タイムトラベル同好会

小松広和

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第2章 謎の転校生

第19話 どうしたらいいのだ?

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 逃げ場を求めて俺は走った。背後からはエアガンを構えた男子生徒が四人ほど追いかけてくる。確実に助けてくれそうな人物と言えば胡桃しかいねえ。何しろ俺が小さい時モンスターから守ってくれたレベルの強さだからな。

「胡桃! 助けてくれ!」
「どうしたのよ大きな声を出して」
胡桃は大きな声に敏感のようだ。

「あいつらが俺を撃とうとしてるんだ。助けてくれ」
「何なのあなた達。そんな物学校に持ってきちゃダメでしょ?」
いやそういうことよりもっと大切なことがあるだろ。人に向かって銃口を向けてるんだぞ。

「どけ。さもないとお前も撃つぞ!」
「やれるものならやってみなさいよ。その代わりあなた達は明日の太陽を拝めなくなるわ。その覚悟があるなら撃ちなさい」
何気にかっこいい。胡桃なら俺を助けてくれそうだ。良かったー。

「こいつは萌ちゃんと付き合うって約束してたんだぞ」
「え?」
俺の目が点になる。な、何を言い出すんだ!
「それは本当なの!?」
「ち、違・・・・」
「本当さ。だから俺達は萌ちゃんを守るためこいつを始末することにしたんだ」
バ、バカ! そんなこと言ったらお前達に追われるより怖い目に遭うだろうが! 

 絶体絶命のピンチを迎えたその時、また俺の財布に入れてある例の定期券が鳴り出した。最近、定期券が鳴り出すペースが上がっているように思う。今回はすぐに鳴りやんだが、流石にこれだけの生徒がいる教室で鳴り出すのはやばい。俺はこの後の質問攻めに備えて頭を整理した。

 だが、誰も質問などしない。それどころか『今の何の音?』という声すら出てこないのだ。
「ちょっと、この場所を離れた方がいいんじゃない?」
「ああ、だが誰も反応してないぞ。どういうことだ? かなり大きな音が鳴ったというのに」
「本当ね。まるで何も聞こえなかったって感じね」
俺は気になり近くの友達に尋ねた。

「警報なんて聞いてないぞ」
そんな馬鹿な。念のためにもう二、三人に聞いてみたが答えは同じだった。
「こんなことってあるのか?」
「とにかくこの場を離れるわよ」
そう言うと胡桃はサバゲーもどきに一括した。
「良く聞きなさい。真歴は私の物よ。萌なんかに渡さないわ。わかったらとっととどこかに行きなさい。私の蹴りを食らいたければ別の話だけど」
それを聞くとサバゲー男子はひそひそ話を始め、後ろを向いて走って行った。しかし、胡桃もよくこんな恥ずかしいことが言えたもんだ。

「よくそんな恥ずかしいことが言えたな?」
俺は顔を真っ赤にしている胡桃に言った。
「あいつらを追っ払うためだから仕方ないでしょ!」
胡桃は怒鳴るように言った。人には声が大きいと言う割にこいつの声も相当大きい。
「でも露骨な嘘をつくのはどうかと思うぞ?」
「べ、別に嘘じゃないわよ・・・・」
「何て言った?」
「何でもないわよ!!! それと萌と付き合う約束をしたのがデマだと証明しなさい。できなければ真歴も明日の太陽が拝めなくなるわよ」
まだピンチは継続しているようだ。

教室に戻ると俺はそっと萌に先ほどの怪現象を話した。
「それは考えられない状況ね」
萌も不思議そうな顔をしている。

 美紀の態度といい、今回のことといい、理解に苦しむ出来事が起こっているのは確かだ。まるで定期券が自分の存在を隠しているかのようにも思える。定期券に関するみんなの記憶を消しているのだろうか? よく考えてみろ。定期券だぞ。そんなことできるわけがなかろう。それにもっと不思議なのは俺と胡桃と萌はなぜ覚えている? だが、未来人の作った物ならこのくらいできても不思議ではないのかもしれない。俺は自分に言い聞かせるように呟いた。

 俺は例の定期券を取り出して眺めた。見た目は何の変哲もない定期券だ。早くその正体を見せてくれ。俺は神に祈る思い出定期券を見つめる。
「これ普通の定期券よね-」
萌が俺に体を密着させながら言った。

 俺は慌てて席から飛び退いて言った。
「頼むからそういうことは止めてくれ」
「どうして~? さっき付き合ってくれるって言ったじゃない」
「そんなことは断じて言ってない!」
「言ったよー」
「お前が俺にくっつくと明日の太陽が拝めなくなるんだ。わかってくれ!」
「何言ってるの?」
「とにかく俺はタイムマシンに乗るまでは死ねないんだ!」
俺はそう言い残して教室を出た。できる限り萌に接するのは止めよう。それが一番だ。何の策も考えられない俺はそう自分に言い聞かせた。

 しかしその夜俺を悩ませる電話があった。
「私は証明しろと言ったのよ。対策を練れとは言ってないわ」
無理難題をふっかける会社の上司かよ。俺は二時間ばかりひたすら謝り続けるのであった。
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