落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

文字の大きさ
13 / 91
第1章 運命の出会い

第13話 さっぱりわからないわ

しおりを挟む
 リーサの弱さが証明されたとなれば、今後の特訓はよりハードなものにせねばなるまい。
「よし、次はこのスペシャルゴーレムを倒してみろ」
「ひぇー! どうしてこんな強そうなモンスターばかりなんですか?」
リーサは両手を挙げて逃げ回っている。
「どうした? 逃げていてはいつまでたっても強くはなれんぞ?」
「こんな強いモンスターを倒すなんて無理です~! 助けてくださ~い」
「もう少し様子を見てからにする」
「そんな悠長なことを言ってないで助けてください!」
「仕方のない奴だ。ほれ!」
スペシャルゴーレムは大きな爆発音と共に跡形もなく消え去った。

 どうしてリーサはいつまで経っても強くなろうとしないのだ?  やる気の問題か?
「リーサ。お前は強くなりたくないのか?」
「強くはなりたいですが死ぬのはもっと嫌です」
「そうか。強くなりたいか」
「死ぬのは嫌という方に重点を置いて聞いてください!」
「何だと?」
「ひぇー! ごめんなさい」

 ん? 『ひぇー! ごめんなさい』? 何か最近よそよそしくなってないか? 少し高圧的な話し方をしすぎたのだろうか? 仕方ない少し口調を変えて優しさをアピールしてみるとするか。
「私に任せてね。もっともっと強いモンスターと戦わせあげるわ。そうすればすぐに強くなれるはずよ」
「ご、ごめんなさーい!! 無礼な口を利いたことは謝りますから、どうかお許しください!」
「せっかく優しい口調にしてあげたのにどうして謝るの?」
「優しい口調の方がかえって怖いです!」
リーサが土下座をしている。これはどういうことだ?

「取り敢えず強いモンスターを倒せば経験値が大きく上がるわ。あそこにいるグレートブルードラゴンスペシャルを倒せば、おそらくあなたのレベルだと今の経験値の2倍になるはずよ」
「絶対に死にます!」
「あら死んでも大丈夫よ。私が蘇生の魔法をかけて生き返らせてあげるから」
「え! 本当ですか?」
「ええ本当よ。私の魔法はとても強力なの。4分の3の確率で生き返ることができるわ」
「4分の1は死んじゃうんですね?」
「何か言ったか? 声が小さくて聞こえないぞ」
「何でもありません・・・・。ていうか口調が元に戻ってます・・・・」

 グレートブルードラゴンスペシャルは激しい炎をはいた。
「キャー!」
リーサが転げ回ってこれを避けているではないか。ある意味凄い反射神経だ。こんな能力があるのならもっと強くなるだろうに。それともこれが火事場の馬鹿力という奴か?
「リーサ気を付けて。跡形もなく消え去ったら蘇生魔法は使えないわよ」
「ひっ!! さりげなく怖いことを言ってないで助けてください!!!」
リーサは必死で転げ回っている。
「うまいうまい。その調子よ」
「本当に死んじゃいます! 助けてください!」

 そして十分後。
「よく頑張ったじゃない」
「もっと早く助けてください。本当に死ぬところでした」
「何事も経験よ」
「その話し方も止めてください。なぜかダメージが大きいですから」
「どういうことだ?」
「急に元に戻るのも止めてください。怖すぎます。と言いますか本当に死んだらどう責任を取るんですか? そこまできちんと考えてます?」

 ドドドドド! 高レベルのモンスター達が押し寄せてくる。
「ミーニャ様になんて口を利いているんだ!」
「ひえええ! どうして遠くにいるのにわかるんですか!?」
「高レベルのモンスターを嘗めるなよ!」
「ご、ごめんなさーい!」
こうしてリーサはあまり話さなくなってしまった。

 この頃リーサが無口なのはどうしてだ? さっぱりわからん。悩みがあるのかも知れんな。ここは優しく心のケアをしてあげるとしよう。
「おい、リーサ。この頃元気がないようだが、何か悩みでもあるのか?」
「・・・・いえ」
「悩みはないんだな?」
「・・・・いえ」
「どっちなんだ?」
「・・・・いえ」
「嘗めとるんか!」
「ひぇー! ごめんなさい」
全く。急に『・・・・いえ』と『ひぇー! ごめんなさい』しか言わなくなってしまった。どうしたものか? そうだいい方法があるぞ。

「リーサ。私としりとりをしないか?」
「・・・・いえ」
「そうかやりたいか」
「・・・・いえ」
「では私からいくぞ。りんご」
「・・・・いえ」
「エリマキトカゲ」
「・・・・いえ」
「エンドウ豆」
「・・・・いえ」
「え、え、縁側」
「・・・・いえ」
「え、え、え、え・・・・嘗めとるんか!」
「ひぇー! ごめんなさい」
ダメだこりゃ。

 よし、それなら。
「次はクイズをしよう」
「・・・・いえ」
「このクイズは少し変わっているぞ。私の出したクイズに正解したら負けだ。もし正解を答えてしまったら怖いモンスターが押し寄せてくるから気を付けろ。いいか?」
「・・・・いえ」
「では第1問だ。英語でハウスとはどういう意味だ?」
「・・・・いえ」
「家?」
「あ!」
「正解だ」
ドドドドド!

「ミーニャ様どういたしましたか? おい、ミーニャ様に何をした!?」
「こんなの卑怯です!」
「やっと他の言葉を話したな。いいか? これからも普通の会話をしなければこうなるからな」
「ひぇー!」
こうしてリーサは渋々普通の会話をするようになったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...