落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第67話 1000年に一度の幸運

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 占いの館を出た私たちは今日の宿を探しに出かけました。これだけの町なら宿屋もあるはずです。
「あれ? 喫茶店があるわよ」
ナナカさんがめざとく珍しいものを見つけました。それにしても異世界で喫茶店はどうなんでしょうか? 私のイメージする異世界からかけ離れるものが度々あるのは気のせいですよね?

 当然のようにナナカさんが喫茶店に入っていきます。できれば宿を先に探すべきかと思いますが。もし、満室で泊まれなかったらどうするんですか?

「いらっしゃいませ」
私より少しだけ可愛い店員さんが綺麗な声で挨拶してくれます。私たちは適当な席に着くと早速メニューを見ました。これでは異世界感ゼロです。

「わー! パンケーキがある。美味しそう」
「これはチョコレートパフェ! 異世界にこんなものがあるなんて信じられません」
私とナナカさんが散々迷っていると先ほどの店員さんが水を持ってきてくれました。
「ご注文はお決まりですか?」
困りました。なかなか決められません。こういうとき迷ってしまうのは私の悪い癖です。ナナカさんに目をやると同じく悩んでいます。私の仲間ですね。

「コーシーを3つくれ」
「かしこまりました。メニューをお下げしますね」
ええーーー! まさかコーシーだけですか? パフェは食べられないんですか? コーシーと言ったら以前酷い目に遭った飲み物じゃないですか!

「お待たせしました」
私たちの前にコーシーが置かれました。
「まだ蓋を取るなよ。一人ずつ色を見ていこう」
ミーニャさんもしかしてこれが楽しみなんですか?

「まずは私から行こう。よし」
ミーニャさんがもったいぶって蓋をそーっと取ります。
「黒だな。私の一番好きな色だ」
「じゃあ、次は私ね」
やや不満そうにしていたナナカさんもノリノリで蓋に手をかけます。
「えい! 何これ? 黒と白の縞模様だよ」
「それは美味しいときと不味いときがある珍しい色だ」
「何か複雑ね」

「次はリーサだ。開けて見ろ」
私は蓋を持ちますが、先ほどの占いが脳裏をよぎります。絶対に変な色で死ぬほど不味いに決まってます。前回は猛毒味でしたし。でも、蓋を取らないわけにはいきませんから、私は恐る恐る蓋を上に上げました。何と虹色です。

「リーサ凄い!」
ナナカさんが両手を叩いて言いました。
「これは凄いのですか?」
「1000年に一度と言われるくらい貴重な色だ」
ミーニャさんが言うと凄い物を当てた気になるから不思議です。でも、この飲み物って1000年前からあるのでしょうか?

「虹色のコーシーは全ての美味しいとされる味が一度に味わえるとても貴重な飲み物だ。これを飲んだ人は未だにいないという」
それって私が最初の人になると言うことですか? とてつもなく凄い偉業を達成した気分です。

「早速飲んでみろ。そして感想を聞かせてくれ」
ミーニャさんが私を見つめています。でも、こんな貴重な飲み物をそう簡単に飲むわけにはいきません。次にこれを飲めるのは1000年先ですから。

「いらないんだったら私が飲んだげる」
ナナカさんが私のコーシーに手を伸ばそうとしたので、私はパチンとその手を叩きました。こんな貴重な体験を譲るもんですか!

 この雰囲気に気づいたのか。他のお客さんも集まってきました。もの凄く目立っています。何気に恥ずかしいですが、この貴重なコーシーを手放すことは出来ません。私はゆっくりとコーシーカップを持ち上げました。

 そして一口。ウッ! これは! 様々な味が混ざり合って不味いです。やはり私はこういう目に遭う運命なのでしょう。とはいえ人に譲るのはなんか嫌ですので全て飲み干し、「今までで一番美味しかったです」
と満面の笑みで言いました。

 私たちが喫茶店を出る頃にはすっかり暗くなっていました。
「今日は幸運の塊リーサがいるからきっとすてきな部屋の宿に泊まれるわね」
ナナカさんはいつものようにはしゃいでいます。
「そうとは限らんぞ。リーサは今のコーシーで一生分のツキを使い果たした可能性もあるからな」
ミーニャさんがとんでもないことを言っています。これ以上不幸になってたまりますか。

「いらっしゃいませ」
この町で唯一の宿に来ました。
「3人ほど泊まりたい」
「ごめんなさいね。ついさっき満室になってしまいまして」
ええーーー! だから先に宿を探そうって・・・・言ってなかったですね。

 そして私たちは町の外れにナナカさんが出したテントを張るのでした。
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