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4章 器の瞳の魔女
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フィロスは王になった。
他にも何人もいた、先王の落胤だと主張する者たち全てを押しのけ、フィロスが王位についた。
傍らには常にメラナがあった。
メラナが魔女の力でフィロスを王にしたことは公然の秘密ですらない。
何の証拠もないので誰も責めることが出来なかったが、新しい王を歓迎するものは少なかった。
人々には常に違和感があった。何か、奇妙な力に絡め取られたような気が拭えない。
じきに、魔女の力で王になった男とフィロスは後ろ指をさされるようになった。
囁きは、あっという間に国に広まる。そのためか、王位についてすぐフィロス王は暗殺されそうになった。
だが、暗殺者はあっさりと失敗した。俺を守ってくれ、というフィロスの願いが叶えられたからだ。
けちのついた王ではあったが、決して、フィロスは愚王ではない。
夢想家ではなかったし、民衆の立場に寄った政治を心掛けた。スムーズにはいかなかったが、邪魔者をどうにかしてほしいとフィロスが願うと、反対者は意見を翻した。頑なな者は姿を消す。
結果的に物事はうまく進む。
難しい問題に直面して自分ではどうにもならないと思った時、王はメラナにこう願った。
「頼む、味方が足らなすぎる。頼りになる宰相が必要だ」
「はいフィロス王」
メラナが答えると、願いは叶えられる。
「川が氾濫しているらしい、どうにかならないか」
「はいフィロス王」
「穀物がもっと採れるようにならないかな、誰か、知識のあるものは居ないのか」
「はいフィロス王」
「メラナ、隣の国が戦争の準備をしているらしい、止めてほしい」
「はい王様」
フィロスが願えば、全ての望みが叶えられた。
宮廷の人間はメラナを恐れた。
なにせ、理がわからないのだ。一体メラナがどうやって奇跡を起こしているのか、誰もまるでわからない。呪文を唱えるならば、唱え終わる前に止めようとする者もいただろう。けれど、魔女の力にはなんの挙動もない。ただ願い、ただ叶うだけ。フィロスから失われる物があれば、その瞬間に願いが叶ったのだと分かっただろう。だけど、メラナは代償を一切求めていない。だから物事が動いたのが魔女のせいなのか、そうではないのか、人々は疑心暗鬼に落ちいった。
それでも、フィロス王の治世は安定した。
必要なものはメラナが全て揃えたから、乱れようがない。――人々の心は別にして。
メラナは誇らしかった。
自分が恐れられているのは自覚していたが、フィロスが必要としてくれるならそれで良い。
気にかかることを敢えて上げるなら一つ。
些細なことだが、肌が徐々に黒ずんでいるのが気掛かりだった。願いを叶えるごとに、小指の爪ほどの面積が手先から黒ずんでいく。他の者からどう見られているか不安になったが、指摘するものはいない。誰もメラナと目を合わせようとしないからだろうか。
願いを叶える代償をフィロスに求めていないせいかもしれない、なんとなくメラナはそう思った。ツケが自身に巡っているのだと。
だが、こんなことで済むならば、問題ではない。
今日も、フィロスの願いをメラナはただただ叶えていく。
◇
昼下がり、政務の合間の休憩にフィロスがメラナに願った。
「喉が渇いたな、何かくれないか」
「はい王様」
メラナが答えると、冷たいりんご酒がその場に忽然と現れた。
何もかもメラナに望むようになっていたフィロスは、そのことに何の疑問を持たない。
魔女の力を呼吸のように使うメラナも、当然疑問など持たない。
だが、その場を目撃した侍女は怯えた。無から有を生み出すことができるなんて。なんて罰あたりなのだろうと。当たり前に魔女の作り出したりんご酒を飲んでいる王が、侍女は怖しくて仕方なかった。
その後、侍女から報告を受けた大臣の一人がフィロスの暗殺を企てた。
勿論、計画は未然に防がれる。
守ってほしいという願いは変わらずに、続いている。どんな人間にもフィロスを殺すことは出来ない。
フィロスはなぜ自分の命が狙われるのか、わからなかった。不可能な事があらかじめわかっているのに、なぜそんなことを考えるのか。それに、自分は悪いことなど望んでいない筈だ。
民のためになる政治をしてきた自負がある。自らのために願ったことも、みな小さなことだと。
「りんご酒が飲みたいなんて、誰だって思うことだろう?」
もはや、誰もが避けるメラナに縋り付いてフィロスは泣いた。
「お前だけだ、お前だけ。裏切らないのは、お前だけだ」
「ええ、だって、全ての願いを叶えると約束したでしょう?」
「ああ、そうだ。ずっと、ずっと側にいてくれ」
フィロスは空洞のような瞳で叫んだ。
メラナは歓喜に身を震わせる。
「お願いだ、側を離れるな! 影のようにずっと!」
フィロスの絶叫が途切れると、メラナの姿はまた一段暗くなった。
◇
王は、すこしずつ政治から興味を失った。
それでも王の治世は安定した。魔女が必要なものを補ったから。けれども、歯車のように扱われる臣下たちは不満を募らせていく。
表面上はなにも問題はないように見えても、国全体が薄い影で覆われていくようだった。
魔女はある朝、何かがもがく音で目が覚めた。
バルコニーで小動物が暴れているようだ。同じ部屋で寝起きしている王が目覚めていないのを確認すると、音の正体を見に行った。
見れば傷ついた鴉の子供だった。他の獣に襲われたのだろうか。このままでは死ぬと思われた。近くの樹の枝から、親と思われる鴉が子烏を見下ろしている。
怪我の様子を見ようかと、魔女は何気なく鴉へ手を差し伸べた。そして、もうすっかり人前では素肌をさらすことのなくなった自分の腕が、鴉よりも黒いことに気が付いて失笑した。
なぜだかわからないが、魔女はその鴉を助けることにした。
鴉の意識に集中するだけでいい。
鴉は生きたがっていた。生き物がみな思うように、死にたくないと。人間の言葉ほど明瞭でなくとも構わない。鴉が望む方向が分かれば、魔女は願いを叶える。
気まぐれを一つ形にすると、魔女は室内に戻った。影は本体から離れないものだ。
その日の午後、王に諫言する若者が現れた。
「王は間違っている」
過程を経ずに、結果を表すことは人の有り様を歪める。魔女の力で作った国など認めない、貴方を王と認めないと若者は叫んだ。王たらんとするならば、魔女を放逐せよ、と。
若者は宮殿と宮殿とを結ぶ道すがらの茂みに隠れて、王を待ち伏せしていた。他に味方などはなく、単独での行いだった。王に対してあまりに無謀だった。王と魔女の後ろには召使いたちが何人かいるが、みな青い顔で目をそらした。結果がどうなるのか、考えたくもないと顔に書いてあるようだった。
王は出来損ないの木の人形を見る様な目で、若者を一瞥した。
「あれを消してくれ」
魔女への願いは短い言葉だった。
「はい王様」
魔女はいつもどおり、顔色一つ変えずに頷いた。
いつもならば、全てはその瞬間に全てが済んでいる筈だ。
だが、若者はそのままその場に立っている。魔女は、王の言葉にならない願いまで汲み取ったのだ。
そのことに気付いた王は魔女に言い添えた。
「ああ、少しばかり痛めつけてからにしてくれ」
それは、我慢していたことを漸く口にしてみたという感じだった。それから言ってみたものの、案外大したことがなかったと感じたようだった。つまらなそうに、王は結局立ち去った。あとには若者と魔女が一人残される。
魔女が若者を逃す可能性など、誰も考えはしない。そんなことはありえない。王の願いは絶対だ。
若者は真正面から魔女を睨みつけていた。何故か、魔女は懐かしさを感じた。久々にだれかと視線を交わしたからかもしれないし、若者の瞳の色が王と同じだったからかもしれない。先の王と同じ、珍しい色の瞳だ。美しい、と思った。その瞳に浮かぶのが嫌悪でも。
若者の瞳はすぐに怯えに塗り替えられた。仕方ないことだ、何の前触れもなく足が折れ、倒れたのだから。先ほどの王の願いが形になっていく。
いくつかの身体の骨が折られ、地べたに這いつくばっても、悲鳴を押し殺し、若者は魔女を睨んでいる。
「哀れな女だな、メラニ・メラナ」
随分と久方ぶりに名前を呼ばれ、魔女は息をのんだ。正面から、若者を見やる。
その瞳の奥に浮かぶ根源的な願いが見えるほど深々と。
鴉の羽ばたきの音が聞こえたような気がした。
魔女は誰かに願われたら、代償と引き換えにどんな願いも叶えることが出来る。
若者は、憐れんだようにも、笑ったようにも見える眼差しで、音にならぬ声で願った。
「……何もなせずに死にたくない」
魔女は人の願いを叶える。その正否を計ることはしない。
ほとんど自動的ともいえる力を、今日に限って魔女は自分の思う形で叶えてみることにした。鴉を助けたのと同じく、気まぐれに。
他にも何人もいた、先王の落胤だと主張する者たち全てを押しのけ、フィロスが王位についた。
傍らには常にメラナがあった。
メラナが魔女の力でフィロスを王にしたことは公然の秘密ですらない。
何の証拠もないので誰も責めることが出来なかったが、新しい王を歓迎するものは少なかった。
人々には常に違和感があった。何か、奇妙な力に絡め取られたような気が拭えない。
じきに、魔女の力で王になった男とフィロスは後ろ指をさされるようになった。
囁きは、あっという間に国に広まる。そのためか、王位についてすぐフィロス王は暗殺されそうになった。
だが、暗殺者はあっさりと失敗した。俺を守ってくれ、というフィロスの願いが叶えられたからだ。
けちのついた王ではあったが、決して、フィロスは愚王ではない。
夢想家ではなかったし、民衆の立場に寄った政治を心掛けた。スムーズにはいかなかったが、邪魔者をどうにかしてほしいとフィロスが願うと、反対者は意見を翻した。頑なな者は姿を消す。
結果的に物事はうまく進む。
難しい問題に直面して自分ではどうにもならないと思った時、王はメラナにこう願った。
「頼む、味方が足らなすぎる。頼りになる宰相が必要だ」
「はいフィロス王」
メラナが答えると、願いは叶えられる。
「川が氾濫しているらしい、どうにかならないか」
「はいフィロス王」
「穀物がもっと採れるようにならないかな、誰か、知識のあるものは居ないのか」
「はいフィロス王」
「メラナ、隣の国が戦争の準備をしているらしい、止めてほしい」
「はい王様」
フィロスが願えば、全ての望みが叶えられた。
宮廷の人間はメラナを恐れた。
なにせ、理がわからないのだ。一体メラナがどうやって奇跡を起こしているのか、誰もまるでわからない。呪文を唱えるならば、唱え終わる前に止めようとする者もいただろう。けれど、魔女の力にはなんの挙動もない。ただ願い、ただ叶うだけ。フィロスから失われる物があれば、その瞬間に願いが叶ったのだと分かっただろう。だけど、メラナは代償を一切求めていない。だから物事が動いたのが魔女のせいなのか、そうではないのか、人々は疑心暗鬼に落ちいった。
それでも、フィロス王の治世は安定した。
必要なものはメラナが全て揃えたから、乱れようがない。――人々の心は別にして。
メラナは誇らしかった。
自分が恐れられているのは自覚していたが、フィロスが必要としてくれるならそれで良い。
気にかかることを敢えて上げるなら一つ。
些細なことだが、肌が徐々に黒ずんでいるのが気掛かりだった。願いを叶えるごとに、小指の爪ほどの面積が手先から黒ずんでいく。他の者からどう見られているか不安になったが、指摘するものはいない。誰もメラナと目を合わせようとしないからだろうか。
願いを叶える代償をフィロスに求めていないせいかもしれない、なんとなくメラナはそう思った。ツケが自身に巡っているのだと。
だが、こんなことで済むならば、問題ではない。
今日も、フィロスの願いをメラナはただただ叶えていく。
◇
昼下がり、政務の合間の休憩にフィロスがメラナに願った。
「喉が渇いたな、何かくれないか」
「はい王様」
メラナが答えると、冷たいりんご酒がその場に忽然と現れた。
何もかもメラナに望むようになっていたフィロスは、そのことに何の疑問を持たない。
魔女の力を呼吸のように使うメラナも、当然疑問など持たない。
だが、その場を目撃した侍女は怯えた。無から有を生み出すことができるなんて。なんて罰あたりなのだろうと。当たり前に魔女の作り出したりんご酒を飲んでいる王が、侍女は怖しくて仕方なかった。
その後、侍女から報告を受けた大臣の一人がフィロスの暗殺を企てた。
勿論、計画は未然に防がれる。
守ってほしいという願いは変わらずに、続いている。どんな人間にもフィロスを殺すことは出来ない。
フィロスはなぜ自分の命が狙われるのか、わからなかった。不可能な事があらかじめわかっているのに、なぜそんなことを考えるのか。それに、自分は悪いことなど望んでいない筈だ。
民のためになる政治をしてきた自負がある。自らのために願ったことも、みな小さなことだと。
「りんご酒が飲みたいなんて、誰だって思うことだろう?」
もはや、誰もが避けるメラナに縋り付いてフィロスは泣いた。
「お前だけだ、お前だけ。裏切らないのは、お前だけだ」
「ええ、だって、全ての願いを叶えると約束したでしょう?」
「ああ、そうだ。ずっと、ずっと側にいてくれ」
フィロスは空洞のような瞳で叫んだ。
メラナは歓喜に身を震わせる。
「お願いだ、側を離れるな! 影のようにずっと!」
フィロスの絶叫が途切れると、メラナの姿はまた一段暗くなった。
◇
王は、すこしずつ政治から興味を失った。
それでも王の治世は安定した。魔女が必要なものを補ったから。けれども、歯車のように扱われる臣下たちは不満を募らせていく。
表面上はなにも問題はないように見えても、国全体が薄い影で覆われていくようだった。
魔女はある朝、何かがもがく音で目が覚めた。
バルコニーで小動物が暴れているようだ。同じ部屋で寝起きしている王が目覚めていないのを確認すると、音の正体を見に行った。
見れば傷ついた鴉の子供だった。他の獣に襲われたのだろうか。このままでは死ぬと思われた。近くの樹の枝から、親と思われる鴉が子烏を見下ろしている。
怪我の様子を見ようかと、魔女は何気なく鴉へ手を差し伸べた。そして、もうすっかり人前では素肌をさらすことのなくなった自分の腕が、鴉よりも黒いことに気が付いて失笑した。
なぜだかわからないが、魔女はその鴉を助けることにした。
鴉の意識に集中するだけでいい。
鴉は生きたがっていた。生き物がみな思うように、死にたくないと。人間の言葉ほど明瞭でなくとも構わない。鴉が望む方向が分かれば、魔女は願いを叶える。
気まぐれを一つ形にすると、魔女は室内に戻った。影は本体から離れないものだ。
その日の午後、王に諫言する若者が現れた。
「王は間違っている」
過程を経ずに、結果を表すことは人の有り様を歪める。魔女の力で作った国など認めない、貴方を王と認めないと若者は叫んだ。王たらんとするならば、魔女を放逐せよ、と。
若者は宮殿と宮殿とを結ぶ道すがらの茂みに隠れて、王を待ち伏せしていた。他に味方などはなく、単独での行いだった。王に対してあまりに無謀だった。王と魔女の後ろには召使いたちが何人かいるが、みな青い顔で目をそらした。結果がどうなるのか、考えたくもないと顔に書いてあるようだった。
王は出来損ないの木の人形を見る様な目で、若者を一瞥した。
「あれを消してくれ」
魔女への願いは短い言葉だった。
「はい王様」
魔女はいつもどおり、顔色一つ変えずに頷いた。
いつもならば、全てはその瞬間に全てが済んでいる筈だ。
だが、若者はそのままその場に立っている。魔女は、王の言葉にならない願いまで汲み取ったのだ。
そのことに気付いた王は魔女に言い添えた。
「ああ、少しばかり痛めつけてからにしてくれ」
それは、我慢していたことを漸く口にしてみたという感じだった。それから言ってみたものの、案外大したことがなかったと感じたようだった。つまらなそうに、王は結局立ち去った。あとには若者と魔女が一人残される。
魔女が若者を逃す可能性など、誰も考えはしない。そんなことはありえない。王の願いは絶対だ。
若者は真正面から魔女を睨みつけていた。何故か、魔女は懐かしさを感じた。久々にだれかと視線を交わしたからかもしれないし、若者の瞳の色が王と同じだったからかもしれない。先の王と同じ、珍しい色の瞳だ。美しい、と思った。その瞳に浮かぶのが嫌悪でも。
若者の瞳はすぐに怯えに塗り替えられた。仕方ないことだ、何の前触れもなく足が折れ、倒れたのだから。先ほどの王の願いが形になっていく。
いくつかの身体の骨が折られ、地べたに這いつくばっても、悲鳴を押し殺し、若者は魔女を睨んでいる。
「哀れな女だな、メラニ・メラナ」
随分と久方ぶりに名前を呼ばれ、魔女は息をのんだ。正面から、若者を見やる。
その瞳の奥に浮かぶ根源的な願いが見えるほど深々と。
鴉の羽ばたきの音が聞こえたような気がした。
魔女は誰かに願われたら、代償と引き換えにどんな願いも叶えることが出来る。
若者は、憐れんだようにも、笑ったようにも見える眼差しで、音にならぬ声で願った。
「……何もなせずに死にたくない」
魔女は人の願いを叶える。その正否を計ることはしない。
ほとんど自動的ともいえる力を、今日に限って魔女は自分の思う形で叶えてみることにした。鴉を助けたのと同じく、気まぐれに。
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