19 / 36
18.偽りのハッピーエンド
しおりを挟む上尾……アゲアゲだから上尾っていう作者の遊びキャラかと思いきや…
もしや、これはこの物語がラストに近づいている予兆じゃないのか?!
だって、もしも上尾が俺を好きだって言い出したら、流れ的に山場じゃん!んで、それ乗越えてハッピーエンド!!!……みたいな感じになりそうだ。
ふぅ…………あと少しの辛抱だっ頑張れ俺!
……って、この物語が終わったら俺達どうなるんだ?
その時点で、この世界は消滅するとかっ…
だとしたら、次の世界に転生???
いや?待てよ?もしかして俺達、実は…
死んでなかった…なんてこと
「あはっ…ないよなぁ~そんなわけ」
スタンプラリー中に遭難した俺は、
助けに来てくれた上尾と一緒に足場の悪い山道を抜ける。
「……おぉっ!ほらもうすぐ着くぞ!」
ゆう、心配してるかな。
俺の胸にあるのは申し訳ないという気持ちと…少しの期待。
「…ありがとな。上尾。」
上尾は、少し明るすぎてうざいけど、
元気を貰えたきがする。
「はぁっ……はっ…まこっ!!」
息を切らしてゆうが走ってくる。
これは、中身の武尊の表情なのか、
ゆうの表情なのか俺はまた考えてしまう。
こんな展開、絶対に物語のシーンなのに。
武尊であって欲しい。俺のことを心から見てほしい。この世界に左右されずに…俺の事
好きになって欲しかったなぁ。
「ゆう…………ごめっわっ?!」
ゆうにいきなり強く抱きつかれる。
これは…って、また同じこと考えるなっ、
くどいぞっ俺!!
「………………よかった…まこ。」
まこ……か
俺は前世の名前を教えてないから当たり前だけど、呼んで欲しかった…なんて。
「………………ゆう、心配かけてごめん。」
「……上尾、ありがとうな、まこを助けてくれて。」
ゆうっ…言っている言葉と表情があってないぞ??
「……お、おう!なんか、顔怖いぞ?お前」
嫉妬……だったらいいのに。
もういっそ、この思いを伝えてしまおうか。
伝えて、物語を終わらせて、俺もこの恋を終わらせる。
…………男となんて、とか、女の子にモテたいとか、この世界では関係なくて。
いや、ちがうな。この世界に居なくても、
俺はゆう、いや、武尊を好きになってたと思う。
「ゆう。夜また昨日のとこ来て。」
俺を抱きしめるゆうの耳元で、こっそりという。
「………………分かった。」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ゆう…………来てくれてありがとう。」
少し気まずい雰囲気。
これにも、もう慣れたようなものだ。
きっと、俺が何を言うのか気づいているんだろう。きっと、俺本人の気持ちも。
「まこ、これで…本当にいいのか。」
「何いってんだよ。お前が俺の事役としてでしか見れないとしても。そんなの、恋人のふりが出来るだけいいんだよばぁ~か。」
本当は嫌だけど。嫌だからこそ、早く終わらせなきゃ。ハッピーエンドで。
「…………悠斗、好きだよ。」
「………………そっ…か。ありがとう。
嬉しいよっ……誠。」
そんな苦しそうな顔で、嬉しいだなんて
言うなよな………………ばか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
168
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる