戦やっとく?」
「やる」
「のりが悪いなあ。ここは書くって言うところ‥‥。え? 今なんて言った?」
沙耶ちゃんが驚きの声を上げた。
「やるって言ったの」
「まさかそんな返事が返ってくるとは思わなかったわ」
沙耶ちゃんが珍しく戸惑いの表情を浮かべている。
たぶん私が『やる』と言う想定はしてなかったんだと思う。
「どうして書くの?」
「沙耶ちゃんが書けって言ったんじゃない」
「ははははは」
なんかもうどうでもいいって感じ。
大事件でも起こして死のうかな?
「柚衣、なんか暗くないか?」
たまたま通りかかった琉生が声をかけてきた。
「ねえ、琉生って私の手料理食べたことあったっけ?」
「ないが。それがどうしたんだ?」
「今度作ってあげる」
「本当か? でも、なぜ急にそんなこと言うんだ?」
「琉生って味音痴だよね? 食事に何かが混じっていてもわからないよね?」
琉生が固まりかけている。
「今回は止めておくわ。また今度頼む」
琉生は逃げるように走り去っていった。
チッ、逃したか。大事件を起こすチャンスだったのに。
もう何もしたくない気分。
どんなイベントもきっと楽しくないよ。
「そうだ、柚衣ちゃんに言わなければいけないことがあったんだ」
草壁君が追いかけてきて言った。
きっと別れ話だ。まだ付き合ってないけど。
『神様、今の私には何を言われても楽しくありません。どうか一撃必殺なことを告げられる前に私を天国にお召しになってください』
「この前の賞品のデートなんだけど、今週の日曜に決まったんだ。都合は大丈夫かな?」
『神様、さっきのは冗談です。天国にお召しにならないでください』
私は慌てて神様へのお願いをキャンセルした。
そうだった。草壁君と超高級ホテルでデートをするんだった。
思いっきり忘れてたよ。私の目の前が急激に明るくなっていく。
「どうかな?」
「勿論、大丈夫です。たとえ受験の日でもデートを選びます」
「ははは。わかったよ。じゃあ、日曜日の18時に柚衣ちゃんの家に迎えに行くね」
「沙耶ちゃんは来ないよね?」
「来ないけど」
私の真剣な眼差しに恐れおののいたのか草壁君は小さな声でゆっくりと言った。
ようし! 希望が湧いてきたぞ。
それからの私は絶好調。すべての授業で手を挙げて発表し、すべて不正解だった。
「なんか急に明るくなったそうね」
昼休みに沙耶ちゃんが私の教室に来て言った。
「草壁君とのデートの日が決まったんだよ」
「あの高級レストランの?」
「そう」
「私も行くからよろしく」
「絶対にダメ! って草壁君にもダメって言われてたじゃない」
「そうだった。私は中園君とデートするんだった」
「まさか本当にデートするの?」
「あれ~心配なのかな~?」
「心配じゃないわよ!」
琉生が誰とデートしようが私には関係ないもん。
その日の帰りは沙耶ちゃんが草壁君と盛り上がっていてもあまり気にならなかった。
形式上は草壁君のフィアンセは私だからね。
この座は誰にも渡さないよ。
ただ大きな問題は草壁君がフィアンセだと思ってないことだよね?
私はほかの候補を選ばないための存在だったわけだし。
でも、このチャンスを生かさないといけないよね?
沙耶ちゃん抜きの告白作戦開始だよ。
その夜、私は必死で考えた。中間テストや期末テストでもこんなに脳を使ったことはないよ。
作戦その1。食事の最後に婚約指輪を渡す。
女の子から渡してもいいのだろうか?
それよりも指輪を買うお金がないよ。
作戦その2。草壁君を酔わせて間違いを起こさせる。
そもそも高校生のデートにお酒が出るわけないよね?
作戦その3。大泣きして本物の彼女に昇格してもらう。
男の人って女の子の涙に弱いよね? これで決まりだ。
でも待てよ。超高級レストランで大泣きして、断られたらどうなるの?
滅茶苦茶恥ずかしいよね?
それどころか二度と草壁君の顔を見れないような気がする。
どれもダメか。ふう。
思わずため息が出る。
チュンチュン。
え~! もう朝だよ! 私寝てないんだけど~。
そして登校途中の超高級車で本当に短い睡眠をとる私なのだった。
みんな楽しそうでいいよね?
私はMAXで暗い状態だよ。
草壁君と沙耶ちゃんが昨日どんな話をしていたのかとても気になるんだけど。
焼き餅を焼いているみたいで、流石に聞きづらいよ。
私はそっと草壁君を見る。
爽やかに笑っている。てか心の底から笑ってるみたい。
草壁君のこんな笑顔を今まで見たことなかった気がする。
「どうしたの柚衣? もう着いたよ」
いつの間に。
最初に『おはよう』って挨拶しただけで草壁君と何も話してないよ。
このままじゃダメだよね。ますます草壁君との距離が遠くなってしまう感じ。
「朝から元気ないなぁ」
沙耶ちゃんのせいだよ。
「草壁君が話しかけてくれないからふてくされてるの?」
「誰かさんとばかり話してるもんね?」
私は嫌味を込めて言った。
「だったらもう一度ラブレター作戦やっとく?」
「やる」
「のりが悪いなあ。ここは書くって言うところ‥‥。え? 今なんて言った?」
沙耶ちゃんが驚きの声を上げた。
「やるって言ったの」
「まさかそんな返事が返ってくるとは思わなかったわ」
沙耶ちゃんが珍しく戸惑いの表情を浮かべている。
たぶん私が『やる』と言う想定はしてなかったんだと思う。
「どうして書くの?」
「沙耶ちゃんが書けって言ったんじゃない」
「ははははは」
なんかもうどうでもいいって感じ。
大事件でも起こして死のうかな?
「柚衣、なんか暗くないか?」
たまたま通りかかった琉生が声をかけてきた。
「ねえ、琉生って私の手料理食べたことあったっけ?」
「ないが。それがどうしたんだ?」
「今度作ってあげる」
「本当か? でも、なぜ急にそんなこと言うんだ?」
「琉生って味音痴だよね? 食事に何かが混じっていてもわからないよね?」
琉生が固まりかけている。
「今回は止めておくわ。また今度頼む」
琉生は逃げるように走り去っていった。
チッ、逃したか。大事件を起こすチャンスだったのに。
もう何もしたくない気分。
どんなイベントもきっと楽しくないよ。
「そうだ、柚衣ちゃんに言わなければいけないことがあったんだ」
草壁君が追いかけてきて言った。
きっと別れ話だ。まだ付き合ってないけど。
『神様、今の私には何を言われても楽しくありません。どうか一撃必殺なことを告げられる前に私を天国にお召しになってください』
「この前の賞品のデートなんだけど、今週の日曜に決まったんだ。都合は大丈夫かな?」
『神様、さっきのは冗談です。天国にお召しにならないでください』
私は慌てて神様へのお願いをキャンセルした。
そうだった。草壁君と超高級ホテルでデートをするんだった。
思いっきり忘れてたよ。私の目の前が急激に明るくなっていく。
「どうかな?」
「勿論、大丈夫です。たとえ受験の日でもデートを選びます」
「ははは。わかったよ。じゃあ、日曜日の18時に柚衣ちゃんの家に迎えに行くね」
「沙耶ちゃんは来ないよね?」
「来ないけど」
私の真剣な眼差しに恐れおののいたのか草壁君は小さな声でゆっくりと言った。
ようし! 希望が湧いてきたぞ。
それからの私は絶好調。すべての授業で手を挙げて発表し、すべて不正解だった。
「なんか急に明るくなったそうね」
昼休みに沙耶ちゃんが私の教室に来て言った。
「草壁君とのデートの日が決まったんだよ」
「あの高級レストランの?」
「そう」
「私も行くからよろしく」
「絶対にダメ! って草壁君にもダメって言われてたじゃない」
「そうだった。私は中園君とデートするんだった」
「まさか本当にデートするの?」
「あれ~心配なのかな~?」
「心配じゃないわよ!」
琉生が誰とデートしようが私には関係ないもん。
その日の帰りは沙耶ちゃんが草壁君と盛り上がっていてもあまり気にならなかった。
形式上は草壁君のフィアンセは私だからね。
この座は誰にも渡さないよ。
ただ大きな問題は草壁君がフィアンセだと思ってないことだよね?
私はほかの候補を選ばないための存在だったわけだし。
でも、このチャンスを生かさないといけないよね?
沙耶ちゃん抜きの告白作戦開始だよ。
その夜、私は必死で考えた。中間テストや期末テストでもこんなに脳を使ったことはないよ。
作戦その1。食事の最後に婚約指輪を渡す。
女の子から渡してもいいのだろうか?
それよりも指輪を買うお金がないよ。
作戦その2。草壁君を酔わせて間違いを起こさせる。
そもそも高校生のデートにお酒が出るわけないよね?
作戦その3。大泣きして本物の彼女に昇格してもらう。
男の人って女の子の涙に弱いよね? これで決まりだ。
でも待てよ。超高級レストランで大泣きして、断られたらどうなるの?
滅茶苦茶恥ずかしいよね?
それどころか二度と草壁君の顔を見れないような気がする。
どれもダメか。ふう。
思わずため息が出る。
チュンチュン。
え~! もう朝だよ! 私寝てないんだけど~。
そして登校途中の超高級車で本当に短い睡眠をとる私なのだった。
4
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる