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漫遊編
蓬莱の國 肆
しおりを挟む「お、お主らも魔物なのか?」
青褪めた村長が小刻みに震えながら問うと
『『『『無礼な』』』』
ブワッと、四神獣それぞれから黒・青・赤・白の神気が噴き出す
「「「「ひ、ひいっ…」」」」
村長と外で聞いていた全ての者が声にならない悲鳴を上げ
付近の犬・猫・鳥等の小動物は逃げ出しいなくなった
と、ルーンが後ろの四神獣を一瞥し
『抑えてって言ったよね?』
と冷たい声を出す
一気に四神獣の神気が霧散し
『『『『す、すまない…』』』』
冷や汗を搔き俯向く
ガラリと声音を変えたルーンが優しく
『まあまあ村長さん、そんなに怯えなくても大丈夫。僕達は魔物じゃないし、この村に何かをしようと思ってませんよ』
まだ青褪めている村長が震える声で
「い、いや、いきなり魔物かと言われれば怒るのも当然です、すまんことで…」
『いやいや道理の判る村長さんで良かった、突然見知らぬ者が来たのだから疑うのも当然ですよ』
『ねぇ皆んな?』
と後ろを振り向く
気を取り直した四神獣は笑顔で頷く
『我等の器が小さく、相済まぬことであった』
「いえいえ、とんでもございません」
『いやいや』
「いえいえ」
と謝罪合戦が始まる
『まぁまぁその辺で…』
ルーンが笑顔で止める
『それで蓬莱山の魔物…鬼と言うんですが、元々は異形の〔人〕なんですよ』
「なんと?我々と同じ〔人〕でありますか?しかし、むかし蓬莱山の麓に下りてきているのを遠目で見た事があったのですが…」
思い出す様な目をして
「魔獣の毛皮を着て、青や赤や黄の肌の色、頭や額から角が出ていた覚えがありますが…」
『そうですね、今も変わらない姿格好をしています。鬼は昔は隠人と言ったそうです。余りにも人より強い力を持った者達が人里から追われて只人が入れない蓬莱山に移り住んだ末裔ですね』
一拍置いて
『あの姿格好は人には強過ぎる力が収まらずに表に出ているだけですので、心は人と変わらないんですよ』
「はぁ~なるほど、では我々の言葉も話せるのですか?」
『もちろん!言い回しとか少し違うでしょうが問題無いはずですよ。昔、人から追われたので蓬莱山から下りないだけで人里を襲うとかもありません』
「はぁ、はぁ」
村長は人形の様に頷くばかり
『ただ彼ら鬼は人が使う銭が欲しいんですね。その銭で人が使っている物を贖ってみたいと頼まれ、蓬莱山の産物を持ってきました』
「はぁ~なるほど、理解しました。しかしこの村には商いをする者が居ないのですよ。定期的に仕入れ商隊が来て農産物を売り銭は稼ぐのですが…我々は商人の様な事も出来ませんから、もう少し大きな街へ行くのが宜しいのでは?」
『そう、そこなんです。この村に商場があれば良かったんですが、それは無い。かと言って異形の彼らが街へ行くのは論外』
「そうですな…その者等が街へ行くと大騒ぎになり捕らえるか討伐しようとするでしょう」
『そう、そうなると彼らも強過ぎる力を使って収拾がつかなくなる。そうならない様に先ずはこの村が橋渡し役をしてくれればな、と思います』
「う~ん、仰言る事は判ります。しかし、我々の様な生業の者には公正な取り引きをしているかを判別する目が無いのですよ」
『そうでしょうね、人には向き不向きがありますからね。それは僕達が街へ行き、良い商人を見定めてきます。そして村からも一人付いてきて欲しいんですが、どうでしょう?』
「なるほど、そういう事ならば我々には異存ありません。村から出す者はどういった者が宜しいでしょうか?」
『そうですね、村の役立たず…ってのは言い過ぎですね すみません…』
ルーンがペコリと頭を下げると
「いやいや、言いたい事は判ります」
ようやく村長が笑顔になる
その様を見ていた四神獣は
頭をフリフリ、ルーンの話し方に感心し疑問を持つ
『おいおい、ルーンはいつの間にあんな軽妙な話し方を覚えたんだ?』
『はて?儂等が殆ど一緒に居たが気付かんかったのう』
『相変わらず、いつの間にか何でも出来る不思議な御子よなあ』
『うむ、昔から全ての生き物に好かれるのが関係しておるのかもしれぬな』
『『『『あ~なるほどね』』』』
「一人、お手伝い出来うるだろう者が居ます。生来の臆病者ですが足だけは速い者で、荘の領主から戦に人寄せを命じられると必ずその者を出し 必ず生きて戻るのです 名は古志加と言います」
『うん、そういう人が良いですね。名前も良い。逃げ足が速いのは素晴らしい才能ですよ、危険をいち早く察する事が出来る稀人ですよ。さては先程の戦さ場からも逃げ出しましたね?』
ニコニコしながらルーンが褒める
「はい、左様です。先程命からがら逃げてきて村の外れで震えております」
村長もニコニコしながら言う
『じゃあ、目通し願えますか?』
「かしこまりました」
「おいおい、誰か古志加の首根っこ捕まえて連れてきておくれ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
え~、古志加くん登場しました
創作した名前じゃありません
古代の和名として実際にあった名前らしいです
由来は本当に仔鹿です
鬼→隠人は創作しました
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