落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第81話 ニート生活万歳!

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 私の目の前に魔王城が見えます。遂に帰って来たのですね。もうヘンテコな旅をしなくてもいいのですね。思わず涙ぐんでしまいます。
「では隣町に行くことにしよう」
「どうしてですか?」
ミーニャさんは時々妙なことを言い出しますよね。

「この時間だと城には誰もおらぬからな。鍵がかかっていて中には入れん」
「あからさまな嘘をつかないでください!」
私はミーニャさんの手を引っ張って魔王城に向かいます。

「ラスボス様、良くご無事で」
「うむ、予定より1ヶ月も早く帰ってきたぞ」
魔王城に入るといつものように物凄い数のモンスターが整列していました。

「私の留守中に何か変わったことはなかったか?」
「大丈夫です。ラスボス様の代わりにレッドキング様が城の運営をつつがなくこなしてくださいましたので特に困ったことはありませんでした」
「そうか」
「ミーニャ様よりレッドキング様の方が異世界を支配するのに向いているのでは?」
「お前死刑な」
「待ってください。ほんのジョークにございます。どうかお許しを」
「私は機嫌が悪いのだ。そんなときにこんなジョークを言って無事に済むと思うのか?」
「機嫌が悪いとは知りませんでした」

 機嫌に関係なく死刑が宣告される事案ですよね? ところでミーニャさんはどうして機嫌が悪いのでしょうか?
「リーサ様、お願いですからミーニャ様に死刑は可愛そうだと言ってください」
さっきのモンスターが私にすがりついて頼んでます。
「ミーニャさん、さすがに死刑は可哀想です。せめて腕立て10000回にしてあげてください」
「リーサが言うのなら仕方ない。そうしよう」
いいことをした後は気持ちいいですね。さっきのモンスターが『どうしてどうして10000回なんですか~』と言いながら連れ去られていきましたが、特に気にしなくていいですよね?

 でも、これで毎日美味しい食事ができます。ふかふかのベッドで寝ることもできます。更に一日中ダラダラしていてもいいのです。まさにニート生活そのものです! 何て幸せなのでしょうか?

「えらく幸せそうだなリーサ」
「はい、こんな幸せなことはありません」
「旅をしている方が波瀾万丈で楽しいだろう?」
「そんなことはありません。魔王城での生活の方が幸せに決まっています」
「どうしてだ?」
ここでニートを口にしてもいいものでしょうか? ミーニャさんのことですから『これではいかん』とか言い出して特訓させられそうです。 

「私はミーニャさんとの安定した生活が好きなんです」
「そうか!」
ミーニャさんが私の手を取って喜んでいます。誤解される表現だったのでしょうか?
「おい! これからはリーサと同じ部屋で寝ることにしよう。私の寝室にもう一つベッドの用意をせい!」
「何でそうなるんですか?」
「安定した生活とはまさに夫婦生活。さっきのはプロポーズじゃないのか?」
「違います!!!」

 本当に言葉って難しいですよね? ミーニャさんと24時間一緒にいるのは絶対に無理です。表現を間違うとすぐに『消すぞ』と言われてしまいます。第一私は独りをこよなく愛する陰キャなんです。他の人と24時間共にするのは耐えられません。あれ? もしかして私って結婚できない人ですか?

「ラスボス様、お食事の用意ができました」
「そうか」
「で、今日のお箸は赤にしますか? それとも青にしますか?」
「そんなのどちらでもいい!」
「それと前菜の皿の色は?」
「何でそんな下らんことを聞くんだ? 何色でもいい!」
「しかしながらラスボス様のお気に召さなかった時はすぐに『消すぞ』と言われますので」
私だけじゃなかったんですね。

「ラスボス様、ご報告います。イエロードラゴンが戦闘中に自分の足を踏んで1のダメージを受けました」
「どうでもいい報告をするな!」
ミーニャさんも苦労が絶えないのですね?

「ラスボス様、ご報告します。極西地域を支配するブラウンドラゴンが無理やり冒険者に戦闘を挑み不正に経験値を上げている模様です」
「だからそんな下らん報告は・・・・・・・・・・・・今、何て言った?」
「ブラウンドラゴンが無理やり冒険者に戦闘を挑み不正に経験値を上げております」
「一大事ではないか!」

 ミーニャさんが私を見つめます。嫌な予感が背筋を走ります。
「リーサ、異世界を揺るがす大事件だ。今から極西地域に向かうぞ」
「どこまで隙だらけの政治をしているのですか!」
「まさか嫌とは言わないよな?」
「嫌です!」
「冷たくないか?」
「どうして私まで行かなくてはならないんですか? 行くならミーニャさん1人で行ってください!」
せっかく掴みかけた幸せをそう簡単に手放してたまりますか。

「私が居ない魔王城は怖いぞ」
「そんな脅しはもう通用しませんよ」
「モンスターに食われてしまうかもしれんぞ?」
私は報告に来たモンスターに聞きます。
「私を食べたりしませんよね?」
「勿論です。ご安心ください」
「大丈夫じゃないで・・・・」
そう言いかけた私は言葉に詰まります。モンスターが涎を流しているのではありませんか。もう、どうすればいいのですか?
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