落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第82話 逃亡成功です

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 このままではまた不毛な旅をすることになってしまいます。何とか対策を練らなければいけないのですが、いいアイデアが思いつきません。困りました。
「リーサ、明日の朝出発だ。旅の準備をしとけ♪」
この喜びようでは恐らく瞬間移動は使わないと思います。そうなると、また野宿させられたり、変なモンスターと戦わされたりしかねません。

 私は考えながら移動してます。いいアイデアを出したい時は歩くのが一番ですね。あれ? モンスターが中庭で鍋を煮ています。キャンプの練習でしょうか?
「何をしているのですか?」
あまりに気になりましたので聞いてみることにしました。
「ラスボス様が出かけた後に人間の女がいたら食べていいそうだから味付けの練習をしているのだ」
そうきましたか。ミーニャさんやりますね? 私の方から『連れて行ってください』と言わせるつもりですね?

 こちらでは塩胡椒を振りかける練習をしています。はっきり言ってこの練習は必要ないと思います。ちょっと追い詰められましたね。さあ、どうしましょうか? やはり逃亡するのが一番だと思います。となると実行するタイミングが大事ですよね。ミーニャさんが出かけた後では食べられてしまう恐れがあります。でも、出かける前だとミーニャさんの許可がいります。とても逃亡の許可をくれるとは思えません。

 私はまたまた歩き回って考えます。すると廊下で2匹のモンスターが揉めていました。
「俺が先に食うんだ」
「俺に決まってるだろうが」
もしかして城内のモンスター全員が私を狙っているのですか? やはりミーニャさんが出かける前に逃亡した方がよさそうですね? でも、どう言えば魔王城からでることができるでしょうか。ここが正念場です。しっかり考えねばいけません。そうだ、いいことを考えました。

 私は早速ミーニャさんの部屋に行きます。
「ミーニャさん」
「どうしたリーサ。旅の支度はできたか?」
「それが旅に持って行きたい物が足りません。町に買いに行ってもいいですか?」
「足りない物はメイドに言え。すぐに用意するだろう」
「いえ、私が自分の目で選びたいのです」
「何を買うのだ?」
「洋服とか。アクセサリーとか」
「あまりファッションにこだわらないリーサにしては珍しいな」
「せっかく旅に出るのですから、ミーニャさんに可愛いと言って欲しくて」
「そうか! 買いに行ってもいいぞ。メイドも連れて行くと便利だぞ」
「さすがにモンスターが町に行くのは不味いと思います」
「それもそうだな。だったら私と行こう。私も欲しいものがあるのだ」
う! 思わぬ方向に話が行きました。修正せねば。

「ミーニャさんには私がそれを身につけた姿を楽しみにしていて欲しいです」
「なるほど。わかったお金はメイドに言って貰っていくがいい」
「ありがとうございます」
やりましたー! 思いっきり作戦成功です。これでこのまま逃亡してしまえばいいわけですね。しかもお金まで手に入れることができました。

 私は近くの町に向かいました。最初は本当に町に行って買い物をします。そして魔王城とは反対方向に行けば逃亡成功です。何て完璧な作戦でしょうか?

 私は慎重に周りを見ます。見張りのモンスターがいるかも知れません。町の人が騒いでないところを見ますとモンスターはいませんね。一番危ないのは町を出た後です。モンスターが待ち構えている可能性が高いです。私は慎重に町の外を見ます。モンスターはいないようです。このまま魔王城と反対方向に行けばOKですね。

 私はできる限り早歩きで町を出ました。誰も着いてきません。脱出は成功したようです。ミーニャさんやナナカさんとお別れするのは少しだけ寂しいですが、これも自分の身を守るためです。仕方ないですよね?

 結構、魔王城から遠ざかったと思います。これでもう安心ですね。私は手頃な石を見つけそこに座りました。先ほど買ったフレッシュオレンジジュースを飲みたいと思います。新しい人生に乾杯です。

 ああ、美味しいです。何でしょう。得も言われぬこの開放感は。
「リーサ」
誰かに声を掛けられました。
「えらく遅かったな」
「ええーーー!!! ミーニャさん!」
森の木で見えませんでしたが、木の隙間から魔王城が見えます。反対方向に進んだつもりが魔王城に向かって進んでいたようです。まさかこんな所で私の方向音痴が炸裂しようとは思いませんでした。私は逃亡を試みたなどとは言うことができず、ミーニャさんと魔王城に戻るのでした。
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