転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

文字の大きさ
74 / 77

バネッサvsアリス王女

しおりを挟む

アリス王女の帰国パーティーもなんとか無事に終わった。

私の料理は最後のデザートまでとても好評でとりあえずホッとした。

グレイン領から帰ってすぐに帰国パーティーで慌ただしい毎日からやっと解放されて、今日は久しぶりにオスカーとゆっくり過ごそうと決めていた。

何しようかしら?
また庭でピクニックでもする?

オスカーに新しい玩具も作ってあげたいし、あ、お米を使った違う料理も作りたいわね!

色々思いついた事をやろうとすれば、結局はゆっくりと過ごせない事には気がつかず次々と妄想する。

そしてそれらの予定をすべて吹き飛ばすかのような知らせがモーリスから届けられるのだった。


「アリス王女が会いたいとおっしゃってます」


これから王妃宮に来ると先触れを出してきた。

はあーー

昨日の態度を見れば友好的な訪問である可能性は低いわね…

仕方ない、私は了承してアリス王女の突撃を待ったのだった。



昨夜、原作のアリス王女はどうなったか思い出そうと頑張った。

結局はゲンに教えて貰ったのだが、アリス王女はレオに手紙で止められて留学先から帰らないのよ。

大ボスのバネッサが倒されて、平和な国になってから留学先の第3王子と一緒に帰るのよね。

そしてレオに婚約のお願いをするのよ

レオとエリーゼ、アリス王女と第3王子、みんな幸せのハッピーエンド!

だったのになんで帰って来たの?
レオが止めなかった?
第3王子は?

またまた原作とは違う展開にこの先は読めないなぁーとため息をついた。



「失礼しますわ」


はじめから開かれた扉の向こうでアリス王女の声がした。

ああ、来たわね…

私も椅子から立ち上がり、振り返るとアリス王女を迎えいれる。

部屋で遊んでいたオスカーを乳母sに預けて侍女にお茶の用意を頼むと、お互い向き合って席に座った。


が…

アリス王女、モジモジしてなかなか話を切り出さないのよねー

ここはひとつ前世アラフォーの私から切り出すべきかしら?


「今日はどういった用件ですの?」


侍女がお茶を出して下がったタイミングで声を掛けてみた。

一瞬ビクッとしたアリス王女はそれでもキッと私を見てから口を開いた


「色々とお兄様とモーリスから聞きましたの」


は、はぁ?いったい何を?


「私の昨日の態度はとても不躾でしたわ」


と、前置きをしてから強めの口調で謝罪をした。


ああ、きっとレオとモーリスに怒られたのね。
で、不本意ながら謝罪に来たって所かしら?

そんなアリス王女に、私は大人の対応ってやつ?
そんなの気にしてませんよーって笑いながら返した。


「でも、突然人が変わったようになるなんて信じられないのだけど!」


謝罪した側からアリス王女が言う
人が変わったようではなくて本当に変わったのだけどね。


「お兄様と離縁したくないからネコ被ってるのでしょ!」


おっと、そう来たか…


「バネッサ…バネッサ王妃はいつもお兄様を追いかけまわしてベタベタしてたじゃない!」


お、呼び捨てからバネッサ王妃に昇格したわよ!怪しかったけどね。


「いつまでも寄生虫みたいにひっついてないでとっとと離縁してちょうだい!」


うーーん…寄生虫かぁ
確かに以前のバネッサならそうよね…
でも今の私は別に…


「私はオスカーさえいれば離縁する事は構いませんよ」


私の返答に周りにいた人々皆がポカンとした顔をする



「どうしても王妃でいたいというわけでもありませんし…」


さらなる私の返しに
えっ、だって…そんな…
と呟くアリス王女


「でもそれはアリス王女からではなくてレオナルド陛下に離縁を望まれた時の話です」


少し強めの口調で言えば、アリス王女…あ、あれ?涙目??



「バッサー!僕はそんなの望まないよー」


背後から突然抱きつかれて、ヒッと驚く
いつのまにかレオも王妃宮に来ていたようだった。



「だから離縁なんて言わないでくれー」



と、叫ぶレオ

兄妹そろって涙目になっているのだった…



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】母になります。

たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。 この子、わたしの子供なの? 旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら? ふふっ、でも、可愛いわよね? わたしとお友達にならない? 事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。 ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ! だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

処理中です...