転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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護衛騎士が付きました。

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なんとかオスカーのお披露目が終わって、私はまた可愛いオスカーを愛でるだけの毎日が始まるかと思っていたのに、そうは問屋がおろさなかった。

あのパーティーは貴族のみなさんには中々衝撃的だったようで、私の元に次々とお茶会のお誘いからお茶会のお誘いまで、つまり山の様にお茶会のお誘いの手紙が届く。

あーーめんどくさいっ!!

こんなに出席してたらオスカーとの時間が無くなるでしょうに!?


「バネッサ王妃がお茶会を開催したら良いと思いますよ。」


お茶会の誘いに投げやりな私にモーリスが教えてくれた。


「招待されてる方皆様お呼びして1回で済ませてしまえば良いのです。」


おおー!
なるほどっ!
1回くらいなら頑張れるかも…いや、頑張れるかな?
なんて言っても前世はホームワークの引きこもりだったし…


それから良い事もある。
お披露目が終わったのでオスカーは宮の敷地内であれば外に出れる事になった。

王妃宮のお庭をお散歩したり、レパール様の真珠宮に遊びに行く事も出来る。

これは嬉しい。
ところでこの世界にベビーカーってあるのかしら?


「バネッサ王妃もオスカー王子も行動範囲が広がりますので、今後は護衛騎士が付きます。」


ニヤニヤ喜んでいたらモーリスにそう付け加えられた。

ああー
そう言えばいたなそんなキャラも…

バネッサに付いた護衛騎士は何故か嫌われ者のバネッサ至上主義で、唯一の味方。
バネッサの悪巧みの片棒を担いでくれるのだ。
たしか名前は…


「本日より王妃様付きの護衛騎士を賜りました、ダーゲン=ドリュフと申します。」


そう!ダーゲン!

私に騎士の忠誠の礼をする緑色の髪に薄い茶色の瞳…


「バネッサ=クラウドよ。宜しくお願いするわ。」


忠誠を受け取ったと言う意味でダーゲンの肩に手を乗せる。
それで初めてダーゲンは頭を上げた。


ん?

あれ??

ダーゲンってもしかして…


「げ…元太?」


日本での容姿とはまるで違うし、そんなはず無いと思いながらもなぜかこの護衛騎士が前世での息子の元太であると思った。


ダーゲンも驚いたのだろう。
唖然とした顔はしているが、私の様にうっかり口に出す事は無かった。


いやどうして?
なんで元太がここにいるの?


実はなるべく考えない様にしてはいたが前世、日本での私は恐らく死んだのだろうと思っていた。

最後の記憶の頃は体調が良くなかったし、無理に仕事もしていた。

だからこの世界に来たのかと思ってたのに…
まさか元太も死んだ訳じゃないわよね?

聞きたい事はたくさんあるけど今ここにはモーリスがいる。

私はモーリスにお茶の用意を頼んだ。
挙動不審な私に探る様な目をして見ていたが、


「かしこまりました…」


と、モーリスは1度下がって行った。
多分すぐに戻るか、代わりの侍女が来るだろう。
時間がない、確認するなら今だ。


「ねぇ母さん、ここ(国王と聖女は月夜に誓う)だろ?」


え?
なに?
うちの息子元太ってば順応能力高すぎない?


「母さんがバネッサか…ヤバイじゃん。」


そう言えば、元太は私の作品を執筆中から読んでいて、時にはダメ出しもしてくる子だったわね。


「俺がなんでダーゲンなんだろう?って思ってたけど、そう言う事か…」


いやいや、どうゆう事?
お母さんサッパリわからないよ??


「とにかく、俺ら殺されない様に頑張るしかないな…」


確かに、ダーゲンは終盤にバネッサを庇ってレオナルド陛下に殺されてしまう。

その直後、バネッサも陛下と聖女に殺されてしまうのだからダーゲンは無駄死にだったわけだけど、そんな結末を一緒に回避してくれるらしい。


どうやら私は心強い味方を手に入れた様だ



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