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漫遊編
蓬莱の國 拾肆
しおりを挟む「武御名方様、報告が来ました、蓬莱山から下りてきた者共は蓬莱山から近いシズの村に入ったようです」
「おお、シズか。我らの支配域だな」
「はい、倭氏側の村では無く良うございました」
「で?宿儺よ、現時点で動かせる兵はどの程度居るのか?」
「は、他の守りを考えなければ5千程かと思われます。他の守備兵を動かさなければ1千程、1月程待てば倍には増やせますが如何されますか?」
「うむ、少ないが仕方がない。だが出雲の都の隠し玉を出そう」
「ひょっとしたら、道士か陰陽師を出されますか?」
「そうだ、束縛して都まで連れてくるならば道士が良かろう。都まで連れてきたら陰陽師が術で封印するなり従わせれば良い」
「では、道士を5人程お借りしても?」
「あぁ連れていけ、特に力が強いのをな」
「は、畏まりました。では、準備を整え早急に出立致します!」
「うむ、吉報を待っておる」
「これは、どのような食べ物ですか?」
「ん?嬢ちゃん、これは鳥の腿を焼いたもんだ、細い方を持って齧り付くんだよ。買うかい?」
「はぁ~香ばしい~買いたいです!」
と、太加麻呂を振り返る
「では、もも焼きを…」
と、思い出した様にルーン達を振り返る
『ああ、じゃあ僕達も』
「もも焼きを人数分焼いてくれ」
「あいよ~10本だな、1本50銭で500銭だよ」
荒久真が離れた露店を指差して
「あちらで強飯の握った物を売っておるので20程買って参ります」
と、離れていった
「強飯とは何ですか?」
「米を豆など混ぜて蒸した物で腹持ちが良く、旅で食べるのに向いているし庶民の常食です。隈笹で包むと日持ちも良くなります」
「いつも私が食べている米とは違うのですか?」
「臺與様が普段食べている米は炊いた物で姫飯と言います、元は弱飯からきています」
「そうなのですね、為に成ります」
と、後ろでルーンと四獣も
『ほうほう、なるほど~、為に成るなぁ~』
と、感心しきりだ
「ん?嬢ちゃんは臺與って名前なのかい?」
「はい、そうですが?私の事を知っているのですか?」
「え!?臺與って滅多に無い名前の人は、臺與珠姫様じゃないのかい!?」
周りの露店や品定めしていた人達が騒つく
「ええ!?次代の日御子様かい!?」
「え、ホントかい?」
「うわー、こりゃ有難や」
「一生に一度ぐらいしか見れない様な御方が見れたよ!」
皆が皆、男は烏帽子を取って頭を下げ、女は胸の前で手を交差させて頭を下げる、辺りで遊んでいた童は大人の騒ぎに興味深そうに混じる
西の市は、ちょっとした騒ぎになってしまったが
「私は臺與珠姫と呼ばれているのですか?」
臺與は少しズレていた
「皆!気持ちは判るが落ち着いてくれ!これでは危なくて買い物も出来ぬ!」
太加麻呂と、急いで戻ってきた荒久真が民衆を宥める
「うふふふふ、私なんかよりも凄い方々が後ろにいらっしゃるのにね」
と、小声で呟いてペロッと舌を出す
『しかし、この騒ぎは困ったね?もう少し食材とか買いたかったんだけどなぁ』
『全員、風でぶっ飛ばしてやろうか?』
『フー兄ならそう言うと思ったけど、ダメ!だからね?』
『己れは、どうしてそう言う……はぁ~』
ポェニクスが呆れた様にため息を吐いた
「ルーン様、御心配には及びません、食材なら馬の荷籠にタップリ用意してございます」
と、弥乃麻呂が馬の背を跨いで下がる籠を指差す
『おお、準備が良いですねぇ』
「私らの旅支度とはこういう物ですよ」
『なるほどねぇ、じゃあ肉も焼けたみたいだし銭払って行こうか?ツァブ爺払ってくれる?』
『ほい、500銭じゃったな?』
ジャラジャラっと露店の筵の上に置いた
「いやいや、方々に払って戴くなど…」
慌てる荒久真と太加麻呂をルーンが遮る
『あ~別に良いよ、こんなので気にしない。じゃあ行こうか』
西を目指して歩き出した
「村長ー!西から大軍が来てるぞー!」
「なんだと!?また戦か!?」
「西からってこた出雲氏か!?」
「蓬莱山に行くなら、この村から離れた所を通るはずだよな?」
「何か分かるか?」
「わかんねー!ただ、この村を目指してるのは確かだ!」
「出雲氏なら門を閉じる訳にもいかんな…」
「とりあえず女子供を東側に集めて逃げ出せる様にしておけ!」
「村長は何処に居る!」
「はい、私ですが、どういった御用件でございましょうや」
10人ぐらいの兵が武器を構え村長を取り囲む
「先頃、蓬莱山より誰か来なかったか?」
「は、はっ!5人程来まして倭の都に向かわれました!」
「なに!?倭へか?」
「はい、産物を売るとかで」
「どんな、産物であったか」
「はい、蓬莱山で採れた物ですとか…」
「宿儺様!村長の家にこんな物が!」
と、兵が玉乃枝を持って来たが、千代三草は判らなかったみたいだ
「なんと!?これを置いて行ったのか!?」
「は、はい、お礼にと…」
「それで?また、この村に戻ってくるのか?」
「はい、そのように聞いております」
「よし!では、その者等が帰るまで兵は滞在する!それと、この宝は没収だ。武御名方様に御見せせねばならぬ」
「そ、それは村に頂戴した物で…」
「やかましいわ!」
と、槍の柄で村長を殴り倒し
「俺は20人ほど連れて都に戻ってくる、後は阿多に任す。直ぐに戻ってくる故、頼んだぞ」
「はっ!宿儺様が戻る前にその者等が来たら如何致しますか?」
「その為に道士を連れて来ておる、道士を使い捕縛致せ!では行ってくる」
宿儺は駆けて行った
「さて、全兵野営の用意をせよ!村の中でだ!」
「見張っていて正解だったな」
「ああ、さすがルーン様だ」
「よし、伊吹はルーン様へ知らせに走ってくれ。東へ走れば途中で会うだろう」
「伊吹は我等の中で1番足が速いからな」
「だな、俺や茨木では敵わん」
「さて、村はどうするか…見張るだけにしろとは命じられたが…」
「村人たちが危うくなるまでは見張るしかないのではないか?」
「そうだな…」
獣皮を着、頭や額から角を生やした男達が目を光らせた
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
目が痛い…
豊玉姫カワユス♪
鬼さん、シレッと山を下りてきてました
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