落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第74話 インチキ商品

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 とても怪しげな店の前を通った時のことです。
「恋愛専門店ですって♡」
ナナカさんが目をハートにしながら言い出しました。
「まさか入りたいなんて言いませんよね?」
「入りたい!」

 町の中にある店ならまだしも森の近くの道路沿いにぽつんとある店ですよ。狸か狐が旅人を騙すために建てた店に決まってます。
「早く行くよリーサ」
「ちょっと待ってください」

 店の中はそんなに大きくありません。狭い空間に所狭しと商品が並べられています。
「男子禁制女性専門店だって」
どういう店なんですか!

「あ! 気になる人が振り向いてくれるおまじない集だって」
「胡散臭いですね。恐らく効果はないと思います」
私の忠告なんて聞く耳を持たないナナカさんは更に探索を続けます。
「こっちは必ず当たる恋占いだって」
「もし、凶と出たらどうするんですか? 絶対に当たるんですよ?」
「大丈夫! 凶は絶対に出ないって書いてあるわよ」
「完全なインチキ商品です!」

 その後もナナカさんはとどまるところを知らず店中の商品を見て回るのでした。
「もう1時間も見てますよ。そろそろ行きましょう」
「これなんか凄いわ」
「聞いてます?」
「相手が必ず自分に恋する魔法の巻物だって」
「だ・か・ら~」
「この巻物に書いてある魔法を習得したら意中の人に愛されるんだって!」
「ミーニャさんも何とか言ってください」

「・・・・・・・・・・・・欲しい」
「え?」
ミーニャさんが虚ろな目で巻物を見ています。
「ダメですよ。インチキ商品に決まってます」

 私たちが宿に入るとミーニャさんはウキウキで巻物を見ています。結局、私があれだけ言ったのに例の巻物を買ってきたんです。値段は高くありませんでした。むしろ安いくらいです。でも、こういう商品て安ければ安いほどインチキ度が増しますよね?

「なるほどなるほど。意中の相手に目を閉じさせてこの呪文を唱えるのか。割と簡単だな」
ミーニャさんは説明書を食い入るように見ています。意中の人がいるのでしょうか?

「よし、完璧だ!」
ミーニャさんはそっと説明書を閉じると深呼吸を一つして言いました。
「リーサ、こちらに来い」
「はい、何でしょう?」

 ミーニャさんはこほんと咳払いをしました。
「目を閉じろ」
「ええーーー! まさか私を実験台にするつもりじゃないですよね?」
「実験台などではない。安心しろ」
「何を安心するのですか!」

 ナナカさんが私の体を押さえます。
「ナナカさん、何をするのですか?」
「だって面白そうじゃん」
「ええーーー!」

 ミーニャさんの魔法で無理やり眠らされた私の意識が戻り始めたのは10分後でした。遠くの方で声が聞こえてきます。
「なかなか目覚めないね?」
「魔法を強く掛けすぎたか?」

 ようやく我に返った私は、そうっと目を開けます。するとナナカさんが私を覗き込んでいるのが見えました。
「どうだ気分は?」
そう言えばいつもと違うような? あれ? とても変な気分です。どうしたのでしょうか?

「私、私、どうしたのでしょう?」
ミーニャさんがうんうんと頷いています。
「もうこの気持ちは抑えきれません」
「抑えなくてもいいぞ」
ミーニャさんが満面の笑みで私を見つめます。

「愛してますナナカさん!」
「何だと!!!」
ミーニャさんが慌てて説明書を見直しています。
「これかー!」
「どうしたのミーニャ?」
「この魔法は目を開けた時、最初に見た人を好きになるそうだ。迂闊だった!」
ミーニャさんは地団駄を踏んで悔しがっています。

 その後、私はナナカさんにピッタリとくっついて過ごしました。自分の心がコントロールできません。ミーニャさんは部屋を破壊しそうな勢いで荒れていましたが、今の私には関係ありません。ナナカさんさえ近くに居れば嬉しいのです。

 そして30分後。ミーニャさんが宿の天井をぶち抜こうとした時、私の様子が一変しました。
「あれ? 私は何をしていたのでしょうか?」
「さっきまで私のことを愛してるって言い続けてたのよ」
ナナカさんが悪戯っぽく言います。
「そんな! まさか! 恥ずかしいです」
またもやミーニャさんが慌てて説明書を読みます。

「魔法の効力は30分だと?」
さすがにインチキ商品ですね。
「だから使えないって言ったじゃないですか」
私は勝ち誇って言います。冷静な判断をしたのは私だけですから。

「いや、これは使える」
「はい?」
この後、私は30分おきにこの魔法を掛けられるのでした。
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