オタクですがなにか?

夏目 涼

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第2話

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いつも陽菜と登校する時に待ち合わせしている場所に向かう。
陽菜は携帯を触りながら待っていた。

「ふわぁ~。おはよ~」
「おはよ。大きいあくびだね。夜更かし?」
「そうなんだよね・・・昨日遅くまで勉強してて・・・」
「え?!千代が?!ゲームじゃなくて?勉強で夜更かし!?」

陽菜が歩いていた足を止めて驚く。

「何よ・・・私が勉強頑張ったらそんなに驚くの?」
「そりゃそうでしょ。自分の趣味以外に時間割くの嫌いなのに」
「そうだけど、昨日は愛しのモリスが私の脳内に登場したからね。応援する声も聞こえたし、私はもうモリスと一緒に受験勉強している気分だったのよ」
「・・・え?モリスって・・・あのマド学の?」
「そうよ!私を応援してくれてたの。頑張れって。推しにそう言われたら頑張るしかないでしょ」
「・・・モチベーションはやっぱりそれなのね」
「それ以外に何があるの?」
「・・・・千代に聞いたのが間違いね」

最近は登校中に陽菜と“魔導士学園ヴァース”、通称“マド学”の話をすることが多い。
もちろん、陽菜もマド学ファンだ。

「でも、確かに私もレイスに言われたら頑張っちゃうかも!」
「でしょ~?やっぱり陽菜なら分かってくれると思った!」

陽菜の推しキャラ“レイス”はマド学の主人公だ。地道に努力して魔法を覚えていく友達思いの優しいキャラだ。
私の推しキャラ"モリス"はそのレイスのライバル。親友に裏切られた過去で人を信用できない一匹狼。無表情で自分にも他人にも厳しく、他人には冷たい態度しかとれない。レイスがピンチになっている時に何かと助けてくれる実は優しい一面もあったりする。

「あ~あ。現実にモリスがいたらなぁ・・・」
「それは無理でしょ。もしいても怖くて近づけないよ」
「えー・・・そうかなぁ」

そんな妄想の話をしながら再び学校に向かって歩き出した。











学校に着き、陽菜とはクラスが別なのでここでお別れだ。

「じゃ、また放課後ね~」

手を振って私は自分の教室に入る。
自分の席に着くと、前の席の女の子が後ろを振り向く。

「おはよ!千代ちゃん・・・」
「おはよ、秋ちゃん・・・どうかした?」

何か言いにくそうにしている前の席の秋元 由紀子をみて心配する。

「1限目、私当たっちゃうんだよね。宿題見せてくんない?」

普段私に宿題を見せて欲しいとか話しかけてこないのだが誰もやってきていなかったのだろう。

「いいよ」

私は笑顔で1限目の数学のノートを渡す。

「ありがとう!」

彼女はホッとしたようにノートを取ると前を向いてノートを写した。

昨日頑張って宿題と試験対策ドリルをしてたから眠いな・・・。

私は意識が遠くなっていくのに抗えずそのまま目を瞑った。







夢の中で、推しキャラのモリスが普段見せないような笑顔でこっちを見ている。
昨日勉強頑張ったご褒美??

「山田・・・」

え?モリスが私の苗字を呼んでいる???
私はモリスに手を差し伸べる。





「山田さんっ!」
「はっ!」

私は勢いよく意識を取り戻す。
気がつくと、もう一限目の数学が始まっていた。

「全く・・・受験生だと言うのに授業中に居眠りとは随分余裕ですね」
「・・・すみません」

数学の先生の安藤先生がジロリとこちらを睨む。
クラスのみんなクスクス笑っている。

恥ずかしい・・・せっかく頑張って勉強しても授業中寝てなら内申点に影響が出るかもしれない。

私は俯くことしか出来なかった。












1限目が終わり、次の授業に向けて準備をしていると前の席の由紀子が後ろを振り向く。

「千代ちゃんにノート返そうと思って起こしたけど全然起きなくて・・・そのまま授業始まっちゃって・・・ごめんね」
「いいよ。私が悪いんだし・・・まじ意識飛んでた」

私は、笑いながら答える。

「寝るのは別に構わないけど、授業中断は勘弁しろよな」

隣の男子がむすっと言う。
学年1位の学力を持つメガネ男子、吉田 裕樹。
私がそれだけ勉強してもいけないようなレベルの高校に受けると言う噂は聞いている。ピリピリしているのだろう。

「ごめんね」

私は両手を合わせて素直に謝る。

「・・・別にいいけど。気をつけろよな」

裕樹はそういうとすぐに自分の机に目を向けて勉強をする。

勉強に集中している裕樹をチラリと見る。

モリスが現実にいたらこういう性格なのだろうか?
いや、顔が全然違う。モリスはこんなに地味じゃないや。

夢で見たモリスの笑顔を思い出す。

あぁ・・・あの笑顔をまた見たい。

カバンについているモリスのストラップを見る。

夢だとしても結構リアルだったな。漫画の絵がそのまま人間になった感じ。本当に実在したらあんな感じなんだろうなぁ。

私は視線を感じ、妄想をやめる。
裕樹がジロリと私を睨む。裕樹を見ていたのがバレたのだろう。

「なんだよ。何か言いたいことでもあるのかよ」
「いえ、なんでもございません!勉強にお戻りくださいませ」

私は、慌てて答える。
ムスッとしながら裕樹はまた勉強に戻った。

ホッと胸を撫で下ろし私は次の授業の準備をした。
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