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11.体育倉庫

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「…………ちょっ?!…何すんだよ!」

制服のボタンを一つ一つ外されていく。


こっ、こここ、こんな展開聞いてねぇって?!?!


しっかりと、腕を縛られていて
ていこうができない。

「……いいじゃねぇか…ヤラせてくれたら
あのΩにもう手ださねぇって」

なおのことを助けられる手段だと脅すように言うわりに、俺に選択権はない。

服の上から触っていた手は、
ズボンの中に入り、またその上から
俺のカタチを確認するように撫でる。


「…………んっ……や…めろっ…」


きもいいいいぃっ!!!

まじ触るなっ!

男にモテモテになる事なんて望んでね~んだよ神さまっ!!!


「…………なんだ…いやだって言う割に、
感じてんじゃん?」


くっっそ…まじ殺す…


俺の下を触りながら、耳の縁をサワサワと
指でなでてくる。


「…………ひぁっ……耳っ…気持ち悪いっ」


も、もうやだ……こんなのっ…


まだ好きな人ともした事ないのにっ!!!


「………………やだっ…や……めろってぇ…」



「……ははっ、お前泣いてんのか?…………
いいねぇ…その顔、すっげぇ…そそるっ」



ぎゃぁぁぁぁぁあっ!!!!


止まれ俺の涙っ…逆に興奮させてどうすんだ!!!


そして、耳を触っていた手が俺のパンツをおろそうとする。



「………………え?!っ……ほんとにっ!
やめっ……」

もう、抵抗を諦めてしまおうか…そう思った瞬間。
ガシャンと音がして体育倉庫の窓ガラスが割れた。


?!?!?!?!?!





「まこっ!!!!」



いつもは怖いと思っていたゆうの顔をみて、
声を聞いて、何だかとても安心してしまった。


「…………ゆうっ……っ」


ゆうは一瞬目を見開き、いつもの何倍も恐ろしい顔を男に向ける。

それはもう、殺意だった。


「………………………………。」


ゆうは、無言で体育倉庫にあったバットを手に取ると、男の左肩を思いっきり殴りつけた。


「…………ぐあぁっつ!?!!!」


ゆうはもう一度バットを振り上げた。
次は右肩を殴りつけようとしているようだ、
頭を1発だけ殴り、気絶をさせないのは
それだけイラついているからなのだろうか。

これだけ怒り狂っているのは、役に呑まれているからなのか。それとも…………

このままでは、ほんとに男を殺してしまいそうだと思った。

「…………ゆうっ!もういいよっ!
俺なら大丈夫だって!!ほらなっ? 」


と、言ってみせるが、その姿は何も無かっただなんて言えるものじゃなかった。

シャツははだけ、ズボンは開いている。

「………………お前さぁ…この間の事も大したことないってあいつに言ってたけど…いい加減にしろよ?」


…………え?



怖い顔をしているゆうが近づいてくる。
でも、今はそんなに怖いと思わない。

 
俺も殴られるんじゃっ……


そう思った瞬間、

ゆうが、俺の体を優しく抱きしめる。





「…………主人公だからって…強がってんじゃねぇよ……馬鹿がっ……」




その瞬間、緊張と不安、恐怖から一度に解放されて、何から何まで瞳から溢れ出してしまう。


「…………ぅっ……ゆうっ…こわかったよ……ごめんっ………………」



ゆうは、何も言わずにただ、
俺の体を抱きしめる。


俺の震えが止まるように、涙が止まるように、そっと。








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