転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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大混乱の中で(ハンナside)

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数年ぶりの祖国に帰れば、熱烈に迎えてくれた。

当然、王族であるアリス様に対してなのは分かっているけど同行した私まで嬉しく思った。

王宮ではレパール王太后様とバネッサ王妃様で帰国パーティーの準備もされてるらしい。

バネッサ王妃様の名前を聞いてアリス様は露骨に顔をしかめられた…

そう、アリス様はバネッサ王妃様が大嫌いなのでございます。

アリス様はレオナルド陛下様を大変慕っております
幼い頃から家族として接してくれたのはレオナルド陛下様だけだと思っておられるのです。

それなのに評判の悪い…
いや、やめておきましょう。

とにかくレオナルド陛下様と結婚された事が気に入らないのでございます。


「あの女どんな手を使ったのか、最近はお兄様と仲良くしてるらしいのよ!」


ここ数ヶ月のレオナルド陛下様からの手紙には良くバネッサ王妃様の事が書いてあったそうでその事も気に入らないのでしょう…
せっかくの帰国とアリス様の為のパーティーなのに不機嫌モードに突入されました。
 
長くお側におりますので分かりますが、こうなると中々機嫌は良くなりません。

唯一、アリス様の機嫌を取れるお方が馬車から降りた私達の迎えに来られました。


「お帰り、長旅ご苦労だったな」


あら?
私も久しぶりにお顔を拝見しましたが、随分と貫禄が出てご立派になられた様な…


「お兄様ー!!」


アリス様は弾けるような笑顔を向けてレオナルド陛下様に駆け寄っていかれました。

これで少しは機嫌も良くなる事でしょう


「ハンナ、お帰りなさい」


出迎えの方々の中にいたのでしょうか、お姉様がすっと私に近づいて声を掛けてくれました。


あら?お姉様も?

乳母を引退した姉上はレオナルド陛下様の要望でバネッサ王妃様に付いていると聞いております。

バネッサ王妃様のお産みになられた王子の乳母も任されているはずです。

きっとバネッサ王妃様の監視と子育てとで疲労困憊であろうと想像しておりましたが、何故か逆に若返られたようにも見えます。


「お姉様、ただいま戻りました」


挨拶を返してから私達はお互いハグをいたしました。

更にお元気そうで、と言葉を続ければ


「そうなの、最近はご飯が美味しくて太っちゃったのよ」


と、自分の両頬を両手で押さえるお姉様

あらあら?想像とちがいますわね?

良く良く周りを見れば私達が国を出た頃よりも王宮全体が穏やかな雰囲気に感じるのは気のせいでしょうか?


それからは荷物をアリス様の住まわれていた薔薇宮に運び入れ身支度をされてからパーティー会場である王宮の大広間へ向かいましたの。

そしてそれからの私は混乱してしまい良く覚えておりません…

まず大広間に飾られた大きな肖像画


「なにこれ!こんなのなかったわよね?」


あまりの大きさにアリス様も驚かれたのでしょう大きな声を上げます。


「バッサの希望でな、親子3人の姿絵だ」


嬉しそうに微笑みながら見上げるレオナルド陛下様に


「バッ、バッサー?て、言うかどこにバネッサがいるのよ!」


アリス様のその言葉に私も今一度絵を見上げました…

レオナルド陛下とあの御子はオスカー王子でしょう?
じゃあその横にいる令嬢はもしかして?



「見て分からないのか?バッサにそっくりだぞ」


と逆に驚いた顔をされるレオナルド陛下様に、


「いったい絵師にいくら渡してあんな偽りを描かせたのよ…」


と呆れ顔のアリス様

でも私は、あれがバネッサ王妃様?
バネッサ王妃様というよりも…

混乱したまま席に移動されるレオナルド陛下様とアリス様

席には既にオスカー王子を抱いたレパール王太后様が座っておられました。


それから席に次々と運ばれてくる料理に私は更に困惑いたします。

あれは唐揚げ?
ハンバーグもあるわ…

え!うそっパエリア?まさかお米もあるの?


ありえません…

この世界では見たことのない料理ばかりでございます

私達のいなかったたった数年で食生活がこんなに様変わりするとは考え難いのです。


それじゃこれはまさか…


私はますますの大混乱の中にいたのでございます。

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