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第2章 現存十二天守
第六夜 姫路城とえきそば
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姫路駅に新幹線が滑り込むと同時に、旅の空気にスイッチが入る。
「さて、今回は西の横綱やな」
現存十二天守巡り、第六夜。ワクカブが降り立ったのは、兵庫県・姫路。構内の大窓越しに、白く輝く天守が小さく見える。その姿はまるで、遠くで舞う白鷺のようだ。
駅から北へ。整備された大手前通りを歩くうち、やがて町並みに風格がにじむ。軒を連ねる町家、格子戸、武家屋敷風の門構え──城下町の名残が、ゆるやかに時を伝えてくる。
「ここ、時代劇で見覚えが……」
寄り道した大手前公園には、「暴れん坊将軍」の撮影にも使われた場所があると知り、思わず足を止める。
「松平健さんの剣さばき、たまらんかったな……」
ドラマ好きのワクカブらしい、ささやかな感動のひとときだった。
⸻
姫路城の大手門をくぐると、思わず背筋が伸びる。
天を突くような五重の天守、精緻に組まれた白漆喰の壁。随所に忍者返しの構造を備えた石垣、角度や勾配の変化に込められた防御の工夫。井戸の深さも圧巻なら、非常時用の「厠(かわや)」の位置まで抜かりがない。
「さすが、国宝やな……“守る城”としての完成度が違う」
姫路城は見どころが多く、数時間いても飽きない。ひとつひとつ丁寧に足を止めるワクカブの姿は、歴史の細部に敬意を払う旅人そのものだった。
⸻
歩き疲れた午後、姫路駅に戻ると、ふと小腹がすく。
「せっかくやし、えきそばいっとこか」
大阪・関西万博でも話題になった、姫路名物「えきそば」。中華麺に和風だし、という意外な組み合わせだが、あっさりとした味わいが心地よい。
ずずっとひと口啜って、ワクカブは満足げに頷く。
「ラーメンでも、うどんでもない……けど、アリやな」
この旅では、名物グルメにも妥協しない。
⸻
土産物売り場をふらりと覗いて、兵庫の地酒コーナーに立ち止まる。
手に取ったのは、播州の名酒「龍力(たつりき)」の無濾過生原酒。
「米の旨み、ちゃんと感じるな……」
酒造りに力を入れる兵庫の酒は、全国でも評価が高い。その地で、旅の終わりに味わう一杯は格別だ。
⸻
帰路につく前に、もう一つ、投資家としてのアンテナが反応する。
「トリドールホールディングス……って、兵庫の企業なんや」
丸亀製麺で知られるこの企業。兵庫県加古川の焼鳥居酒屋から始まったと知り、IR情報をスマホで確認する。
「海外展開、原価率、店舗数……なかなか手堅い。円安の今、外食企業もチャンスかもしれんな」
旅先で出会う企業に、未来を見つける。それがワクカブ流の「食べるように投資する」スタイルだ。
⸻
再び新幹線に乗り込み、夕暮れの姫路駅を後にする。
目を閉じると、今も目に焼きつく白鷺の天守。
「さて、次は……宍道湖に沈む夕日と、出雲の風が待つ松江か」
城巡りの旅は、まだまだ続く。
⸻
【次回予告】
夕日が水面を染める宍道湖。そして、静かにそびえる出雲松江の城郭。風土と神話が織りなす国で、ワクカブは次なる“銘柄”を探す——次回、現存十二天守・松江城編!
「さて、今回は西の横綱やな」
現存十二天守巡り、第六夜。ワクカブが降り立ったのは、兵庫県・姫路。構内の大窓越しに、白く輝く天守が小さく見える。その姿はまるで、遠くで舞う白鷺のようだ。
駅から北へ。整備された大手前通りを歩くうち、やがて町並みに風格がにじむ。軒を連ねる町家、格子戸、武家屋敷風の門構え──城下町の名残が、ゆるやかに時を伝えてくる。
「ここ、時代劇で見覚えが……」
寄り道した大手前公園には、「暴れん坊将軍」の撮影にも使われた場所があると知り、思わず足を止める。
「松平健さんの剣さばき、たまらんかったな……」
ドラマ好きのワクカブらしい、ささやかな感動のひとときだった。
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姫路城の大手門をくぐると、思わず背筋が伸びる。
天を突くような五重の天守、精緻に組まれた白漆喰の壁。随所に忍者返しの構造を備えた石垣、角度や勾配の変化に込められた防御の工夫。井戸の深さも圧巻なら、非常時用の「厠(かわや)」の位置まで抜かりがない。
「さすが、国宝やな……“守る城”としての完成度が違う」
姫路城は見どころが多く、数時間いても飽きない。ひとつひとつ丁寧に足を止めるワクカブの姿は、歴史の細部に敬意を払う旅人そのものだった。
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歩き疲れた午後、姫路駅に戻ると、ふと小腹がすく。
「せっかくやし、えきそばいっとこか」
大阪・関西万博でも話題になった、姫路名物「えきそば」。中華麺に和風だし、という意外な組み合わせだが、あっさりとした味わいが心地よい。
ずずっとひと口啜って、ワクカブは満足げに頷く。
「ラーメンでも、うどんでもない……けど、アリやな」
この旅では、名物グルメにも妥協しない。
⸻
土産物売り場をふらりと覗いて、兵庫の地酒コーナーに立ち止まる。
手に取ったのは、播州の名酒「龍力(たつりき)」の無濾過生原酒。
「米の旨み、ちゃんと感じるな……」
酒造りに力を入れる兵庫の酒は、全国でも評価が高い。その地で、旅の終わりに味わう一杯は格別だ。
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帰路につく前に、もう一つ、投資家としてのアンテナが反応する。
「トリドールホールディングス……って、兵庫の企業なんや」
丸亀製麺で知られるこの企業。兵庫県加古川の焼鳥居酒屋から始まったと知り、IR情報をスマホで確認する。
「海外展開、原価率、店舗数……なかなか手堅い。円安の今、外食企業もチャンスかもしれんな」
旅先で出会う企業に、未来を見つける。それがワクカブ流の「食べるように投資する」スタイルだ。
⸻
再び新幹線に乗り込み、夕暮れの姫路駅を後にする。
目を閉じると、今も目に焼きつく白鷺の天守。
「さて、次は……宍道湖に沈む夕日と、出雲の風が待つ松江か」
城巡りの旅は、まだまだ続く。
⸻
【次回予告】
夕日が水面を染める宍道湖。そして、静かにそびえる出雲松江の城郭。風土と神話が織りなす国で、ワクカブは次なる“銘柄”を探す——次回、現存十二天守・松江城編!
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