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身勝手な男

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一度の過ちを犯してしまった。


深夜零時を過ぎた頃俺はベッドから降りて周りに散らばっている服を着た。

ベッドの上には気持ちよさそうに寝ている女


これが只の恋愛で、恋人同士なら誰にも咎められることはない。

ただ俺に、妻子がいなければの場合



ベットの上で寝てるのは俺の部下で、ここは彼女の部屋
彼女とは会社ではほぼ一緒に行動し、食事、相談......といろいろと過ごしてきた。
彼女は俺を慕ってくれていて、俺にとっては可愛い部下だった。
一緒に仕事していく中、俺の自惚れなのか彼女からの好意を感じていた。だが、俺には妻子持ちという事実のもとそれに応えようとは思っていなかった。

慕ってくれる部下を可愛いと思うが、上司と部下の関係から男女の関係にはならないと思っていたはずなのに
酔いが回って完全に出来上がってた彼女に誘われ、欲には勝てなかった。


…いや、もうすでに俺を慕ってくれる可愛い部下と思い込んでいただけで、引き返せれないくらい彼女に惹かれていたのかもしれない。
だから、あと一押しするだけで上司と部下の関係から簡単に男と女の関係へと変わるほど俺と彼女の関係は脆かったのかもしれない。



もし、過去に戻れたとしても、今日抱いていなかったとしても、同じことをして罪悪感から後悔してるだろう
それほど俺は彼女と少しずつ惹かれていたーーー




服を着て、ベッドでぐっすり寝ている彼女に近づくと無意識に手は彼女の頭を撫でていた。

「‥‥ごめんな」
こんな妻子持ちの男に簡単に抱かれるような軽い女性ではないはずなのに


俺はそろそろ帰ろうと手を離し立ち上がったーーー

「…ん…っ」
寝ていた彼女の瞼が少しずつ開いていた。

「ぶちょー…?」
「起こしたか?」
「…帰っちゃうんですか?」
「ああ、帰らないといけないしな…」
「そーですよね‥‥」
悲しい顔をする彼女を置いて家に帰るのは後ろ髪を引かれる思いをするが、それでもここに泊まるわけにはいかない。俺には帰る場所があり、妻も子供も待っているから…

「…鍵はポストの中に入れておくから。…会社でな」
「はい」



彼女の返事を聞くと俺は部屋を出て、本来帰るべき場所へと帰った。




その後も食事などに一緒に行ったりした。
ただ、身体を重ねたのはあの日だけ…


そして、この関係もあと少しで終止符が打たれる。



俺が本社へと転勤するからだ



もともと俺が転勤するのはあの日より前に決まっていた。
そしてその事は部下である彼女も知っていた。



この事が俺の今まで抑えてきていた理性を簡単に崩して、あの日一度だけ彼女を抱いた。





家族とはもう元のままでは入れないかもしれない。
だけど俺はこれまでの事を妻に言うつもりだ。

もし、話して離婚したとしても彼女を一緒に連れていくことはできない。
家族がいるにも関わらず妻以外を抱いたような最低な男と付き合うような軽い女性ではないから…
俺のような最低な男に掴まるよりも他のいい男と結婚してほしい


こんな事を思う俺は、自分勝手で最低な男なのだろうな
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