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第2章 謎の転校生
第18話 真の恐怖
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「真歴いる? 上がるわよ」
胡桃だ! こんな時間に美紀といたら絶対に疑われるじゃねえか!
「胡桃って、いつもこんな登場の仕方をするの?」
美紀は落ち着いた表情である。なぜだ?
「ああ、そうだな。大体こんな感じだ。なんでお前は落ち着いていられるんだ?」
「だって、どうしようもないじゃん」
美紀の言葉と同時に部屋のドアが開いた。
・・・・・・・・。
暫く固まる胡桃。
「何で美紀がここにいるの?」
「ちょっと宮本君に聞きたいことがあって」
「今日って真歴の両親いない・・・・よね」
「大丈夫よ。何もないから」
「萌だけじゃ足りなくて、私の親友にまで手を出すなんてどういうつもり!」
ダメだ美紀の言葉が聞こえてない。
「これは違うんだ。たまたま俺の両親がいないことを知らずに美紀が来たんだ。だから・・・・」
次の瞬間、俺の腰に激痛が走った。胡桃の蹴りが見事に命中したのだ。言い忘れていたが胡桃は小さい頃から空手を習っている。現在は黒帯の実力だ。従って単なる女子高生に蹴られたのはとわけが違う。
「ちょっと俺の話を聞け」
「言い残す言葉はある?」
「だから俺の話を聞けて言ってるだろ!」
「はあああああ!」
「お願いです。聞いてください」
俺の最後の願いも空しく次は後頭部に蹴りが決まった。薄れゆく意識の中で胡桃の怒鳴り声だけが響いているのであった。
次の日、学校は俺と萌の噂で持ちきりになっていた。胡桃のときは全く噂にならなかったのにどうなっているのだ?
ていうか、こんな噂が広まれば広まるほど胡桃の機嫌が悪くなって行くではないか。ただでさえ萌が登場してから俺の身は危険にさらされることが多くなっているというのに。昨日などは本気で死ぬかと思った。しかも、夜中にスマホでどれだけ萌や美紀との関係を確認させられたことか。
それだけではない。数名の男子達がエアガンを持って俺の後をつけ回している。絶対隙を見つけて撃つつもりだと思う。あれは本当にエアガンなんだろうな?
この雰囲気だと定期券の噂もかなり広まっているだろうと思ったが、こちらは全く噂になっていない。なぜだ?
確認したくなり、俺は美紀のところへ行くことにした。
「ちょっと聞きたいことがある」
「あら宮本君。生きてたのね」
さらりと恐ろしいことを言う奴だ。
「誰のせいだ!」
「胡桃があんなに強いなんて知らなかったんだからしょうがないじゃない」
「人ごとだと思って。今こうして話せること自体が奇跡なんだぞ」
「そっか。で、聞きたいことって?」
「実は昨日の定期券のことなんだが」
「定期券? それって何のこと?」
覚えてないだと? そんなバカなことってあるのか?
思い出させても困るので、俺はこれ以上美紀には何も聞かなかった。しかし、あれだけ派手にデパートの中を逃げたんだぞ。印象に残ってないわけがないだろう。これは一体どういうことだ?
「昨日はあれから定期券に変化あった?」
背後から胡桃の声が聞こえる。今はその登場の仕方はやめてくれ。デパートでの悪夢が蘇ってくる。
「別に何の変化もなかった。だが、未来人に遭遇できるのはもうすぐな気がするぜ」
「お願いだから、真歴一人で行動するのは止めてよ」
「どういうことだ?」
「だから、一人で未来に行くなんて止めてよって言ってるの」
昨夜は俺を死の一歩手前まで追い込んでおいてよくこんな言葉が言えるものだ。だが返事をしないわけにも行くまい。俺は小さめの声で言った。
「ああ、わかってる」
「約束よ」
胡桃は俺の手を握って言った。これは珍しい。萌ならともかく胡桃はこういうことをするキャラではないはずだ。俺は思わず、
「約束する」
とやや大きめな声で答えた。
約束はしたものの、いざ未来に行けるチャンスに遭遇したら約束を守れるかどうか自信がない。俺にとってタイムマシンに乗ることは最大の夢であり、人生の目標でもある。それをわざと見逃すことなんてできるのだろうか。
教室に入ると萌が駆け寄って来るのが見えた。教室の片隅ではエアガンのガチャッという音が聞こえる。
「ねえ、萌たち噂になっちゃったね」
萌は笑顔で言った。
「ああ、そうだな」
俺はため息をつきながら言った。ここで嬉しそうな表情をすれば確実に撃たれる。
「このまま噂通り付き合っちゃおうか」
「ダメだ」
俺は教室中に聞こえるような大声で言った。サバゲーもどきに聞かせておかなくてはなるまい。これも自己防衛術の一つだ。
「どうして~」
「俺は誰とも付き合わん」
「じゃあ、なんで胡桃のことを気にかけるわけ? 実は付き合ってるんでしょ」
「そんなわけあるか!」
俺の声は一段と大きくなっていく。
「いいか、お前はあいつの真の怖さを知らないんだ。もちろん物理的な攻撃もあるが、一番すごいのは精神的な攻撃だ。じわじわと締め付けるような攻撃がいつまでも続くんだぞ」
廊下で胡桃が見ていた・・・・。
体中から冷や汗が流れ出てくるのがわかる。俺はわざと胡桃に気付いていないふりをして会話を続ける。
「でも、でも、あいつにもいいところがあるんだぜ。優しくて美人で可愛いくて。小さい時なんか俺をモンスターから守ってくれたんだ」
「何言ってるの?」
萌は頭から「?」を出しながら聞く。
「ああ、胡桃のことが気になってたのか。なら、もういないよ」
俺は慌てて振り返る。
「お前、胡桃がいるのを知ってたのか?」
「まあね」
「それでわざと胡桃の気持ちを逆なでするようなことを言ってたんだな?」
「あら、あれは本心よ」
本当にどう接したらいいのか分からない女だ。どこまでが本気なのかさっぱり分からん。
「それとも萌じゃご不満?」
萌は俺の手を自然に握った。
「そんなことは・・・・」
ガチャッ!
「じゃあ、決まりね」
「何でそうなるんだ?」
萌と話しているとペースが狂う。苦手なタイプだ。俺は教室の四隅に待機しているサバゲーもどきから逃げるように教室を飛び出しながら考えるのだった。
胡桃だ! こんな時間に美紀といたら絶対に疑われるじゃねえか!
「胡桃って、いつもこんな登場の仕方をするの?」
美紀は落ち着いた表情である。なぜだ?
「ああ、そうだな。大体こんな感じだ。なんでお前は落ち着いていられるんだ?」
「だって、どうしようもないじゃん」
美紀の言葉と同時に部屋のドアが開いた。
・・・・・・・・。
暫く固まる胡桃。
「何で美紀がここにいるの?」
「ちょっと宮本君に聞きたいことがあって」
「今日って真歴の両親いない・・・・よね」
「大丈夫よ。何もないから」
「萌だけじゃ足りなくて、私の親友にまで手を出すなんてどういうつもり!」
ダメだ美紀の言葉が聞こえてない。
「これは違うんだ。たまたま俺の両親がいないことを知らずに美紀が来たんだ。だから・・・・」
次の瞬間、俺の腰に激痛が走った。胡桃の蹴りが見事に命中したのだ。言い忘れていたが胡桃は小さい頃から空手を習っている。現在は黒帯の実力だ。従って単なる女子高生に蹴られたのはとわけが違う。
「ちょっと俺の話を聞け」
「言い残す言葉はある?」
「だから俺の話を聞けて言ってるだろ!」
「はあああああ!」
「お願いです。聞いてください」
俺の最後の願いも空しく次は後頭部に蹴りが決まった。薄れゆく意識の中で胡桃の怒鳴り声だけが響いているのであった。
次の日、学校は俺と萌の噂で持ちきりになっていた。胡桃のときは全く噂にならなかったのにどうなっているのだ?
ていうか、こんな噂が広まれば広まるほど胡桃の機嫌が悪くなって行くではないか。ただでさえ萌が登場してから俺の身は危険にさらされることが多くなっているというのに。昨日などは本気で死ぬかと思った。しかも、夜中にスマホでどれだけ萌や美紀との関係を確認させられたことか。
それだけではない。数名の男子達がエアガンを持って俺の後をつけ回している。絶対隙を見つけて撃つつもりだと思う。あれは本当にエアガンなんだろうな?
この雰囲気だと定期券の噂もかなり広まっているだろうと思ったが、こちらは全く噂になっていない。なぜだ?
確認したくなり、俺は美紀のところへ行くことにした。
「ちょっと聞きたいことがある」
「あら宮本君。生きてたのね」
さらりと恐ろしいことを言う奴だ。
「誰のせいだ!」
「胡桃があんなに強いなんて知らなかったんだからしょうがないじゃない」
「人ごとだと思って。今こうして話せること自体が奇跡なんだぞ」
「そっか。で、聞きたいことって?」
「実は昨日の定期券のことなんだが」
「定期券? それって何のこと?」
覚えてないだと? そんなバカなことってあるのか?
思い出させても困るので、俺はこれ以上美紀には何も聞かなかった。しかし、あれだけ派手にデパートの中を逃げたんだぞ。印象に残ってないわけがないだろう。これは一体どういうことだ?
「昨日はあれから定期券に変化あった?」
背後から胡桃の声が聞こえる。今はその登場の仕方はやめてくれ。デパートでの悪夢が蘇ってくる。
「別に何の変化もなかった。だが、未来人に遭遇できるのはもうすぐな気がするぜ」
「お願いだから、真歴一人で行動するのは止めてよ」
「どういうことだ?」
「だから、一人で未来に行くなんて止めてよって言ってるの」
昨夜は俺を死の一歩手前まで追い込んでおいてよくこんな言葉が言えるものだ。だが返事をしないわけにも行くまい。俺は小さめの声で言った。
「ああ、わかってる」
「約束よ」
胡桃は俺の手を握って言った。これは珍しい。萌ならともかく胡桃はこういうことをするキャラではないはずだ。俺は思わず、
「約束する」
とやや大きめな声で答えた。
約束はしたものの、いざ未来に行けるチャンスに遭遇したら約束を守れるかどうか自信がない。俺にとってタイムマシンに乗ることは最大の夢であり、人生の目標でもある。それをわざと見逃すことなんてできるのだろうか。
教室に入ると萌が駆け寄って来るのが見えた。教室の片隅ではエアガンのガチャッという音が聞こえる。
「ねえ、萌たち噂になっちゃったね」
萌は笑顔で言った。
「ああ、そうだな」
俺はため息をつきながら言った。ここで嬉しそうな表情をすれば確実に撃たれる。
「このまま噂通り付き合っちゃおうか」
「ダメだ」
俺は教室中に聞こえるような大声で言った。サバゲーもどきに聞かせておかなくてはなるまい。これも自己防衛術の一つだ。
「どうして~」
「俺は誰とも付き合わん」
「じゃあ、なんで胡桃のことを気にかけるわけ? 実は付き合ってるんでしょ」
「そんなわけあるか!」
俺の声は一段と大きくなっていく。
「いいか、お前はあいつの真の怖さを知らないんだ。もちろん物理的な攻撃もあるが、一番すごいのは精神的な攻撃だ。じわじわと締め付けるような攻撃がいつまでも続くんだぞ」
廊下で胡桃が見ていた・・・・。
体中から冷や汗が流れ出てくるのがわかる。俺はわざと胡桃に気付いていないふりをして会話を続ける。
「でも、でも、あいつにもいいところがあるんだぜ。優しくて美人で可愛いくて。小さい時なんか俺をモンスターから守ってくれたんだ」
「何言ってるの?」
萌は頭から「?」を出しながら聞く。
「ああ、胡桃のことが気になってたのか。なら、もういないよ」
俺は慌てて振り返る。
「お前、胡桃がいるのを知ってたのか?」
「まあね」
「それでわざと胡桃の気持ちを逆なでするようなことを言ってたんだな?」
「あら、あれは本心よ」
本当にどう接したらいいのか分からない女だ。どこまでが本気なのかさっぱり分からん。
「それとも萌じゃご不満?」
萌は俺の手を自然に握った。
「そんなことは・・・・」
ガチャッ!
「じゃあ、決まりね」
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萌と話しているとペースが狂う。苦手なタイプだ。俺は教室の四隅に待機しているサバゲーもどきから逃げるように教室を飛び出しながら考えるのだった。
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