転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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母と子、姉と妹

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決定的瞬間を見られて、またレオにお説教を食らったアリス王女は今度はシュンとしおらしい顔をして私に謝った

そしてなぜかレオまで何度も謝ってくる。

国王がこんなに頭を下げちゃダメだと思うけど…


「たったひとりの妹で、ついいつの間にか甘やかせてしまったようだ…」


甘やかされた妹…
どこかにも似たような環境の子がいたわね。

でも恵里奈とアリス王女との大きな違いは間違えてたらちゃんと叱ってくれる人が身近にいるかいないか

あかりもただ逃げて何も言わなかった。
ただ甘やかせた両親と私も同罪なのかも知れない…


過去に学ばないものは過ちを繰り返す

アメリカの哲学者サンタヤーナーの言葉…


今までの私なら自分にとって大切な人だけに歩み寄って来た、多分今のアリス王女には適当に話を合わせはするが距離を置いていただろう


私も繰り返してはいけないと思う。
人間は過去に学ぶ事のできる素晴らしい能力を持っているのだから。

そう決意して思い切って口を開く

もう謝罪は受け取ったからいらないと、そして
以前のバネッサも悪かったと謝った。

兄妹揃って似たような表情をして私を見る。
そう、ポカンって顔


「私、妹ができたら本当の姉妹の様に仲良くしたいと思ってますの、アリス王女良いかしら?」


私の問いかけに、少し間を置いたアリス王女は照れ臭そうに微笑んで頷いた。


ああ、あの子にも最初からこう言ってあげれば良かったのかな…

そんな事を考えたら目頭が熱くなった。



「バネッサ王妃様…」


突然呼びかけられて声の主の方を見る

多分、部屋の外に控えていたのだろう
アリス王女の乳母、ハンナ=ディテール


改めて彼女の顔を見た私は思わず言葉を失った。

そんな私に構う事なくハンナは昨日のパーティーでの醜態を謝罪した。
更に、


「私の体調を気遣ってお粥まで頂きまして、懐かしくて涙が出ました…」


と、続けた

あまりにも年月が過ぎていたし、ちゃんと顔を見ていなかったから昨日は気が付かなかった…

まさか、ここで会えるとは思わなかった

正直に言えば色々な感情があってひと言で言いあらわせないけど…

憎んで、恨んだ時もあった

ただ自分も親になった時、理解出来ることもあった

そして今はただ、熱くなった目頭から涙が流れてくる事を止められなかった。


「バッサ…?」


私の異変に驚いたレオが駆け寄って手を取る。

ダメだって、今は優しくしないで…


「ご、ごめんなさい…ハンナさんを見たらなぜか実家の母を思い出して、情緒不安定なのかしら…」


レオは自分のハンカチを私の手に握らせながら、


「プラント夫人の事か?」


と、心配そうに聞いてくる

違う…
実家は実家でも日本の実家なのよ

16歳で出て行ってから一度も会う事の無かった母親なのよ

あのお粥の作り方はあかりが母親に習った作り方だった。

多分、普通のどこの家でも出来るお粥だったけど覚えてたの?懐かしかったの?

探るようにハンナの顔を見ればハンナの目からも涙が溢れていた。


ダメだ…
これ以上は誤魔化せない…

必死に言い訳を探しているところで、


「失礼します。王妃様は今朝から少し熱がありまして、そろそろ休んで頂いた方が宜しいかと…」


ゲンだった。

私の様子にただ事じゃないと感じたのだろう。
助け舟を出してくれた…


「な、なんだって?バッサそうなのか?」


レオが私の額に手を置く、熱なんか無かったし完全な仮病だけどレオは


「たしかに、少し熱い気がする!」


と、ベットで休むように言われた



「アリス王女、ハンナさんごめんなさいね…今度ゆっくり話しましょう…」



そう言葉を掛けると、私はレオに連れられて寝室へと強制連行されるのであった…


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