落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第77話 遺書を書きました

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 ハーハーハー。
「どうしたリーサ。まだまだ特訓は始まったばかりだぞ!」
「ミーニャさん、もう夕方の5時です」
ミーニャさんは異世界らしからぬ腕時計を見ました。
「いつの間に時間が過ぎたのだ?」
ミーニャさんが辺りを見渡しています。

「丁度いいところに。よしリーサ、あのスペシャルゴールデンドラゴンを倒したら今日の修行は終わりにしよう」
「それって絶対に終わらないパターンですよね?」
「いや分からぬぞ。リーサが死んで終わる可能性もある」
「リアルな冗談はよしてください」
「いつになく声が低いな・・・・」

 結局わずか5分で私が死にそうになってミーニャさんに助けて貰いました。
「リーサって弱いわよね」
ナナカさんが人ごとのように何か言っています。別に私が弱いのを否定しませんが、ナナカさんはこの修行に耐えられるというのですか? あっ、声に出さないと伝わりませんよね? でもここで言えないのが私なのです。

 今日の宿は部屋にお風呂がないタイプです。ミーニャさんとナナカさんが大浴場に行きました。私は疲れが酷くベッドに転げています。いつまでこの生活が続くのでしょうか? いっそのこと死んだ方がましです。以前にもこんなことがありましたが、あのときの方が遙かに楽でした。今回はミーニャさんのやる気が凄いです。あれ? そう言えば前回の時は怖いモンスターさんが常にいましたから逃げ出せずにいましたが、今回はいませんよね。簡単に逃げられるのではないでしょうか?

 私はベッドから起き上がると部屋のドアを少し開けて様子を覗います。ミーニャさんはどこにもいません。チャンスです。でも、すぐに探し出されてしまうかも知れませんので、今回は一工夫することにします。

 私は鞄から便箋を取り出すと遺書を書きました。
『今の生活に疲れました。もう生きていく自信がありません。今までありがとうございました。ではさようなら」
ちょっと淡泊すぎたでしょうか? まあ本物の遺書じゃありませんからこれでいいですよね。ミーニャさんがこの遺書を見たら『今まで悪かった。リーサ許してくれ』となって、もし見つかってしまったとしても、私に優しくしてくれるはずです。では、この遺書を見つけやすいテ-ブルの上に置いてと。これで準備完了です。

 さあ出かけることにしましょう。でもその前に。私はあまりお金を持っていませんから少しだけミーニャさんの財布から拝借することにします。勿論これは犯罪だと分かっています。分かってはいますけど、背に腹は代えられないという奴です。よい子のみんなは絶対にマネをしないでくださいね。

 私はミーニャさんの鞄をあさります。ありました。トゲがたくさん付いたがま口ですね。あれ? 目玉が付いています。心なしか私を睨んでいるような? 気のせいですよね? では開けてっと。ガブ! 痛い! がま口が私に噛みつきました。信じられない現象ですが、異世界を牛耳るミーニャさんの持ち物ならあり得ます。

 私は指をくわえて離さないがま口を引っ張りますが、どうしても抜けません。手を振ってみますが、なかなかにしぶといです。このままでは出かけられません。どうしましょう。

 その時とんでもないアイデアが思い浮かびました。
『このままがま口ごと逃亡すればいいんですよね?』
そうと決まればレッツゴーです!

 ガチャ! え? ミーニャさんとナナカさんが帰ってきました。
「リーサ、起きているのか? 風呂に入ってくるといい。大きな良い風呂だったぞ」
私はそっと手を後ろに回します。
「ん? 何か隠したか?」
「やだ~まさかそんな~」
ミーニャさんが私を不思議そうな顔で見つめています。ミーニャさんの財布を盗もうとしてたことがバレたら大変です。あの嘘の遺書が本物になってしまいます。

「リーサが持ってるのってミーニャの財布じゃん」
「×△◎□▼#☆!!!」
私の背後でナナカさんが大発見をしたように大声で言いました。実際大発見なんですけどね。

「どういうことだ?」
ミーニャさんの声がいつもにも増して太いです。
「違うんです。たまたまミーニャさんの鞄に手を入れたら噛みつかれたんです」
「たまたま人の鞄に手を入れることなんてあるの?」
ナナカさん、このタイミングで余計なことを!

「ごめんなさい。ミーニャさんの鞄から珍しいがま口が見えましたので、興味本位で手を入れてしまいました」
「そうか。それなら仕方あるまい」
神様! ありがとうございます! 今日からは熱心な信者となって毎日お祈りをいたします。

「あれ? テーブルの上に手紙があるわね?」
またしてもナナカさん余計なことを。遺書を書いたことを知られたら興味本位で鞄に手をやったことが言い訳だったとバレてしまうではないですか!

 ミーニャさんが私の遺書を読んでいます。とてもとても怖い目つきです。これはもうダメですね。今晩、本物の遺書を書く時間を与えていただけるのでしょうか?
「リーサ!」
「はい!」
「こんなにも苦しんでいたのか? 私は反省したぞ!」
え? え? え? え? 
「これからは特訓を簡単にしてやろう」
何かわけの分からぬままに助かりました。でも遺書を見ても『特訓は止めよう』にならないのですね?
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