205 / 222
#204 ポン=ヌフの恋人
しおりを挟む
*月*日
そういえば、シャンゼリゼ通りを手をつないで歩きながら『オーシャンゼリゼ』を歌うというのが、麻衣との約束のひとつだった。
たとえ『オーシャンゼリゼ』が、元々はロンドンのウォータールー通りを舞台とした歌詞であり、それをパリのシャンゼリゼ通りに差し替えたという後日談があったとしても、いいものはいい。
あと、せっかくだから、美しいセーヌを眺めながら石造りのポン=ヌフをふたりで渡ってみたい。
ちなみにポン=ヌフは、新しい橋の意で、それまでフランスでは木造の橋ばかりだったけれど、はじめての石造りの橋ということで、ついた名前らしい。
そんなエピソードを知ったのも『ポン=ヌフの恋人』というレオン・カラックス監督の映画だった。
その『ポンヌフの恋人』をもう一度観たいけれど、アレックスとミシェルの恋の物語は、まちがいなくひとつの奇跡であり、心ふるえる忘れられない映画だ。
みんな、奇跡なんてそうそうあるもんじゃないと思っているけど、実は、毎日が奇跡の連続だから気づかないだけ。映画は、日常のその一瞬の奇跡を切り取って可視化したものだ。
きのうは、麻衣と鰻重を食べにいった。美味しくて頬っぺたが落ちそうだった。それから恵比寿から代官山までのんびり歩いた。
そよ風が薔薇色の頬をくすぐり美しい巻き毛がしとやかに流れる。言葉は要らなかったし、できれば時間が止まってほしかった。
代官山で大好きな雑貨屋さん巡りをしつつ、できれば物陰で不意に麻衣の唇を奪うワンチャン狙い。
そんな世界線で麻衣と生きてみたかった。
そういえば、シャンゼリゼ通りを手をつないで歩きながら『オーシャンゼリゼ』を歌うというのが、麻衣との約束のひとつだった。
たとえ『オーシャンゼリゼ』が、元々はロンドンのウォータールー通りを舞台とした歌詞であり、それをパリのシャンゼリゼ通りに差し替えたという後日談があったとしても、いいものはいい。
あと、せっかくだから、美しいセーヌを眺めながら石造りのポン=ヌフをふたりで渡ってみたい。
ちなみにポン=ヌフは、新しい橋の意で、それまでフランスでは木造の橋ばかりだったけれど、はじめての石造りの橋ということで、ついた名前らしい。
そんなエピソードを知ったのも『ポン=ヌフの恋人』というレオン・カラックス監督の映画だった。
その『ポンヌフの恋人』をもう一度観たいけれど、アレックスとミシェルの恋の物語は、まちがいなくひとつの奇跡であり、心ふるえる忘れられない映画だ。
みんな、奇跡なんてそうそうあるもんじゃないと思っているけど、実は、毎日が奇跡の連続だから気づかないだけ。映画は、日常のその一瞬の奇跡を切り取って可視化したものだ。
きのうは、麻衣と鰻重を食べにいった。美味しくて頬っぺたが落ちそうだった。それから恵比寿から代官山までのんびり歩いた。
そよ風が薔薇色の頬をくすぐり美しい巻き毛がしとやかに流れる。言葉は要らなかったし、できれば時間が止まってほしかった。
代官山で大好きな雑貨屋さん巡りをしつつ、できれば物陰で不意に麻衣の唇を奪うワンチャン狙い。
そんな世界線で麻衣と生きてみたかった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる