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しおりを挟む『いらっしゃいませ』
その一言をお客様が扉から入って来た時に、裕君みたいに言えなくてカウンター内で顔を曇らせていたら、それを見ていた裕君に声をかけられた。
「ウチの店は居酒屋じゃないから別に元気よく言わなくても、お客様が近くにいる時とかにいつものように笑ってくれれば十分だよ」
「ありがと、でもいつかはちゃんとできるようにしたいから頑張る」
裕君と付き合いだしてもうすぐ1週間。環境に甘えてばかりではいけない。少しづつでも成長していきたい、と私は妙に気合いが入っていた。好きな人の隣にはやはり自信を持って立ちたい。そんな思いからグッと握り拳を作って顔の前に掲げると「逞しいね」と裕君が眉を上げた。
「じゃあ、アドバイスになるかわからないけどひとつ。ほのかは多分タイミングが悪いだけだよ。一瞬躊躇うから声をかけるタイミングを逃すんだ」
「……裕君……凄い!学校の先生みたい!」
私が目を輝かせて裕君に詰め寄ると、彼は、はあ?と目を見開いた。
「前から思ってたんだよね。裕君って人のこと良く見てるし、色々教えてくれてそれが凄く助けになるんだよ。教師も向いてるよね!」
「えっと、褒めてくれたとこで悪いけど多分勘違いしてるぞ。よく見てたのは相手がほのかだからだよ」
「…………」
一瞬キョトンとした私と真顔の裕君とで見つめ合った。だけどすぐにその意味を理解した私は、はしゃいでしまった恥ずかしさで耳まで赤くなり何も言えなくなってしまった。急に無言になった私を裕君は優しい声で「ありがと」と言いながら頭をポンポンした。
***
深夜、ノックと共に裕君の声が訪問を告げた。スッピンを見られてももうすっかり平気になってしまった私は躊躇いもせず扉を開ける。
付き合うようになってから裕君は毎晩寝る前に私の部屋へ顔を見せるようになった。部屋の入り口で軽いキスだけしてすぐ帰る時もあるし、中に入って話をしてちょっとイチャイチャしていく時もある。
どっちにしても私にとっては幸せな時間だった。
その夜、裕君はアイスティーが2つ乗ったトレーを持っていた。
「お疲れ様…って、わざわざ淹れてくれたの?」
「ついでだよ、ついで。俺が飲みたかっただけだから」
そう言って笑ったけど本当は私のために淹れてくれたってわかってる。二人で並んで壁に凭れながらアイスティーに口をつけた。
「そういえば和恵さんから聞いた?私の住み込みバイトはあと1週間だよ」
「えっ、マジ?」
「うん、マジ。最初から和恵さんの腕のギプスが取れるまでって決まってたから。今日病院行ったら1週間後に外すって言われたんだって。家事のバイトは終わるけどお店の方は引き続きお世話になるのでよろしくね」
「そっか……。家ん中寂しくなるな」
和恵さんにも同じ事を言われた。和恵さんとは一緒にお茶するのが習慣になってたから私も寂しく感じちゃう。もちろんこの時間も。
「今のうちに充電しとこっと。おいで」
「ひえっ!」
突然隣から横抱っこされて裕君の上に跨がされた。その拍子にアイスティーのコップが揺れて残りは少ないが危うく中身が溢れそうになった。裕君は私の手からそのコップをするりと取ると少し離れた床に置いた。
「裕君ってこの体勢好きだよね」
「密着してればどれも好き」
気づくと裕君の腿の上に跨いで座らされてる事が多い。
やがて甘い雰囲気を匂わせた裕君の顔が近づいてきた。目を閉じて彼の唇の感触を味わう。最初は軽く合わせていた唇はお互いに隙間を作りどちらからともなく舌を絡める。そして舌をすり合わせるようにしながら裕君の舌は私の口内へ進入してきた。そして時々角度を変えながらそれを繰り返す。
私はこのキスがとても好きで、それだけでも気持ちが満たされる。
裕君はキスをしながら私の身体を撫で回す。そこまではイチャイチャする時のセット。
キスを受けながらその手の軌道を気にしているとスウェットのフロントファスナーが下される音が聞こえた。
そして開いた隙間からさっきまで脚を撫でていた手が入ってきて、素肌にTシャツ一枚だけの私の胸に辿り着いた。
「……んっ」
すぐに反応して声が漏れてしまった。まだ唇が重なっているため私の声は僅かなものだったが裕君はそれを聞いて加速した。
服の上からそっと撫でられた胸は彼にもっと触って欲しいと主張して先っぽが硬くなった。それに応えるように裕君は布越しで先っぽを摘むと指先をスライドするように擦った。
「ンンッ!!」
胸先から電流が流れるように痺れが走り身体がビクッと揺れた。もう片方の胸も続けざまに刺激しながら舌を絡めてくる裕君に、このまま先に進んでいきそうな気配を感じて躊躇った。
「ゆ、裕君……2階にご両親いるし……」
「二人共もう寝てるよ。それにここから一番離れてる部屋だから聞こえないよ」
「……でも」
「気になる?じゃあ声は控えめにしよっか」
「そんな……!」
私を探る手が再開され燻りかけてた私の身体に本格的に火がついてしまった。
上半身の衣類を脱がされ今度は直に胸を揉まれ、弄られながら耳を舐められている。
「……っ、んっ!……っ」
「そんなに声を殺さなくても大丈夫だけど……。でも必死に耐えてるほのかの顔も可愛いよ」
「い…いじわる……」
囁くように低い声で耳に話され腰が砕けそうになる。恐らく湿っているだろう私の秘部に、裕君は時々熱く膨らんだ自分のモノをわざとらしく当ててくる。服越しとはいえその存在は十分に私を煽って、前回挿れられた時の感覚を呼び起こした。
「ほのか、ちょっと膝で立って」
「え、……こ、こう?」
「……んー、脱がし難いな。やっぱり立ち上がって」
どうやら私の下のスエットを脱がせようと膝立ちさせたが腿から下にさげることがができず、結局ズボンのウエスト部分を腿の辺りまで下げたままその場で起立させられた。
な、なんか私間抜けな格好してない?
と急に現実に戻されと思ったら裕君がそのスエットズボンと下着を一気にさげた。立っている位置から当然裕君の目の高さに私の恥ずかしい部分がくるわけで、そんなとこ見られる習慣ないから無意識で手で覆った。
「じゃあまた膝立ちして」
「ええ…?なんで私だけこんな格好?」
恥ずかしさからくる不満を少し表し、言われるがままに膝立ちすると「それなら俺の服はほのかが脱がせて」と私の両手を引っ張って自分の広い胸板にあてた。
私は裕君のTシャツの裾を持ち捲り上げて脱がせるとその露わになった裸を改めて眺めた。
裕君は細身だけどただのガリガリじゃなくて胸板は思ったより厚いし、仕事で使うせいか腕は筋肉質だ。
そりゃ私を軽々ひょいと持ち上げるわけだよ。それより、下も私が脱がせるのかな……?
胸板から下がっていった私の目線で、私の思考に感づいた裕君は「ボタンとチャックだけやって」とちょっと色っぽくおねだりしてきた。
裕君に跨いだままの状態で彼のデニムに手をかけると、何だか私が彼を襲っているみたいな錯覚を起こして指先がぎこちなくなる。
リクエスト通りボタンとチャックを解放すると裕君は後ろの壁にもたれながら座ったまま器用にデニムと下着を脱いだ。
裕君は私をまた膝立ちにさせると欲情した瞳で私の顔をじっと見つめたまま股に手を伸ばしてきた。下からそっと触れて密口と割れ目を撫でるように指を前後させる。何度か行き来しながら溢れてきた密を指に絡めて割れ目の中を指の腹で捏ねた。
「……っ!…ン、」
長い指も中に入ってきて膣壁を引っ掻くように抽送された。
私はそこが弱いみたいでビクビクと身体が揺れて、堪らず裕君の肩に掴まった。
「……あっっ!、んんッ」
「ほのか、いっぱい濡れてきたよ」
「だ……だってッ…」
触られている所はもちろん気持ちいいけどそれ以上に裕君の纏わりつく目線が私の感情を昂ぶらせていく。
「そんな、見ないで。……恥ずかしいよ」
「俺はほのかの全てが知りたいって言っただろ?どこを触るとどんな顔するかちゃんと見たい」
もしかして裕君は独占欲が強い、のかな……?
「おいで」
言葉と同時に腰を掴まれ誘導された。彼がデニムを脱いだ時にちらっと見えたが、その時からしっかりと反り返っていた彼自身の上に、私の濡れている密口がぴちゃっとくっついた。腰を掴んでいる手がそのまま前後に私を揺らすと密着した部分が擦れ合ってまだ挿れられていないのにまるで挿れられているような気持ち良さが生まれる。
「……う、……んっ…」
「ああ、ほのか…気持ちいい…」
呟くように声を漏らして眉根を寄せる裕君は明らかに私より色気を漂わせている。高校の時に比べて大人っぽくなって更に色気も持ってるなんて、あんまり変化のない私からしたら羨ましい限りだ。
暫くして裕君は手際よく避妊具をつけると私の蜜口にそれをあてた。
「ほのか、ゆっくり腰を下ろして」
「……ん」
しっかり濡れていたせいもあり彼のモノは簡単に私の中に埋まっていく。そして自分の重さも手伝っていきなり奥まで貫かれた。
「は、うっ……!」
「痛い?」
「っ……ううん、へいき」
「動くよ、つかまってて」
私を軽く引き寄せると下から突き上げるように動き始めた。
最初の一撃に苦しさを覚えたがすぐにそれも疼きに変わった。
あれ?男の人のモノってこんな硬かったっけ?
上下に動く度にゴリゴリと擦るように入り口にあたり、自分でびっくりするぐらいそこが感じ始めてしまった。
「……ああっ!……はあっ…、ンンッ……」
「あ、ここ気持ちいい?あー、ほのかめっちゃエロい顔してる……」
「やあっ……んっ……あああっ!」
「ほのか、好きだよ……」
速さを増した裕君の腰の動きについていけない上に溜まってきた快感で内股がピクピクし始めた。
「ゆ、ゆう……もう…だめっ……っ」
「いいよ、…っ実は俺も限界。んッ……」
激しい突き上げをした後、彼は自分の雄を私の奥へねじ込むように私のお尻をグッと引き寄せた。
最奥にきたそれが熱く脈打ったような気がした瞬間裕君の身体に力が入った。
「……っく!!」
「!!、あっ、あっ、……ふあああつっっ!!」
裕君が私の奥で達した直後、私も後を追うように絶頂を迎えた。
「うわ……ほのか入り口んとこすっごいヒクヒクしてる……。すっげ気持ちいい」
「……ん」
脱力してしだれかかる私を裕君はぎゅっと抱き締めて上がった息を整えると耳元でまた予告した。
「そこの布団使っていい?もう一回するから」
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