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16.スタンプラリー
しおりを挟む「はぁ~い、ではこれから班別のスタンプラリーを行いますっ。1位は商品があるから協力して頑張ってくださぁ~いっ」
学年主任がだるそうに話す。
いくら昨日疲れたからってなぁっ……
こちとら上尾のいびきで寝れなかったんだぞ?!
………………まぁ、他の理由もあるんだけど。
「平塚ぁ、お前なんか目赤くなってね??
はっ!俺としたことがっ…また空気の読めないような言葉をっ!………………」
こ…いつはぁっ………………
「………………るっせぇ、上尾っ」
「……………………まぁ、本当に困ったことあったら言えよな。」
!?
こいつ…………良い奴かもしれない。
「…………俺、口かたいしっ!」
は?
「………いちばんお前がいいそうだわっ」
「テヘペロッ☆」
「お前なぁ……陽気っつうか、なんつぅか…………はぁ…」
うざい…………。
「ほらっ、話してないでいくよっ!
目指すは1位っ!!!」
先頭にいた女子が指を1本立てる。
班長ってゆうだよなぁ……??
俺はチラリとゆうの方を確認する。
ゆうは、ぼ~っと歩いているだけって感じだ。
まぁ、女子が進めてくれてるからいいか。
「あっ!1個目のスタンプ押すところあった!!!」
「おわっ!ほんとだっ!行こうぜ!」
女子2人と上尾は嬉しそうに走り出した。
……青春といいますか、上尾だけにアゲアゲと言いますか…テンション高いなぁ。
ゆうは一言も話さないし。
「ここに押せばいいんだよなっ。
よいしょっと……」
上尾は綺麗に押せるようにとゆっくりスタンプを押す。
実に意外だっ。
「………ん?なんだよ、平塚っ、そんなにじっとみて…あぁっ!お前っ、スタンプ押したかったんだろぉ~??」
上尾はニヤニヤとした顔で見てくる。
うざい以外のなにものでもない。
「…………はぁ?別に…押したかったわけじゃねぇし…」
「またまたぁ~今度は一緒に押してやるよっ、俺も押したいから、一緒なっ」
上尾はニカッと笑う。
本当ににこいつ高校生なんだよな…………?
「…………はぁ…はいはい。」
そんなバカ話をしているうちに2個目のスタンプ地点に着いた。
「あっ、ほらっ!行こうぜ平塚!」
「お、おう…。」
「じゃあ、いくぞっ…」
?!?!?!?!
こっ…これは…この展開はっ…
嫉妬フラグじゃっ
上尾は後ろから俺に被さるようなかたちで、
スタンプを持つ俺の手の上に自分の手を重ねる。
「あ、上尾っ?……やっぱ、俺いいって」
「……?…まぁ、とりあえずこれは押しちゃおうぜ」
「お、おぉ……」
スタンプを押し、様子をうかがうようにゆうの顔を見る。
そして、目があった。
「…………まこ、次は俺と押そっか?」
こわいこわいっ…………
目が笑ってないいぃっ?!
けど…………これは…どっちの…
ぁぁあっもうっ!!!ダメだっそんなこと考えたって意味ないだろっ…………
また、グルグルと考えているうちに3つ目のスタンプ地点に着いた。
「……ほら、まこっ、おいで。」
雰囲気的に…断れないよなぁ~っ……
「…………う…ん。」
?!?!?!?!
こいつっ………わぁっ……
「……ゆ、ゆう……?…そんなにくっつかなくてもっ」
ナニがとは言わないがっ
こっ……腰に当たっちゃうっ……
「…………ほらっ、あんま暴れるとズレるぞ」
耳にっ……息がかかって…
や…………だ…
なんでこんなことっ……昨日の今日でっ…
もう…やだっ
「…………平塚?」
「……ぇっ……」
やばっ……こんなとこで泣い……
上尾が近寄ってきて、ゆうの肩を軽くポンっと叩く。
「安藤ぉ~何泣かしてんだよ~っ
いじめはこの上尾がっ お・し・お・き
しちゃうぞっ?☆」
上尾……。
「……あ、あぁ…ごめん。」
「いや……えっと、平気っ。」
上尾が気を使ってくれたなんて……
なんか負けた気がするけど感謝しなきゃな。
上尾と目が合って、またふざけたウィンクをされるのかと思ったら、意外に優しく微笑むから、少しドキッとてしまった。
重傷だぁぁぁぁぁあっ…どうしたっ俺?!
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