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第2章 新たな敵を倒せ

第31話 アジトはどこにある?

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 ところでここはどこなのでしょうか? 建物から出たことがないので見当が付きません。
『ここからは出ない方がいいよ。とても危険だからね』
ナナカさんに言われたことが気になります。私が予想するに、ここは森の中で建物から出ると危険な野生モンスターがいるのではないでしょうか? でも気になります。戸を開けて外を覗くくらいなら大丈夫かもしれません。

 好奇心が抑えられない私はそっと玄関らしき場所に移動しました。きっとあれが玄関の扉です。普通の玄関とは違った厳重な扉になっています。敵が攻めて来ないように頑丈に作られたのしょう。私は躊躇いながら取っ手を握りました。非常に重いです。

 格闘すること20分。なかなか手強いですねこの扉。全体重を扉にかけてもなかなか動きません。諦めようかと思いましたが、見ることができないとなると余計に見たくなるのが人間心理です。もう少し頑張ってみることにします。

 キー! あっ少し動きました! 私はこのチャンスを逃すまいと全体重で扉を押します。キーー。開きました! 私が見たかった扉の向こうは!? あれ? また扉があります。さっきの重労働をもう一度やらなくてはいけないと言うことでしょうか? 華奢な私にはきつい作業です。どうしましょう?

 よいしょ! 興味が勝ちました。先ほどの重労働を繰り返すこと20分。少しだけ扉が動いた気がします。まさかとは思いますがこの扉の向こうにまた扉があるなんてことないでしょうね?

 キー。開きました! さて2つ目の扉の向こうは? 扉がありました。何か予想通りですよね。でもここまで来るともう後には引けません。この扉も開けることにしましょう。扉の向こうは綺麗なお花畑かも知れません。或いは広々した高原かも知れません。早速開けましょう。あれ? 何か忘れているような? そうでした。ナナカさんは『とても危険』と言ってたのでした。お花畑や草原な訳ありませんよね。やはり止めておきましょうか。でも見たいです。もし危険そうなら扉をすぐに閉めてしまえばいいと思います。開けることにしましょう!

 今度の扉は根性がありますね。ビクともしません。全く開く気配がありません。もしかしたら鍵がかかっているのでしょうか? でも鍵穴なんて有りませんし・・・・。
「こんな所で何をしているのだ?」
「キャー!」
革命軍に来た時に会ったモンスターさんです。

「この扉の向こうは何かなって思いまして」
「この扉を開けるのは危険だ」
「どう危険なのか気になったものですから」
「この扉を開けると即死するぞ」
ええーーー! まさかここまで危険だったとは!

「危険な野生モンスターでもいるのですか?」
「いや、そんな物はいない」
「では何が危険なのでしょうか?」
「扉を開けてみればわかるぞ」
「遠慮します」
即死と聞いて開ける人はいません。

「ところで外の景色を見てどうするつもりだったのだ?」
「別にどうしようというものはありません。ただ気になったものですから」
モンスターさんは腕組みをして考えています。因みにこのモンスターさんは人間型です。

「まさかあなたはラスボスから派遣されたスパイでこの基地の情報を伝えようとしてないだろうな」
全くその通りです。でもそんなことがバレたら速攻で死刑ですよね。ここは必死で白を切ることにします。

「そんな~、どうやって知らせるんですか?」
「テレパシーを使って知らせているとか」
鋭い!
「無理ですってば~」
私って嘘をつく時は敬語じゃなくなるんですよね。私をよく知っている人にとっては大変わかりやすいそうです。

「そんなに外を見たければこちらの窓から見ると言い」
窓があったのですね? 私は喜んで窓の方に進みます。私って本当に単純かも。
「あれ? 暗いですね。下の方に青い物が見えますが」
「あれは地球だ」
「え?」
「ここは地上200000mの位置にある」
ええーーー! 本当に地上200000mだったんですね。と言うことは笛がバグってたんじゃなかったということですか。

「この基地の外は700℃だ。速攻死ぬ意味がわかったか?」
「え? 上空は寒いんじゃないのですか?」
「少し難しい話になるが聞きたいか?」
「はい聞きたいです」
「普通は200m上空に行くにつれ1℃気温が下がる」
私が理科の時間に習ったのと同じです。
「でも、それは100000m位までの話だ」
「???」
「100000mを越えた当たりから温度は再び上がり始め地上120000mで100℃。200000mで700℃にまで上がるのだ」
知りませんでした。結構ためになる面白い話ですよね。高校の理科の時間は退屈で何も聞いていませんでしたが、こんな話もしていたのでしょうか?

「この高さだと空気は地上の5000000000分の1のなるから速攻死ぬのだ」
ええーーー! 想像以上に危な場所でした。
「因みにスペースシャトルはこの高さを飛んでいたのだ」
「どうして異世界のモンスターさんがスペースシャトルを知っているのですか!」
「異世界に転生してきた科学者の男に聞いたのだ」
「なるほど」

 私はふと気付きました。もしこのモンスターさんがここに来ていなかったら、今頃私は宇宙の藻屑となっていたのでしょうか? もう余計な興味を示すのは止めにしようと思う私なのでした。
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