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第四十五話 悪夢
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私はまだ三歳。お母さんが私を置いて出かけてしまった。
「お母さんは?」
「三日後にお帰りになる予定でございます」
「どうして、お母さんはいつも私を置いていくの?」
「はい、それはプリンセス様のことが嫌いでいらっしゃるからです」
「お母さんは私のことが嫌いなの?」
「そうでございます」
「何で? 何で私のことが嫌いなの?」
「それはプリンセス様が本当の子どもじゃないからです」
「え? どういうこと?」
「プリンセス様は橋の下で保護されたのです」
「そんなの嘘だもん」
「いえ、本当にございます」
「だったら私もお母さまなんか嫌いだもん。嫌いだもん。嫌い嫌い‥‥」
「にゃー」
はっ!
「どうしてあんたが私の上に乗ってるのよ!」
変な夢を見てしまったわ。お母さんが私を置いて出かけるなねなかったし、どうしてこんな夢を見るわけ? それにしてもリアルな夢だったわね。
「にゃー」
こいつが私のお腹の上で寝てたからかしら?
こちらの地方のことはよく知らないけど、この町ってどんな町だったかしら。私は机に置かれているホテルのパンフレットを手に取った。
『ようこそナイトメアの町へ。現在当ホテルで宿泊の皆様に抽選で毎日一名、悪夢を見ていただくキャンペーンを開催中』
何なのよこれ! しっかり私が当たっちゃったってこと?
私は隣で寝ている芽依に視線をやった。
「もう、お兄ちゃんダメだよ」
夢で兄妹げんかでもしているのかしら?
「仕方ないなあ。小百合さんとマリーさんには内緒だよ。やだあ、お兄ちゃんたら。積極的なんだから」
何の夢を見てるのよ!
気になった私は小百合が寝ている方へと視線を移す。
「あと三日。あと三日の辛抱よ。そうしたらマリーに毒が回ってくるわ。三日後には私達は昔のように恋人同士に戻れるのよ。もう邪魔者はいなくなるわ。四郎君、二人で幸せに暮らしましょう」
此奴こんなことを思ってたのかい! 許せん!
それにしても私だけ悪夢を見るなんて運がないわね。私は再びパンフレットに目をやる。『でもご安心を。リアルな悪夢は精霊の漠が食べてくれます。起きてすぐは悪夢の内容を鮮明に覚えていますが、時間が経つにつれて脳内から消え去り爽やかな感情に満たされるでしょう』
え? 忘れる? おかしいわね。今でも鮮明に覚えてるんですけど。
ガタッ!
「え? 何?」
私は音がした天井の隅みに目をやると見慣れない精霊がぼんやりと見えた。
「あれが精霊の獏って奴ね」
獏はとても怯えた感じで今にも消えそうになっている。
「どうしたのよ。悪夢を食べに来たんじゃないの?」
「ギャー! フー! ニャーオ!」
「精霊が私の悪夢を食べなかったのはお前のせいやったんかーい!」
こうしてトラウマレベルの悪夢は私の心の中に一生残っていくのだった。
「お母さんは?」
「三日後にお帰りになる予定でございます」
「どうして、お母さんはいつも私を置いていくの?」
「はい、それはプリンセス様のことが嫌いでいらっしゃるからです」
「お母さんは私のことが嫌いなの?」
「そうでございます」
「何で? 何で私のことが嫌いなの?」
「それはプリンセス様が本当の子どもじゃないからです」
「え? どういうこと?」
「プリンセス様は橋の下で保護されたのです」
「そんなの嘘だもん」
「いえ、本当にございます」
「だったら私もお母さまなんか嫌いだもん。嫌いだもん。嫌い嫌い‥‥」
「にゃー」
はっ!
「どうしてあんたが私の上に乗ってるのよ!」
変な夢を見てしまったわ。お母さんが私を置いて出かけるなねなかったし、どうしてこんな夢を見るわけ? それにしてもリアルな夢だったわね。
「にゃー」
こいつが私のお腹の上で寝てたからかしら?
こちらの地方のことはよく知らないけど、この町ってどんな町だったかしら。私は机に置かれているホテルのパンフレットを手に取った。
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私は隣で寝ている芽依に視線をやった。
「もう、お兄ちゃんダメだよ」
夢で兄妹げんかでもしているのかしら?
「仕方ないなあ。小百合さんとマリーさんには内緒だよ。やだあ、お兄ちゃんたら。積極的なんだから」
何の夢を見てるのよ!
気になった私は小百合が寝ている方へと視線を移す。
「あと三日。あと三日の辛抱よ。そうしたらマリーに毒が回ってくるわ。三日後には私達は昔のように恋人同士に戻れるのよ。もう邪魔者はいなくなるわ。四郎君、二人で幸せに暮らしましょう」
此奴こんなことを思ってたのかい! 許せん!
それにしても私だけ悪夢を見るなんて運がないわね。私は再びパンフレットに目をやる。『でもご安心を。リアルな悪夢は精霊の漠が食べてくれます。起きてすぐは悪夢の内容を鮮明に覚えていますが、時間が経つにつれて脳内から消え去り爽やかな感情に満たされるでしょう』
え? 忘れる? おかしいわね。今でも鮮明に覚えてるんですけど。
ガタッ!
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「精霊が私の悪夢を食べなかったのはお前のせいやったんかーい!」
こうしてトラウマレベルの悪夢は私の心の中に一生残っていくのだった。
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