従順な俺を壊して

川崎葵

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第二章 最強の男

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そのことに気づいたのは、起床のアラームが聞こえたからだった。

俺自身寝た記憶がなく、どこで寝落ちてしまったのかすらも記憶になかった。
体は寝不足によって気だるく、少しだけ起きるのを億劫にさせたが、学校に行く前に済ませないといけない家事があるため、俺は欠伸をしながら体を起こして背筋を伸ばす。

足元にいる2人はまだ目覚めていないようで、多田が言っていたように多田は布団の端に追いやられ、京介は手足をのびのびと広げて眠っていた。
かけ布団と毛布を与えていたので京介はかけ布団を、多田は毛布をきちんとかけて眠れているのが不幸中の幸いかもしれない。

これでかけ布団も一枚しかなければ、きっと多田は全てを剥ぎ取られていたに違いない。
俺はそんな2人をみて少し笑いつつ、起こさないようにベッドから出て寝室の扉を閉める。

2人はアラームをしかけているのか知らないが、家事をするわけではない2人を起こすにはまだ早い時間だったので、アラームが鳴らなければ学校に間に合う時間に起こせばいいだろうと行動を始める。

昨日2人が着ていた服たちも一緒に洗濯機に突っ込んで回し、その間に顔を洗ったり髪をセットしたりと、簡単に自分の身なりを整える。

それが終われば、起きて直ぐにセットしたケトルでコーヒーを作って、洗濯物が回り終えるまで寝起きの頭をリフレッシュさせるために朝のニュースを眺めながら一杯嗜み、洗濯物を干し終わればいい時間になるので2人の分も合わせて朝ごはんを作り始めた。


朝ごはんの準備も粗方終えた頃、寝室のほうから突然爆音が聞こえ始め、俺はびっくりして肩を少し跳ねらせた。
何事かと思っていると、多田のうるさい!という怒りの声が聞こえ、その後少しすると爆音は鳴り止んだ。

大体の流れを察するに、先ほどの爆音は京介のアラームの音だったのだろう。
怒られたことを考慮すると、京介はあの音で目覚めなかったのかもしれない。

俺はほぼバイブの振動で目覚めているようなもので、寝起きでびっくりしたくないのでアラーム音は極力小さくしてある。
だから2人は俺のアラームで目覚めなかったわけなのだが、あの音で目覚めないというのは俺には到底理解しがたい現象だ。
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