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成長編 西へ
森へ
しおりを挟むルーンが顕現してから、約2年が過ぎた
最初、大樹の葉を柔らかく加工した貫頭衣の様な物を着せていたが
1歳を過ぎた頃から四獣がどこからか仕立ててきた、黒・青・赤・白の膝丈袖無し着物を日替わりで着ている
ロンとポェニクスは眷属の手先が器用な者に作らせ、ツァブとフーは森の生き物を使って作ったのだろう
薄く紫がかった黒髪は、緩く後頭部へ波打ち光加減で薄っすらと輝き
中性的な顔立ちは儚げで、どこか非現実的だ、優しげな金の目が現実感の無さに拍車をかける
2歳になった今 言葉自体は話せるものの、まだまだ呂律が回らず
四獣の心の琴線を爪弾き目を細めさせる
ある日のこと
『つぁじー、ろんにー、ぽぇねー、ふーにー、もいにいってみたーい!』
首を傾げ、人差し指を唇に宛て
『だめ?もいいっちゃだめ?』
『『『『う……』』』』
青『ルーンよ、森だよ、も・り。それで森に何をしに行くのだ?』
どこまでも優しげに問いかける
『うん、ろんにーとか みんなのおうちがみたーいの!いきたいの!』
両手をバンザイする様に広げ、目をキラキラさせる
その様をポェニクスがプルプル身悶えしながら見ていると、横からフーが
『それはいーんだけどさぁ、俺らは其々の領域には入れねー様になってるんだ。だから…』
ルーンから他の三獣に目を移して
『どうする?』
赤『どうするって…あんたねぇ…妾は良いわよ?ウチの子達には広場に入れないから遠目でしかルーンを見せてないし。ルーンと仲良くさせる良い機会であろうし』
黒『ふむ、チト早い気もするが森がどの様な場か知るのも良いかもしれぬな』
青『ふむ、なるほどな。では、我も我が宮へ連れてゆくのは吝かではない。ゆくゆくは我等の森もルーンが治める事になるだろうしの』
白『いやいや、論点はそこじゃねーよ。いや、その辺りの事でもあるのか…まぁいいや、それよりも俺らん所に来るって事は魔獣がウヨウヨ居る所を通ってくるんだぞ?大丈夫なのかよ?まだ2歳だぞ?』
『『『ふむ…』』』
白『それに、まだ問題があるだろ?ツァブ翁は広場に近い森に住処があるけど、俺は森の外縁の方だし…そもそも、ロンもポェニクスも森の中に住処がねーじゃねーか』
青・赤『『問題無い、乗せて飛んで行けば良い!』』
白『いや、それじゃあ意味ねーだろ。自分の力で行かせねーと…はぁ…』
『ふーにー とべるよー!かぜさん とばせてくれる いってゆー』
と、何気にふわふわと浮き上がった
白『なぁっ!?!?ルーン、お前 風と話せるのか?つか、浮いて!?』
『うん!なんかねー、みんな はなしてたら うえかやねーかぜさんがねー おてつだいしてくえゆって♪』
青『ほぅ、興味深いな』
赤『そうねぇ、其処に有っても無なる存在と意思を交わせる力かぇ』
黒『生い立ちを見れば予想は出来たがのぉ(ほっほっほ)』
白『はー、風と話せるねぇ 俺は風を使役出来ても話すのは無理だな。ってこた、火も水も土とも話せるのかな?スゲーなルーン!』
と、ルーンの頭を掻い繰り
『えへへー♪』
目を細めて嬉しそうに、フーの為すがままにしている
白『そうと決まれば早速行くか!先ずは俺の寝床の砂楼窟に連れて行ってやる!』
青『何を言ってるのだ?フー 先ずは我の龍宮であろう』
赤『また何をお言いだい?妾の華焔宮であろうよ』
黒『いーや、先ずは森にある儂の幽幻庵じゃのぉ』
四獣の目が火花を散らし始め
一番近い森が騒めきだし魔鳥が啼きながら飛び立つが、広場は平穏だ
どうやら、ルーンと大樹が及ぼす力以外は広場には干渉出来ないようだ
ロンが ため息を吐きつつ
『決まらぬな…いや、決めきれぬな…なぁ、お主らどうだろう?ツァブ翁の占術で巫て貰おうかと思うが』
赤『妾に異論はないえ、占術は玄亀族に任するに限るからの』
白『あぁ、俺らも其々の属性で占術は出来るが亀甲巫術にゃ敵わねぇ』
黒『ふむ、では巫てみるかの?じゃがルーンを巫るのは中々に難しくてのぉ、前に巫ようとしたら 力及ばず全く巫れなかったんじゃ。じゃから余り期待するなよ?』
ツァブは悩ましげだ
黒『では、ポェニクスよ 其処に火を頼むよ』
地面を指差す
ツァブは、何処からともなく取り出した亀の甲羅に
不可思議な文字を刻み付け火に焚べる
しばらくして火から取り出し、冷やす為か地面に置いておくと
ピシッ、ビシッと音がしてヒビが入った
ツァブの目が細く鋭くなる
『ふむ、フーの住処から廻りポェニクス、ロンと廻るのが良いようじゃ。儂の庵は最後じゃの』
残念そうだ
『滞在はルーンの心のままにせよ、とも巫ておるのぉ』
白『よっしゃ!じゃあルーン、早速俺の塒に行くか!』
『うん、ふーにーんちにいく!』
赤『はぁ、しようがないわねぇ 妾は一度華焔宮に戻って準備しておこうかえ』
青『ふむ、では我も準備に戻ろう』
黒『では儂も、儂の庵にずっと住むと言われるよう準備しておこうかのぉ』
白『っ…てめーら汚ねーぞ!』
と、ひと睨み
白『まぁいい、ルーンよ砂楼窟まで本気で走るからな?俺の頸の毛持って横で飛びな』
『あい♪かぜさんおねがい』
ルーンの全身が風を纏うとフーが一気に駆け出した
後方に旋風を起こすほどの速さだ
他の三獣からは、あっと言う間に見えなくなった
赤『まあまあ、張り切っちゃって(ふふふ…)』
青『クックック…楽しくて仕方ないと言った風情だったな』
黒『自分は気付いてなかったろうが、我等にブツクサ言いながらも顔はニヤケておったでな。気持ち悪かったのぉ』
『『『ぶあっはっはっはっはっは…』』』
~~~~~~~~~~~~~~~~~
じわりと行動範囲が広がっていきます
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