転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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最初の災害

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お披露目パーティーなどと言ってきた兄を追い返した後で何かが引っかかる…

何だろう…何か忘れてる?

さっきそんな行事もあったなーとか思った。
なんで?

そこにマリーヌが洗濯が終わったオスカーの産衣やオムツを持って来た。

そうそうこの世界には当然紙オムツなんか無いから布なのねー
流石に経験なくてちょっと戸惑ったわ。


「バネッサ様…良かったのですか?」


マリーヌがカゴにオムツをしまいながら聞いてくる。

へ?なにが??


「お披露目があれば旦那様や奥様に会えたのに…」


あー
プラント侯爵と侯爵夫人
つまりバネッサの父親と母親。

バネッサは両親に溺愛されて育った。
つまり作中のバネッサも両親が大好きだ。

今は後継ぎである兄ギースが宰相職で王都から離れられない為、両親は王都から少し離れた領地を運営している。

筆頭侯爵家の領地ともなれば広大だし、領民も多い。
たまたま官僚の不正が見つかったりもして執事や代理人に任せきれない所もあり、レオナルドが王座についてギースが宰相になった時に両親は完全に領地に移り住んだ。

そうか…
私が領地に行く事はまず出来ないから会いたければ来てもらうしかないのね。


「あーっ!!ダムだ!!」


そう思った瞬間思い出した。


原作では予定通りオスカーのお披露目パーティーは開催された。

両親も久しぶりに領地を出て参加する為に王都に来ていた時に、領地は数十年ぶりの大雨が降る。

その時、領地の真ん中を通る河川が氾濫するが、川の流れをせき止めるダムが壊れているのだ。

そのせいで防波堤を越えて領地に水流が押し寄せる。
民家は流されて、田畑や家畜も全滅、両親は王都に来ていたため難を逃れたが、人も大勢流されて怪我人や行方不明者も出た。

余談ではあるが、バネッサが大ボス化して国を滅ぼそうとした時、水で国民を流そうとしたのはこの災害を覚えていたからだった。


そうよあの災害があったんだわ…


でも今回はダムが壊れている事を先に教えて、お父様が領地にいるなら防波堤も土魔法で今より高くしてもらって、当日それでも流されてくる水は水魔法で凍らせちゃえば良いんじゃ無い?

そうあの災害は領地に闇属性のお父様1人いれば回避出来るはず。


「マリーヌ、お父様に手紙を書きたいわ」


さっきお披露目の話しが出たばかりだからまだ余裕はあるはず。
正確な大雨の日はわからないけど、お披露目パーティーの日だった事は確かだわ。

そして丁寧に手紙を書いた。
いきなりダムが壊れてるなんて言ってもおかしいから悩んだ結果

1ヶ月くらい後に大雨が降る夢を見た。
心配だからダムを確認して欲しい。
念の為に土魔法で防波堤も補強して。
でももし水害があってもお父様がいれば水魔法が使えるから安心ね。

と、実家を出て初めて親への手紙を書いた。


ちょうど1ヶ月を過ぎた頃、実家から荷物が届いた。
バネッサが大好きだった肉の塊だ。
たくさんの氷が詰められて鮮度はバッチリだった。

添えられていた手紙には…
バネッサに言われた通りダムを調べたら壊されていて、どうやら犯人は不正をしていた官僚だったそうだ。
ダムの件もあるから念のために防波堤も高くした。
すると本当に大雨が降ってダムと高くした防波堤が無ければ大変な事になってた。

と、こんな感じだった。
どうやら愛娘からの初めての手紙にお父様は有頂天になり張り切った様だった。
原作では触れてないのに犯人まで捕まえてるし…

さらに御礼にと好物の肉。しかも大量。
今回の大雨で氷もいっぱいあるから新鮮だぞと書かれていた。

私は遠い目で働いてるみんなで食べてとロニーに肉を預けながら、内心は災害を無事に回避出来て良かったと胸を撫で下ろした。


が、しかし…


原作では、うちの領地に住んでいた平民の聖女がこの災害で両親を亡くし、さらに住んでいた場所のあまりの惨状に聖属性を発現させるのだが…


そんな事、私はすっかり忘れているのだった…


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