花散る男女

トリヤマケイ

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第2部 名古屋編

🎵12 三年後の約束

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  話は戻るけれど、






   たとえば、勝手知ったる地元であっても、アングルを変えたり、逆方向から見てみると、いつも見る景色とはまったく光景が異なって見えることがある。






   逆側からはこんな風に見えているのかとか、こんな抜け道があったのかとか、少しだけ視点をズラしたり、普段は通らない道を使ってみたりすると新鮮だし、敢えて迷い子に近い状態に自分を追い込んでみるというのもなかなか面白かったりする。








   それは、確かに土地勘がある近所であるからこそできるプチ冒険ではあるのだが、酔っ払っていても無意識のうちに歩いてしまういつものルートでも、見知らぬ土地のまったく見たこともない道であると自分に思い込ませて歩いてみるのも、また一興なのだった。








   仮定してみるという方法だが、たとえば自分は実は異世界へと続く抜け道を知っているとか考えていると楽しい。







  異世界というと何かこことはまったく別の隔絶した次元やら場所にあると思うかもしれないが、認識ひとつで世界はまったくの別物になってしまうわけなので、脳内に宇宙みたいに果てしなく広がっていると考えてもいいのではないか。  









   世の中にはありえない生き物、生き物といっていいのかわからないが、妖精とか確かに存在するとレイは思っている。アタマがおかしいと言われるのがおちなので、人前ではそんなことを話したことはない。









    普段から妖精やらがいるかも知れないと気をつけて街を歩いているはずもないので、妖精を見たことはないのだが、いわゆる超能力者的な人もまったくいないなんてことはないだろうとレイは思う。








 気づかないのは、気をつけて見ていればわかるというレベルの話ではないからだ。










   そして。超常的なパワーを持ち合わせている存在として、レプタリアン(ヒト型爬虫類)であるとか地底人はもしかしたならヒトに化けているのではないかとレイは思っていた。つまり、普通に人類の中に何食わぬ顔して紛れ込んでいるだろうからだ。









   人に化けるのは容易で、顔だけ人に寄せておけばいいのだ。あとは見える部分といえば手くらいなもので、服を着てしまえば誰にもバレない。








   むろん、レプタリアンやら地底人は間違っても仲間にはなってくれないだろうから考えても仕方ないのだが、そういう人たちは逆にバレないように普段からごくごく普通に目立たない事を意識しているだろうから、見た目ではまず判断するのは難しいだろうことはわかっていた。









   ただし、容姿では見分けがつかないだろうけれど、そのいわゆる雰囲気であるとか、まとっているオーラであるとかは、気をつけて消してないと、こちら側にもわかってしまうのではないだろうか。とにかく意識するのとしないのとでは雲泥の差があるということだろう。










   やがてレイにも何かがちがうという、その言葉では説明できないsomethingを感じられるようになってきた感じがしてきた。いや、そういう思い込みも実は重要だったりする。









   いまオレゴンで開催されている世界陸上をTVで観ているが、アスリートでイメージトレーニングをしてない人は皆無だろうし、自分に出来る出来ると暗示をかけるようにして奮い立たせなければ、困難が立ちはだかった際、すぐさま心は折れてしまうだろう。









   陰キャだしネットで似たような仲間を集うつもりだったが、似たようなとなると、ダメ人間というレッテルを貼られた社会のはみ出し者という人種、そんな範疇でしか引っかかっりはなく、ろくなもんじゃないとは思うのだが、仲間といえるような人物は、むしろリアルで会うよりも容姿に惑わされないぶん、ネットの方がいいのではないかなどと思いはじめていた。









 たとえばレプタリアンは変幻自在に姿を変えることができ、人類ではないのにいくらでもヒトに化けられるといったいわゆるバケモノなのだから底知れぬパワーを秘めていることは確かであり、その能力は、喉から手が出るほどほしいけれど、むしろこちらが潰されてしまうだろうから却下するしか選択肢はないのかもしれない。










    誰かキーパーソンが見つかればとなどとレイは思っていたが、やがて自分がフツーの人間ではないことに徐々に気づきはじめていくとは夢にも思っていなかった。










   ところで、レイには皆目見当もつかない宝探し的な話なわけだけれども、ジュネの言っていたある事が気になってはいた。










 どうせ呪いを解くことなど無理かもしれないのだから、細かいことに目くじら立てる意味がわからないくらいなのだが、ジュネのいう結婚は、三年後の約束なのだという。












   え?   三年後?   とその瞬間思ったものの、何も言えなかった。










 ジュネにかけられた呪いをなんとか解いたとしても、もちろん即座に結婚という運びになるわけもなく、それから三年後に結婚という段取りになるという意味らしい。そして、今になって思う。











   たぶん結婚の時期は来年になってもまだ三年後なのだ。再来年になっても三年後。










 つまり、三年後の約束というのは、三年後の約束という約束であるだけで、何年経とうが、あと三年からあと二年あと一年と減っていくことは未来永劫ない。












   どこまでいっても「三年後の約束」は、「三年後の約束」であり、確かにそれはどこもおかしくはない。











   いわゆる叙述トリック的なものであり、三年後にも「三年後の約束」は、「三年後の約束」のまま固定されていてピクリとも動かない。











   まあ、打開策がなにも思いつかないから、ネガティブな考えにさらに拍車がかかるのだった。















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