落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第69話 旅を長引かせる方法

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 リーサと旅行の毎日。何て充実した日々を送っているのだ。まさに幸せそのものではないか。だが、この旅行もいずれ終わる。何とかならぬものか。
「よし、遠回りをしていこう」
「どうしてですか!」
思ったよりリーサの反応がきついな。もしかして私と旅をするのが嫌なのか?

「リーサ、私と旅するのがそんなに嫌か?」
「歩きたくないんです!」
何だ、そういうことか。嫌われているわけではないのだな。だったら対処法は簡単だ。気付かれないように遠回りをすればいいわけだ。

「目の前の森を抜けると早いが大変危険なので迂回して行こうぞ」
「でも『この森は安全です』って書いてありますけど」
誰だ! こんな立て札を立てたのは!
「こう書かれていても森の中はモンスターの宝庫だ。危険には違いない」
「ミーニャさんが一緒なら大丈夫じゃないでしょうか?」
うむ。リーサの奴なかなかやるな。

「わかった。だったら森を通り抜けることにしよう」
森の中は方向感覚がわからなくなる。わざと逆方向に歩けばいいだけだ。どうせ気付くまい。
「ミーニャさん。これは逆方向だと思います?」
ギクリ! ナナカならともかく方向音痴のリーサがなぜ気付いたのだ?
「私たちは太陽の方向に歩いてましたよね? 午後に西へ向かっているのですから。今は太陽と反対方向に進んでいます」
こいつ意外に頭が良いのか? これだけ考えられるなら、なぜ方向音痴なんだ?

「そうか。それは気がつかなかったぞ。ははは」
なら今度は時間稼ぎ作戦だ。
「疲れたな。少し休むことにしよう」
「こんな所で休んでいたら夜になってしまいます。もうすぐ日が沈む時間ですし」
「いいではないか」
「よくありません! 森の中で野宿は絶対嫌です!」
まあ、それは一理あるか。

 私たちが森を抜けると夕方になっていた。もう少し行ったら村がある気がするがここは野宿を提案しよう。少しではあるが旅を長引かせることができる。
「今日はここで野宿・・・・」
「ダメです! まだ暗くありませんから次の村までは歩けます!」
「歩くのが嫌ではなかったのか?」
「野宿はもっと嫌です!」

 うまくいかないものだな。とうとう次の村まで来てしまった。仕方ないここに泊まるとするか。
「あまりいい宿ではなさそうですね?」
「小さな村だからな。仕方あるまい」
「キャー!」
リーサが悲鳴をあげた。
「どうした?」
「蜘蛛がゴキブリを食べてます!」
「それぐらいで大声を出すな!」
「これを見て大声を出さない女性っているのですか?」
確かにこの状況で声を出さない女性より声を出す女性の方が可愛く見えるな。

「キャー!」
「ミーニャさん、今頃声を出しても遅いです。蜘蛛はもう完食してしまいました」
「そうか・・・・」
惜しいチャンスを逃したな。まあラスボスが可愛さをアピールしても仕方あるまい。ところでナナカは静かだがどうしたのだ? 今日は殆ど声を聞いてないぞ。

「ナナカ、元気がないようだが具合でも悪いのか?」
ぐったり。バタン!
「おい、どうした? 熱があるではないか。早くベッドに寝ろ」
まさかこんなことになるとはな。これではナナカの熱が下がるまで出発できぬではないか。ん? これは千載一遇のチャンスなのでは?

「旅の疲れが出たのだろう。治るまでゆっくり休め」
これは凄いぞ! 旅を長引かせられる上に何気にお邪魔虫のナナカがいないも同然。まさに天国ではないか!
「ミーニャさん、何か嬉しそうですね?」
「そんなことあるか。ナナカが心配で心配で」
「では、治癒の魔法を掛けてやってください」
「私はそんな魔法は知らん!」
「そんなはずないですよね? 超初歩の魔法ですし」
「私を誰だと思っているのだ。ラスボスだぞ。治癒の魔法など覚えずとも勝てる」
「そうですか。だったら薬草を」
「こんな小さな村に薬草のような高価な物があるかどうか」
「薬草なんて冒険の始めに手に入る初期アイテムですけど?」
「ないものはない!」

 ちょっと苦しいな。やはり薬草がないという設定には無理があるか。
「ミーニャさん。箪笥に薬草がありましたー!」
「お前は箪笥をあさるのに反対じゃなかったか?」

 そして、次の朝。
「ああ、よく寝た」
ナナカが清々しい顔で伸びをしている。
「もう大丈夫だから出かけようか」
これでは普通に宿に泊まったのと同じではないか! せっかく旅を長引かせるチャンスだったのに。というかナナカ、たかが薬草でこの治癒力。只者ではないなこいつ。
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