黄龍漫遊記

コロ

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漫遊編

蓬莱の國 拾伍

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「これは美味しいものですね!」
「これは良いものですね♪」
「はうぅ~♪歩きながら食べるなんて初めてです!」
「ルーン様達に着いてきて良かった~♪」
「あぁ美味しい~♪」
独りではしゃぐ臺與とよを見て苦笑しながら
ルーン達が都の西から出て、鳥もも焼きに齧り付きながら歩いていると
都からザザザザ…と複数の足音が聞こえてきた

そして
しばらく!方々かたがた!暫く!」
と、叫ぶ声が聞こえ
重そうな荷を担いだ3人を連れて麻佐利まさりが走ってきた

一行は振り返り
『あれ?麻佐利さん?どうしました?』
「いやいや…如何どうしたもこうしたもハァッハァッ…方々が都を出られたと聞いてハァッハァッ…慌てて追い掛けてきましたよ…ハァ~」
息を切らせて言うと
『何か用がありましたかね?』
と、首を傾げる
「いやいや、用とか…古志加こじかさんの恩賞は忘れられたのですか?」
呆れた様に言う
『アッッチャー!?すっかり忘れてた!?ごめんよ古志加さん』
「そのまま忘れてて欲しかったす…」
古志加が肩を落とすと荒久真あらくまがプフッと笑い
臺與と太加麻呂たかまろが不思議そうな顔をする
「そう言う訳には参りません。これは倭と言う連合国としても、ちゃんとしておかないと他の大臣おおおみとかにも示しが付きません。その辺りを判らないのですか?古志加さん!」
麻佐利が鼻息荒く官僚らしい説教をする
「と、言う訳で銭を討伐数1人辺り1万銭で10人討った事にして10万銭持って来ましたよ。村では使い道が難しいでしょうから銭で出しました」
と、大きな麻袋を背負子しょいこくくりり付けた2人を指差す
「じゅ…10万……俺…生き残れるのかな…」

「後は!古志加さん!」
「は、はひっ!」
「貴方の事だから鎧も買っていないのでしょう!で・す・か・ら!日御子様が武具の塗籠ぬりごめから御出し下り下賜かしされるとの事です」
今度はおいを背負った者を指差す
「塗籠に置いてあった物ですが、手入れは万全にしてあるそうです。着てみて下さい」
と、笈から鎧を出す様に促し
古志加に、さぁさぁと促す
出された鎧は革製だが急所部分に鉄片を張り付けてあり
短甲や挂甲より軽く動き易そうな見た目をしている
古志加が革鎧を装着して胴脇の革紐を縛り鉢金を頭に結ぶと

『おお!似合う似合う!』
『うむ、男振りが上がったな』
『馬子にも衣装とはよう言うたものじゃの』
『ポェニクス、それ誉めてねーから』
『フー、お主もじゃな』
ルーン達が褒めそやす

『しかし、その鉢金と革鎧の鉄片は…』
『ふむ、森の気配がするのお』
『だな、何でこんな辺境で?』

『まぁ大昔に伝わったのかもしれないね?ほらロンにぃ、あのひととかさ』
『ん?あ、ああ彼奴あやつか、成る程…そうかもしれぬな』
『まぁ、結果良ければって事かもね』
『そうだな、そうであって欲しいな…』
三獣は首を傾げていた

『じゃあ、そろそろ出発しようか?』
『ツァブじぃは古志加さんの恩賞を仕舞っておいて』
『これからは馬が軽く走る速さで行くよ?臺與さんは道術使ってね?』
「はい!」
臺與が印を結んで集中すると、風が軽く舞い上がる
『麻佐利さんは一緒に来るのかな?』
「はい、蓬莱山の民と倭として付き合っていく為の交渉の大役に推されました」
『そっか、じゃあ頑張って着いて来てよ』
「はい、戦いにはお役に立てませんが口舌は御任せ下さい」

馬の鼻面を撫でながら
『少し速い道中になるけど大丈夫かな?』
馬はヒヒヒヒンといななきながら頷く




「おい、兵達の食い物を倉から出せ」
「いや、それは村の備蓄で…」
「はぁ、分かってないな村長?」
と、阿多あだが村長を蹴り飛ばし
「我等は武御名方たけみなかた様より村の者共を賊徒から守る命を受け遥々はるばる辺鄙へんぴな村までやってきたのだ。であれば我等に便宜を図るのは当然だと思わぬのか?」
「い、いやしかし、此れだけの数の兵に食糧を出すと1日で無くなりまする」
「それがどうした?何か問題があるのか?」
「む、村の衆が飢えてしまいます…」
「だから、それがどうしたのだ?この村に残るのであれば飢えて死ぬが良い。田畑でんばたと土地を捨てれば出雲領内の鉱山にでも行き働けば良い。何ら問題は無かろう?」
「で、では村を潰しに来られたので!?」
「潰される心当たりは無いのか?お前らは倭の都とも仲良くやっておるのだろう?そう言う事だ、さぁ食糧を出せ!」
「……そんな……」




「なぁ茨木いばらき、お前の遠耳で何か聴こえるのか?」
「あぁ…くそ忌々いまいましい事を村長むらおさに言ってやがるよ」
「?、何だ?我等でも忌々しい様な事か?」
世紀よきよ…村を潰すってよ…俺たちの先祖が村を追われたみたいに、村人たちを追い出すんだとよ」
「はあっ!?何だそりゃ!?」
「知らねぇ…」
怒りのあまり2人の身体から気が陽炎の様に立ち昇る
「あいつらの半分ぐらいは俺たちに殺させてくれないかな?」
「ルーン様に頼んでみようぜ」
「あぁそうだな、俺たちの勝手は出来ねぇ」




ルーン達は焚き火を囲んで2日目の夜を野営していた
『臺與さん、日中は走ってばかりで疲れたろう?』
「いえ、まだまだ平気でございます」
『無理はしなくても良いんだよ?』
「いえ本当なんです。先日ルーン様に力を鎮めて戴いてから道術を使うのが凄く楽になりましたから」
『そう言われてみれば、気が柔らかく循環しておるの』
『ふむ、初めて見た時みたいな気のトゲトゲしさは無くなっているようだ』
『無駄に余計な気を使わなくなったのじゃろう』
『はっはっは、ちょっと人間離れしちまったんじゃねーか?』

『でもまぁ、楽になったんなら何よりだね』
「はい!」

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

鬼さん、激オコプンプン丸


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