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第3章 未来への旅立ち
第34話 眠れぬ夜
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結局、双六はユリナがトップ。胡桃は根性で二位になった。後は萌そして俺の順である。ゲームが終わる頃になると、嘘のようにみんなの酔いは覚めていったからユリナの言ったことはまんざら嘘ではなかったのだろう。
そして、肝心の寝る場所だが、ユリナ、萌、胡桃、俺の順番に決まった。勿論胡桃は俺の横に寝たいのではなく、萌を俺の横に寝させたくないと言うのが本音だろう。
いざ布団に入ってみると予想以上に胡桃が近い。手を伸ばせば抱きしめることもできる距離だ。胡桃は萌の方を向いているので後ろ姿だが、こちらを向けば相当近くにいることを実感できるに違いない。
俺は目を閉じて寝る準備をした時、
「ねえ」
といきなり胡桃の声がした。
「な、な?」
俺は動揺し、わけのわからない声を出す。
「その慌てぶり、まさか変なこと考えてたんじゃないでしょうね?」
「そ、そんなことあるか!」
「ふ~ん」
半信半疑の声が返ってくる。。
「ねえ、さっき人前ではキスできないって言ってたけど、それって二人きりだったらできるってこと?」
「な、な、何言い出すんだ!」
「声が大きいわよ」
「お前が変なこと言うからだ」
「答えなさいよ」
「わかんねえよ」
俺はなぜか焦っている。別にキスしろと言われているわけじゃないのだから何を焦る必要があるというのだ。
「もう、ちゃんと考えて!」
胡桃は突然こちらを向いた。ち、近い!
「じゃあ、もし最下位が私じゃなくて萌だったら、同じことを言った?」
「何でそんなこと聞くんだよ」
「聞きたいから・・・・」
胡桃の声が小さくなる。
「ちょっと! 何向かい合ってひそひそ話してるのよ!」
気付いたら萌が起きあがっていた。
「これだから胡桃を宮本君の横に寝かせたくなかったのよ!」
「別に世間話してただけだ」
俺は冷静を装って答えた。
「世間話でも嫌なの!」
萌の声はが大きくなっていく。
「どうしんだ?」
ユリナがゆっくりと起き上がってきた。
「そら、ユリナさんを起こしてしまったじゃないか」
俺は萌のせいだと言わんばかりに言った。
「胡桃! 場所をわりなさいよ!」
「嫌よ。ゲームで決まったんだもの」
「もう!!!」
萌はかなり不満そうであったが、ゲームのおかげでかなり遅い時間になっていたので、俺たちは萌を無理矢理寝かせることにした。
「明日は絶対負けないんだからね!」
毎日あのゲームやらされるのかよ! 絶対に嫌だからな!
結局俺は朝まで眠れなかった。胡桃に背を向け一生懸命目を瞑ったのだが、胡桃が寝返りを打つ度にドキッとしてしまう。どうしてしまったんだ硬派の俺!?
俺の朝はトイレから始まる。着替えタイムである。俺は当然の如くトイレ内で着替える。
「学校が始まるまでに朝食作っちゃうよ」
ユリナがキッチンの前に立って言った。ユリナは学校に行くのか? ちょっと待て、そうなると胡桃と萌と一緒にいなくてはいけないと言うことか? 絶対に揉めるよなこいつら。
俺が悩んでいると萌が明るい声で、
「萌に作らせて」
と手を挙げた。いや、お前は作らん方がいいだろ。
「じゃあ、私が卵焼くから萌はサラダ作って、胡桃はパンとコーヒーをお願いね」
さすがユリナ。誰が作っても同じ味であるサラダを萌に作らせるのか。何気に頭がいいぜ。
分担制の朝食ができあがると食卓に運ばれてきた。食卓と言っても昔風のちゃぶ台なのだが。並べられた料理はまさしく二十一世紀の朝食だ。いや二十世紀かな? ちゃぶ台だし。
バターが塗られたパンにハムエッグ、そして萌が作ったサラダ。どれも美味しそう・・・・。いや、ちょっと待て!
「何でサラダに黒胡椒が山ほどかけるんだ?」
「味は濃い方が美味しいってママが言ってたもん」
「味見はしてるのか?」
「萌って~、自分で作った料理は口に合わないんだよね」
「おい!!!!!」
俺たちはタイミングを合わせたようにツッコミを入れた。これだけ揃うと気持ちがいい。
まあサラダの黒胡椒は丁寧によければいいか。
おお!!! それでも辛い! よく見るとかかっているのは黒胡椒だけではない。レタスを一枚捲るとマスタードに唐辛子、わさびのような物まで見える。ここまで来るとわざとだよな。ウケ狙いか?
楽しく恐ろしい朝食を食べ終えると、今回は俺も後片づけに参加させてもらえた。渡された食器を拭く係だ。萌が陽気な声で、
「はい、あなた」
と言って渡してくる皿を拭くだけの単純作業である。胡桃の視線が痛い気もするが気にしないでおこう。こんなの気にしだしたら俺の精神が崩壊する。
片付けが終わるとユリナは机の上にノートパソコンを出してスイッチを入れた。見慣れたパソコンだ。これもレトロ趣味か?
「今から授業だよ」
「学校へ行くんじゃないの?」
胡桃がパソコンを眺めながら言った。
「このパソコンが大学なのさ。これは予想できたんじゃない?」
「予想できたよ」
萌が明るく答える。
「家で授業を受けるのか。楽でいいな」
「でも、この方式だと友達ができにくいんだよね」
「そうかもしれないわね」
「胡桃は学校って楽しいか?」
ユリナの質問に対し、
「ええ、楽しいわ。友達もいるし」
と胡桃は答え、寂しそうに俯いた。やはり美紀とかに会いたいんだよな。
「萌は胡桃みたいに友達は多くないけど、大好きな人がいるから学校が好きだよ。萌って好きな人を追って転校までしたんだから」
「それはすごいな。私もそんな恋がしてみたいよ」
「将来その人と絶対結婚してみせるんだ。ちょっと邪魔者がいるけど」
「邪魔者ってどういう意味よ?」
「なるほど、そういうことか」
ユリナは深々と頷いた。
「で? 真歴はどうするんだ?」
この話題になった段階でこの質問は予想できたのだが、何を答えるのか迷う。ここは誤魔化すに限るな。
「何で俺が答えることになるんだよ」
「女としては重要なことだからね」
ユリナは何か楽しそうだ。こちらはそのおかげでどんな酷い目に遭ってることか。
「早く答えなさいよ」
胡桃まで何言い出すんだ! 俺が言葉に詰まっているとユリナのパソコンがピンポーンと鳴り出した。
「授業が始まる時間だな」
助かったのか? 俺ってこの手の運を持ってるよな。このパターンで助かることが非常に多い気がする。
そして、肝心の寝る場所だが、ユリナ、萌、胡桃、俺の順番に決まった。勿論胡桃は俺の横に寝たいのではなく、萌を俺の横に寝させたくないと言うのが本音だろう。
いざ布団に入ってみると予想以上に胡桃が近い。手を伸ばせば抱きしめることもできる距離だ。胡桃は萌の方を向いているので後ろ姿だが、こちらを向けば相当近くにいることを実感できるに違いない。
俺は目を閉じて寝る準備をした時、
「ねえ」
といきなり胡桃の声がした。
「な、な?」
俺は動揺し、わけのわからない声を出す。
「その慌てぶり、まさか変なこと考えてたんじゃないでしょうね?」
「そ、そんなことあるか!」
「ふ~ん」
半信半疑の声が返ってくる。。
「ねえ、さっき人前ではキスできないって言ってたけど、それって二人きりだったらできるってこと?」
「な、な、何言い出すんだ!」
「声が大きいわよ」
「お前が変なこと言うからだ」
「答えなさいよ」
「わかんねえよ」
俺はなぜか焦っている。別にキスしろと言われているわけじゃないのだから何を焦る必要があるというのだ。
「もう、ちゃんと考えて!」
胡桃は突然こちらを向いた。ち、近い!
「じゃあ、もし最下位が私じゃなくて萌だったら、同じことを言った?」
「何でそんなこと聞くんだよ」
「聞きたいから・・・・」
胡桃の声が小さくなる。
「ちょっと! 何向かい合ってひそひそ話してるのよ!」
気付いたら萌が起きあがっていた。
「これだから胡桃を宮本君の横に寝かせたくなかったのよ!」
「別に世間話してただけだ」
俺は冷静を装って答えた。
「世間話でも嫌なの!」
萌の声はが大きくなっていく。
「どうしんだ?」
ユリナがゆっくりと起き上がってきた。
「そら、ユリナさんを起こしてしまったじゃないか」
俺は萌のせいだと言わんばかりに言った。
「胡桃! 場所をわりなさいよ!」
「嫌よ。ゲームで決まったんだもの」
「もう!!!」
萌はかなり不満そうであったが、ゲームのおかげでかなり遅い時間になっていたので、俺たちは萌を無理矢理寝かせることにした。
「明日は絶対負けないんだからね!」
毎日あのゲームやらされるのかよ! 絶対に嫌だからな!
結局俺は朝まで眠れなかった。胡桃に背を向け一生懸命目を瞑ったのだが、胡桃が寝返りを打つ度にドキッとしてしまう。どうしてしまったんだ硬派の俺!?
俺の朝はトイレから始まる。着替えタイムである。俺は当然の如くトイレ内で着替える。
「学校が始まるまでに朝食作っちゃうよ」
ユリナがキッチンの前に立って言った。ユリナは学校に行くのか? ちょっと待て、そうなると胡桃と萌と一緒にいなくてはいけないと言うことか? 絶対に揉めるよなこいつら。
俺が悩んでいると萌が明るい声で、
「萌に作らせて」
と手を挙げた。いや、お前は作らん方がいいだろ。
「じゃあ、私が卵焼くから萌はサラダ作って、胡桃はパンとコーヒーをお願いね」
さすがユリナ。誰が作っても同じ味であるサラダを萌に作らせるのか。何気に頭がいいぜ。
分担制の朝食ができあがると食卓に運ばれてきた。食卓と言っても昔風のちゃぶ台なのだが。並べられた料理はまさしく二十一世紀の朝食だ。いや二十世紀かな? ちゃぶ台だし。
バターが塗られたパンにハムエッグ、そして萌が作ったサラダ。どれも美味しそう・・・・。いや、ちょっと待て!
「何でサラダに黒胡椒が山ほどかけるんだ?」
「味は濃い方が美味しいってママが言ってたもん」
「味見はしてるのか?」
「萌って~、自分で作った料理は口に合わないんだよね」
「おい!!!!!」
俺たちはタイミングを合わせたようにツッコミを入れた。これだけ揃うと気持ちがいい。
まあサラダの黒胡椒は丁寧によければいいか。
おお!!! それでも辛い! よく見るとかかっているのは黒胡椒だけではない。レタスを一枚捲るとマスタードに唐辛子、わさびのような物まで見える。ここまで来るとわざとだよな。ウケ狙いか?
楽しく恐ろしい朝食を食べ終えると、今回は俺も後片づけに参加させてもらえた。渡された食器を拭く係だ。萌が陽気な声で、
「はい、あなた」
と言って渡してくる皿を拭くだけの単純作業である。胡桃の視線が痛い気もするが気にしないでおこう。こんなの気にしだしたら俺の精神が崩壊する。
片付けが終わるとユリナは机の上にノートパソコンを出してスイッチを入れた。見慣れたパソコンだ。これもレトロ趣味か?
「今から授業だよ」
「学校へ行くんじゃないの?」
胡桃がパソコンを眺めながら言った。
「このパソコンが大学なのさ。これは予想できたんじゃない?」
「予想できたよ」
萌が明るく答える。
「家で授業を受けるのか。楽でいいな」
「でも、この方式だと友達ができにくいんだよね」
「そうかもしれないわね」
「胡桃は学校って楽しいか?」
ユリナの質問に対し、
「ええ、楽しいわ。友達もいるし」
と胡桃は答え、寂しそうに俯いた。やはり美紀とかに会いたいんだよな。
「萌は胡桃みたいに友達は多くないけど、大好きな人がいるから学校が好きだよ。萌って好きな人を追って転校までしたんだから」
「それはすごいな。私もそんな恋がしてみたいよ」
「将来その人と絶対結婚してみせるんだ。ちょっと邪魔者がいるけど」
「邪魔者ってどういう意味よ?」
「なるほど、そういうことか」
ユリナは深々と頷いた。
「で? 真歴はどうするんだ?」
この話題になった段階でこの質問は予想できたのだが、何を答えるのか迷う。ここは誤魔化すに限るな。
「何で俺が答えることになるんだよ」
「女としては重要なことだからね」
ユリナは何か楽しそうだ。こちらはそのおかげでどんな酷い目に遭ってることか。
「早く答えなさいよ」
胡桃まで何言い出すんだ! 俺が言葉に詰まっているとユリナのパソコンがピンポーンと鳴り出した。
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