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ワガツマと作家魂
しおりを挟む夜のお披露目に向けて私はまた磨かれていた。
国民向けのTHE王族って感じのドレスからパーティー向けの華やかなドレスにお色直し中だ。
パーティー用のドレスもレオナルド陛下から贈られたドレスで白地に紫の総レースが付いたプリンセスライン。襟元もオフショルダーで肩が出て首元がスッキリしたデザイン。
痩せたからいいけど以前のバネッサだったら白豚もいいところね。
髪は大人っぽくアップに纏めて王妃のティアラを乗せた。
「王妃、準備はいいか?」
自分の用意が終わったのか、勝手に迎えに来た様子のレオナルド陛下…
この方段々遠慮が無くなって来ましたわね…
見ると黒い礼服に紫のマント…
いやいやペアルックやーーん!
「さぁ、オスカーに負担が掛かるから早く行って終わらせよう。」
くぅぅー
私がオスカーの事言われると弱いの分かって言ってるなこれっ
私は差し出された陛下の手を取り、悔し気に睨むしか出来なかった。
会場はほぼ招待した全員の貴族が集まっていて、後は王族のレパール王太后、レオナルド陛下と私の入場を残す所。
陛下の妹のアリス女王は今隣国へ留学中だから参加はしない。
ファンファーレが鳴り、会場内が静かになると入場のアナウンスがされ、いざ会場に足を踏み入れた。
ー ザワ…ザワ…ザワザワ ー
レオナルド陛下にエスコートされるバネッサを見て周りが騒がしくなる。
まぁ、分かるよ…
完全に政略結婚の上に仲が悪いと言われていたの国王と王妃が仲良く入場するわ、ダイナマイトワガママボディーだったバネッサがスッキリ痩せて整形メイクをしてるんだから。
そりゃザワつきますよ。
あら?あれはお父様とお母様?
2人とも顎が外れますわよ…
3段くらいの階段を上がった高台に付いた時、参加者の方を向いた陛下が軽く手を上げると音楽とヒソヒソ話が止まる。
「今日は皆ご苦労であった。」
国王モードの陛下。
実は本人凄く苦手なのよねー
「早速だが、我妻バネッサ王妃が産んだ第一王子オスカー=クラウドだ。」
先程と同じようにモーリスがオスカーを抱いてレオナルド陛下へ渡す。
その後、大きな拍手が起きたが同時にザワつきも起こった。
ちょっと?今この方ワガツマって言ったわよ??
そんな紹介した事ないでしょー?
「お披露目は以上だ。今夜は楽しんでくれ。」
そしてまた同様に私にオスカーを寄こす陛下。
オスカーは寝起きだったのか今回はキョトンとしてるけど、まぁ超絶可愛い。
思わず背中をトントンしながらニヤけてしまうわ。
するとそこでまたザワザワはじまる。
そりゃそうよ!こんな可愛らしい天使を見たら騒ぎたくもなるわ!
私たちが高台の上に用意されている王族の席に着くとまた軽やかな音楽が流れ出してパーティーが始まるのだった。
予定ではここでオスカーは奥に下げるつもりだったけど、寝起きで元気いっぱいだし今度はレパール様に抱っこされてご機嫌の様子。
もう少しだけうちの天使を披露しましょうかね…
なんて私は完全親バカ丸出し思考でいたところで
「踊ろうか?」
と陛下が顔を寄せて囁く
はいぃ?
踊るぅ?誰と誰が??
返事も出来ず、口をパクパクさせる私の手を引きながら
「王と王妃がまず踊らないとな。」
と、ヒーローの特権スペシャルスマイルを向けられた。
おかしい…おかしいぞ!
レオナルドとバネッサはこんなキャラに書いてないよ!!
と、今更ながら作家魂が叫ぶのであった。
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