黄龍漫遊記

コロ

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成長編 東へ

東海の龍宮へ

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ルーンが華焔宮から戻って1年経ち3歳になっていた
ルーンなりに華焔宮で何か思うところがあったのか森の広場から遠出しようとはしなかった
そして、その間は天樹や四神獣から
それぞれの在りようや此の世の事、大雑把な出来事
そう言う話しを御伽噺おとぎばなしの様に聴き過ごした

そうした日々は四神獣にとっても心地良い事ではあったが
ロンは少し落ち着かな気であった

青龍のロンには多数の眷属が居る
龍が統べる大海は広大で、その大海の一定域に眷属を配していた

北の海を統べる黑龍とその眷族

南の海を統べる赤龍とその眷族

西の海を統べる白龍とその眷族

そして、全ての龍と大海を統べる始祖龍の東海の青龍ロン
そのロンには本来なら天樹の森に居座っているヒマは無いのだが
殆ど龍宮に帰ろうとはしなかった

そして他の龍はその状況に困ってしまう
本来の龍の性質は怒り
それを抑えるべき龍王が本拠に居ない状況は諸龍の争いを生み始める

龍宮にはロンが次代と定めた青龍が居るのだが
他の黑龍、赤龍、白龍とその眷族達は、同じロンの眷属なのだからと従わない事が始末に負えない状況を生み一触即発な雰囲気だ

次代青龍は良くも悪くも物事を穏やかに解決しようとする気質で、ただ成り行きを見守っている風であった

龍宮の他の龍達は困り、度々ロンの処へ遣いを出し
帰って来て争いを収めてくれと嘆願するが
ロンは遣いに次代青龍のマーレに解決させろと取り合わなかった、今迄は…

つい先日、再び来た遣いが
「とうとう赤龍族と黑龍族が龍宮への挙兵の準備を始めた様で、多数の龍が北の水晶宮と南の龍樹宮に集まって居るとの事です。白龍は今の所は静観の様ですが、まだ判りません。我々龍宮の者も集まり迎え撃つ準備を整えております」
それだけを一気に報告すると急いで龍宮へと戻っていった

ロンは、ルーン達が居るからと報告を平静に聴いていたが
内心は怒り、そして焦ってもいた

『ロンにぃ、かえらなくてもいいの?』
『ふむ…』
『ロンにぃがかえるなら、ぼくもついていこうかな?』
『む?いのか?最近のルーンは天樹の元を離れたくなさそうだったが?』
『うん、いいよ!たまにはおそとにいかなきゃね』
フニャっと笑うルーンの頭を撫でながら
『そうか、ありがとう』

『そうと決まれば、サッサと行って同族が争うなんて人みたいなバカな真似を止めてこいよ』
『ホンにのぅ、バカらしい争いじゃな』
『龍は眷属が多く、単一種で四元素を担うからのう、色々な思惑も出てくるのじゃろうの』

『皆にも心配掛けて済まぬな』
『ふん、気にすんなロンらしくもねぇ アレだったらルーンに眷属を減らしてもらえ!』
はっはっは、とフーが悪戯イタズラっぽく笑うと
『それも良いかもしれぬな』
わっはっはっは、とロンも豪快に笑った


ロンは龍型になり身をくねらせ東へ飛ぶ
背にはルーンが捕まっている
ルーンを載せる事が殆ど無かったロンは嬉しそうに吼えた
その吼えが聞こえたか、大海の中から数十の龍が飛び出してくる
出迎えた龍の中から一際鮮やかな蒼い鱗の龍が
「御帰りなさいませ龍王様」
と、挨拶をする
「そして天帝様、ようこそいらして下さいました」

『うむ、色々と言いたき事もあるが先ずは龍宮へ着いてからだ』
と、海へ突き進むと出迎えの龍達も従う

海へ入ると、海水がルーンを濡らさないかの様にルーンの周りにだけ空気の膜ができる
『ほう、海水もルーンに敬意を払うか』
感心したかの様にロンが呟く

深く深く暗い海を潜って行くと海底にきらびやかな宮殿が光を放っていた
その屋上に上下無い門が横にしつらえてあり
その門が開くと上から真っ直ぐに下層の中央広間へ降りていく
中央広間からは廊下を進み龍王の間へ入ると正面の玉座へルーンを座らせ
その左隣に立派な椅子を創造するとロンが座った

『さて、次代青龍となるマーレよ。何故なにゆえに此の様な仕儀になるまで放って置いたのか存念を聴かせてもらおうか』
声は穏やかだがロンの周りの海水は沸々フツフツと沸騰し始める

「はい、われの不徳の致すところ、申し開きも御座いませぬ」

『そう言う事を聴いておるのでは無いわ!』
龍宮がビリビリと震える
『何故に静観しておるのかと聴いているのだ!何故、赤龍と黑龍の元へ行き鎮圧せぬ!我が出なければ何も出来ぬか!』

「は、しかし我は黑龍、赤龍、白龍より若輩であり言う事を聞いてくれませぬ」

『はぁ…己れは其奴らと同等以上の力を持っておろう?力で捩じ伏せれば良いではないか』

「はい、ですが、それをしてコレから龍族にわだかまりが出来、将来の禍根になるのは望みませんでした」

『…もうよい…己れは優し過ぎるのやもしれぬな…』
『誰か、黑龍族と赤龍族の処へ遣いを出せ。龍宮へ攻め来るのであれば直ぐに来いと言ってこい!』

「「ははっ!」」
「ですが宜しいのですか?」

『ふん、いも悪いも無いわ。何もしなければ何も成せないと言う事をマーレに見せてやるだけだ』

「「「ははっ!」」」

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回、龍王無双!

たぶん…
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