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38.嫌な予感

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「おはよ~沖水くん!」

「あっ…あぁ、おはよう」

俺の事を忘れているということは、
当然この学校での出来事もわすれている。
明るい性格の涙には、多くの友人がいた。
涙はその友人のことも忘れてしまっている。

「……涙。大丈夫か?」

「あ、うん。心配しないで上手くやるよ」

「そうか、何かあったらいえよ。」

もう一度好きにさせると決めておきながら、
結局こいつの為に何も出来ていない自分に嫌気がさす。

そして、俺たちの気まずい雰囲気を感じてクラスメイトがコソコソと話しはじめた。

「……ね、なんかさ高橋と沖水くん、仲悪くなった?」

「そりゃそうだろ、相手があのロボ橋じゃ沖水も離れていくだろ」

「そーだよなぁ、やっぱり。最近話すようになったとか言ってたけど、そんなすぐに人間変われるもんじゃねぇよな」

「あっ…そういえばさ、きいた?角田がさぁ」

「え?角田って誰だっけ?」

「あいつだよ、高橋いじめて沖水くんに泣かされたやつ」

「あぁ…え?で角田がどうしたの?」

「そうそう、あれが原因であいつ不登校になっただろ?久しぶりに学校来るらしいんだ」

「へぇ、あれがそんなにショックだったのか?」

「いやぁ、あいつ結構危ない暴力団だかなんだか知らないが入ってて、その話がそこにまで広まったみたいでさ」

「へぇ、あ、そういえば聞いたことある。
それで暴力団の人達に舐められて…みたいな」

「そうそう、なんか物騒だよなぁ
暴力団て、アニメとか漫画とかだけかと思ってたぜ俺、ははっ」

コソコソ話はいつの間にかコソコソではなくなっていつの間にか俺の耳に入るくらいの大きさになっていた。

「……俺がなんだって?あぁ?」

鬼の形相。そんな表現がピッタリの表情で
角田が教室にはいってくる。

そして、そんな角田が向かった先は
コソコソと話していた連中の所ではなく
涙のところだった。

(やっぱり、そんな嫌な予感はしていたんだ。)

「……沖水くん?だっけ、長い間学校休んじまったから忘れちゃったよ。」

「…………えぇと、僕もだよ。君、誰だっけ?」

(おいおい、涙そんな挑発するような名前の聞きかたっ……まぁ、分からなくもないけどなぁ、本当に忘れてるんだし。)

「っ……はははっ…角田賢司だよ…」

「……あぁ、そかそか、ごめんね、賢司くん。久しぶりだねっ」

「あぁ、そうだ。放課後暇?
久しぶりに一緒に遊びたいんだけど。」

「え?あぁ、いいよ、どこにする?」

「とりあえず、ブラブラしようぜ」

「そうだね!分かった!」

クラスメイトが話していた話の内容からするに……これは絶対にヤバイやつだっ!!



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