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しおりを挟む「凛斗、僕ひとりで気持ちよくなっちゃってすいません。しかも早かったし……」
「や、別に……おまえが気持ちよかったんならいいよ」
愁は達した後ゴムの始末を終え、グッタリ横たわる凛斗を優しく腕に収めた。凛斗は少し汗ばんだ逞しい胸板に頬を寄せながら、身体が密着して素肌が触れ合うこの体勢にホッとした。初めての行為にとても神経と体力を消耗した。疲れたけれど愁がちゃんと達してくれたのでそれだけで満足できた。痛みの恐怖を越えられて、最後までちゃんとできて良かった。嬉しさと照れが込み上げ口元が緩んでしまう。
「とうとう最後までしちゃったな」
「はい。僕を受け入れてくれてありがとう凛斗」
大好きです、と小さく囁かれ額に唇が寄せられた。甘々な雰囲気に顔が赤くなる。
(……ヤバい。俺、コイツのことスゲェ好きかも)
「凛斗、こっち向いて?」
「……恥ずいからヤダ」
「凛斗」
無理矢理グイッと上を向かされた。身体はしっかりホールドされて逃げられず、仕方なく照れて茹でタコみたいになった顔を晒した。幸せそうに笑う愁が「かわいい」を繰り返しながらキスをしてきた。最初はチュッチュッくらいだったのが、だんだん濃厚なものになってきた。
「愁っ、わかったってば。そんなにしたら息ができないからっ!」
「次は凛斗が気持ちよくなる番です。楽にしててください」
「俺はもういいって! 愁!」
あっという間に組み敷かれて弱い所を攻められた。一度、達する直前まで高められたのもあって、すぐに降参するハメになる。ねっとりと舌を絡められながら胸の突起を弄られ、下半身は脈打つように熱を持つ。欲望で張り詰めた凛斗自身の形を確かめるように愁の手が撫でた後、指先がさっきまで愁を迎え入れていた場所を探った。
「えっ? なに…?」
「中を触った時、すごく気持ちよさそうですでしたね」
「わ、わ…アッ!」
「今度は楽に指が入りましたよ」
スルリと滑り込んできた長い指が、いとも簡単にいい場所を探り当てた。
「ふあっ! っっああ!」
「ああやっぱりここがいいんですね」
イかせるだけなら前を触るだけで十分なのに何でそっち?と焦って愁を見上げた。仰向けで半分抱き締められるような状態で顔も近い。困惑しながらも、いい所を刺激されて気持ちいいとよがって愁に縋りついてしまう。そんな凛斗を嬉しそうに見下ろす愁の優しい瞳に囚われて、まぁ好きにさせるかと甘受する。密着して安心できる距離に愁がいるせいか、素直に快感に乱れた。
「あっ、あっ…やっ、ン」
「色っぽいね。凛斗、気持ちいい?」
「ん、いい……。変に…なりそう」
ドロドロに溶けてなくなっちゃいそう。
手足の力は抜けきってしまって、全身を愁に預けている。愁の指が中を撫でるたびに痺れるような気持ちよさがジワリと広がり、凛斗は目を閉じてその感覚を思う存分味わった。
「っは……愁、……もうイく。汚れるから離れろ」
「汚れてもいいよ。後で一緒にお風呂入りましょう。僕が洗ってあげます」
その後凛斗は疲れて半分眠ったような状態のまま、愁に風呂に入れられて隅々まで洗われた。髪を洗われている時は、もっと意識がはっきりしてきればもっと愁のシャンプーが楽しめたのに、と遠のく意識の中考えていた。
目が覚めるとベッドの中だった。スゥスゥと安定した寝息が耳に届き、寝起きで霞んだ目を瞬きしてみるとすぐ隣に愁がいた。凛斗の方へ身体を向け、気持ちよさそうに眠ってはいるが、その手は凛斗の側頭部に乗っかったままだ。部屋の照明がついているのと、この体勢からおそらく、眠っている凛斗を眺めながら髪を撫でていたらいつの間にか寝落ちしたってパターンだろう。愁の部屋は窓がなく、時計で確認しないと時間がわからない。そっと顔を動かし、枕元に置いてある目覚まし時計を見るととっくにおやつの時間は過ぎていた。
寝不足だったみたいだからこのまま寝かせておこうと、凛斗は愁を起こさないよう慎重にベッドを抜け出した。
音を立てないように部屋を出て、静まり返った家の中をキョロキョロと見回す。愁の家族が不在でよかった。こんな姿見られたら二度とこの家に来るなと言われそうだ。
ベッドから出てよく見たら、自分の服じゃなく愁のTシャツを着ていた。黒色のTシャツだけ。愁のサイズだから凛斗にはブカブカで裾は腿辺りまで長いし、半袖ではなく五分袖になっちゃってる。下着がないとスースーして心許ないので身につけようと部屋の中を見回したが、下着も他の服もなぜか見当たらなかった。まぁ、いいかとそのまま変態装備で人の家をウロついている。
「……えっと、トイレどこだ?」
無駄に幅の広いフローリングの廊下をペタペタ歩いて行くと、それらしき扉を見つけた。リビングは広いし、部屋数も多そうなこのマンション。さすがと言っていいのか、トイレの空間までもが広大だった。
手を洗う時に見た鏡の中の自分は、朝家を出る前に鏡を覗いた時とは真逆でえらくスッキリした顔つきだった。昼寝して身体が休まったお陰なのか、愁に思いの丈を全て打ち明け気持ちが楽になったからなのか。それとも無事に愁と身体を繋げる事ができたから……?
「……やっべぇな……」
「何がですか?」
「わあっ!! 」
トイレから戻って愁の部屋に入ろうとしたところを背後から声をかけられた。跳ね上がるくらい驚いて思わず扉にへばりついてしまった。なんて事ない、凛斗をビビらせたのはさっきまで同じベッドで幸せそうに寝息をたてていた色男だった。愁は凛斗と逆の格好だ。下はズボンを履いているが上半身は凛斗の好きな筋肉を惜しげもなく晒している。
「愁……!! 驚かすなよ……いつ起きたんだ」
考え事をしていたのもあって過剰に驚いたうえ狼狽えた。別に頭の中を覗かれるわけではないのに恥ずかしくて逃げ出したくなった。実際は、逃げようとしても一歩も動けない状況にあったのだが。
愁は凛斗が扉にもたれかかるとすぐ両腕で囲い込んだ。本日3回目の壁ドン。これは……好意のある相手にされてこそ価値があるものだと実感する。紗希の先輩とやらにやられた時は嫌悪感しか生まれなかったが、間近で見下ろしているのが愁だと病的レベルに脈が早まる。
「少し前に目が覚めました。隣に凛斗のかわいい寝顔がなかったので寂しかったです。で、何がヤバいんです?」
形のいい瞳と口元がニッコリと笑顔を作っているが、その顔の奥に仄かに黒いものが見えた気がした。こいつは時々意地悪くなる。
「や、腹が減りすぎてヤバいなぁって……」
「本当ですか? すごく深刻そうでしたが」
「深刻だよ。朝から何も食って、ない……」
徐々に寄ってきた唇が遠慮なく凛斗のそれに重ねられ感情までも掻き乱す。もう数えきれないほど受けたキスは、回数を重ねるごとに心地よさが増す。
今日愁とした行為も、キスと同じように変わっていくと思うと、
「…んっ、なぁ、ほんとやばいって……」
「お腹が限界ですか?確かにお腹空きましたね。そうだ、僕が食べさせてあげましょうか?」
「ンな事したら二度と一緒にメシ食わないからな」
「ええー、冗談ですよー」
ーー俺の方がハマりそうだ。
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