私消シゴム

竜海 昇空

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暗陽

誤解

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私は、彼女を殺してしまったという罪悪感に打ちひしがれていた。
このままではいけないいつまでも私は、罪の意識に押し潰れそうになりながら、生き地獄に晒されていた。
何故、もう少し優しくしてあげなかったのか。
付き合ってあげれば良かったのか?
彼女の為に何をすれば良かったのか?

私は彼女が好きでいてくれている安心感と彼女がいてくれていた温もりが近くに常にあったからこそ安心して油断していた。

落下する彼女。落ちた時にバウンドして骨と地面のアスファルトがあたる音
肉がクッション人になり、妙な軋みを浴びた音はまさに地獄に響く音楽なのだ

何度も何度も何度も、リピートして頭の中に響き続ける音楽が

まるで、地獄の谷で何人もの人が落下して地面に叩きつけられているように。

彼女の葬式は私は行けなかった。
怖かった。
電話では今日だと家に連絡がきたが、何も知らない両親は、特に接点もなかったため。
葬式には行かなかった。
言えなかった。自分のせいで自殺したのだと両親にも言えなかった。
こんな卑怯な私を許して欲しい。
お母さん
お父さん
私は、人を殺してしまったのだ

その晩
友人が私の家を訪ねてきた。
彼が話すには、彼女の両親は泣き崩れていたと私の事を探していたが、事情は担任の鷺坂から聞いていた為だと
だが、私は彼女を無くしたショックで立ち直れないと話しはしていたが。
両親は納得はいかずに、泣き伏していた。
何故来なかったのだろうと

実は私は遠くから見ていたのだ。
沢山の喪服と学生服を着ている人達。一軒家を囲む人達。
私は遠くから彼女の家を眺めていた。

私は、何も隠れる場所のない田んぼみちの真ん中でただただ、見ていたのだ

真っ黒な集団の中にいる悪魔を

私は行けなかった彼女の元へ

友達は私の部屋に入って、私と会話をした。
たわいもない。いつも通りの学校内の事を
彼は、学校に来いよと言い。
彼女が死んだのは俺のせいではないと励ましてくれて。
死んだ人より今生きている人の方が大切だとこのまま腐っていても良くないと
別に私が振った訳じゃないし。
私が、彼女を少し避けただけで友達だったのだと

友達から始めようと言って、上手くいかなかったから死んだのだよ
付き合っていた所で、上手くいかなかったから死んだのだと言われても一緒の事だろと
その方がお互い傷つくと

私が彼女に酷いことをした訳ではないと

振られたと勘違いさせた奴がいけないと

そもそも、こっちは振っていないと

勝手に彼女が勘違いをして、周りの人間が振られたと勘違いを植え付けて殺したのだとだからみんなのせいだと

だって実際勘違いなのだから誤解なのだから

適当に彼女に都合のいいように、彼女の為になるようなことを言えば良かったのではないかと。

だって、彼女の為に幸せになる嘘なら嘘でも美しいと

私は、色々と励まされた。

少し楽になれた。

友達はしばらく私を励ましてから私はお礼をいい彼を送った。

ありがとう

彼は微笑みながら家を後にした

彼は、帰宅途中、公園に寄っていた
そこに鷺坂がいて彼と話していた。

鷺坂は彼に。奴は学校へ来るかと聞く。
彼は必ず来ると。

何気ない生徒と教師の私を心配する光景なのだが腹の中は違っていた

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