13 / 17
結びあう気持ち
しおりを挟む
部活動を終えたあと、残っていた仕事をキリのいいところでやめる。
帰り際に林田から期待するような目で見られ、
「まずは一人で会いに行ってくる」
本人に直接話してくるという。
「わかりました。楽しみにしてます」
「あぁ。それじゃお先に」
「はい。お疲れ様です」
ポンと林田の頭の上に手を置いてから職場を離れた。
学校からだと店へ向かう方が早い。本当は風呂に入って着替えたかったが時間がおしい。
浅木の店へは駅からそう遠くない。
店の扉を開くとエル型になっているカウンターの右、浅木はそこに立っているハズなのだが姿がない。
今日は休みだったのか。それを訊ねようとしたところに、
「先生、奥にいるよ」
と声がする。いつもはすぐに埋まってしまう席の一つ。こちらに手を振る金髪の男の姿がある。
「なんだ、休みだったのか?」
「久しぶりに先生から連絡をもらったから、兄弟子に店のことをお願いしたんだ」
ほりの深い、そして色気のある男だ。背丈は浅木と同じくらいだから一八〇センチは超えているだろう。
「兄弟子の森岡です」
首を少し傾けて笑みを浮かべる。女性なら高い確率で落ちているかもしれない。
「桧山です」
「京から聞いてますよ。京、店のことは任せておけ」
「ありがとう。先生、行こうか」
「わかった」
浅木に手を引かれて住居スペースのある二階へと向かった。
座ってくれと言われ、腕が離れる。桧山は素直にソファーに腰を下ろした。
「大和君は」
「菫が迎えに来たからいない」
「そうか」
浅木の姉の名前だろう。だからその名を聞いても平気だ。
「大和が先生に会いに行ったんだってな」
「あぁ」
「俺だって会いたいのを我慢してたのに」
拗ねたように唇をとがらせ、桧山の肩へと頭をのせる。
「すぐに会いに行ったら逃げると思って」
「君に合わせる顔がないからな」
やらかしてしまった後なのだから。
「まぁ、子供みたいに駄々をこねてたし」
年上の、しかも歳の離れた男が子供みたいに駄々をこねるとか痛すぎる。
「会いに来るべきじゃなかった」
じわじわと恥ずかしさがこみあげてくる。
立ち上がって玄関の方へ向かおうとすると腕をつかまれ引きとめられた。
「ごめんっ、嫌味を言いたいわけじゃなくて!」
羞恥心から出た言葉だったが、浅木は桧山が怒ったと勘違いしているようなので訂正しないでおく。
「もう言わないでくれるか?」
「言わない。本当に会いたかったんだ」
そろりと浅木の方へと顔を向ければ目と唇が触れそうなくらいに近い。
驚くのと同時に唇をふさがれ、開いた口には遠慮なしに彼の下が入り込む。
「んー、んんっ」
やめろと言いたいのに、出てくる音はくちゅっと厭らしいものだった。
「あ、や、んふ」
口内をかき回されて、このキスに応えろと煽りだす。
桧山は経験値が乏しい男なのだ。欲を含んだ熱に簡単に溶かされてしまう。
「ふっ……」
大人になりかけのまだ幼さの残る浅木の姿から今の姿へ。その間を見ることができなかったのは残念だ。
「はぁ、先生からいいにおいがするしさぁ、その表情もたまらねぇよ」
ぬれた桧山の唇を浅木の指が拭う。
欲を隠そうともせず獲物を狙う、野性味あふれた男の目にゾクゾクと体が震えた。
「どういう顔をしているのかわからない」
彼の胸を手で押しやって視線を外すが、ぺろりと唇を舐められて再び視線が合う。
「よさないか」
「先生が視線を外すから」
俺を見てほしい。そう囁いて両手で頬を挟む。
「こら」
「先生とキスをしたとき、ずっとこうしたかったって、胸が熱くなったんだ」
「京っ」
思わず名前呼びしてしまった。まずいと手で口元を覆うが浅木はにやりと笑う。
帰り際に林田から期待するような目で見られ、
「まずは一人で会いに行ってくる」
本人に直接話してくるという。
「わかりました。楽しみにしてます」
「あぁ。それじゃお先に」
「はい。お疲れ様です」
ポンと林田の頭の上に手を置いてから職場を離れた。
学校からだと店へ向かう方が早い。本当は風呂に入って着替えたかったが時間がおしい。
浅木の店へは駅からそう遠くない。
店の扉を開くとエル型になっているカウンターの右、浅木はそこに立っているハズなのだが姿がない。
今日は休みだったのか。それを訊ねようとしたところに、
「先生、奥にいるよ」
と声がする。いつもはすぐに埋まってしまう席の一つ。こちらに手を振る金髪の男の姿がある。
「なんだ、休みだったのか?」
「久しぶりに先生から連絡をもらったから、兄弟子に店のことをお願いしたんだ」
ほりの深い、そして色気のある男だ。背丈は浅木と同じくらいだから一八〇センチは超えているだろう。
「兄弟子の森岡です」
首を少し傾けて笑みを浮かべる。女性なら高い確率で落ちているかもしれない。
「桧山です」
「京から聞いてますよ。京、店のことは任せておけ」
「ありがとう。先生、行こうか」
「わかった」
浅木に手を引かれて住居スペースのある二階へと向かった。
座ってくれと言われ、腕が離れる。桧山は素直にソファーに腰を下ろした。
「大和君は」
「菫が迎えに来たからいない」
「そうか」
浅木の姉の名前だろう。だからその名を聞いても平気だ。
「大和が先生に会いに行ったんだってな」
「あぁ」
「俺だって会いたいのを我慢してたのに」
拗ねたように唇をとがらせ、桧山の肩へと頭をのせる。
「すぐに会いに行ったら逃げると思って」
「君に合わせる顔がないからな」
やらかしてしまった後なのだから。
「まぁ、子供みたいに駄々をこねてたし」
年上の、しかも歳の離れた男が子供みたいに駄々をこねるとか痛すぎる。
「会いに来るべきじゃなかった」
じわじわと恥ずかしさがこみあげてくる。
立ち上がって玄関の方へ向かおうとすると腕をつかまれ引きとめられた。
「ごめんっ、嫌味を言いたいわけじゃなくて!」
羞恥心から出た言葉だったが、浅木は桧山が怒ったと勘違いしているようなので訂正しないでおく。
「もう言わないでくれるか?」
「言わない。本当に会いたかったんだ」
そろりと浅木の方へと顔を向ければ目と唇が触れそうなくらいに近い。
驚くのと同時に唇をふさがれ、開いた口には遠慮なしに彼の下が入り込む。
「んー、んんっ」
やめろと言いたいのに、出てくる音はくちゅっと厭らしいものだった。
「あ、や、んふ」
口内をかき回されて、このキスに応えろと煽りだす。
桧山は経験値が乏しい男なのだ。欲を含んだ熱に簡単に溶かされてしまう。
「ふっ……」
大人になりかけのまだ幼さの残る浅木の姿から今の姿へ。その間を見ることができなかったのは残念だ。
「はぁ、先生からいいにおいがするしさぁ、その表情もたまらねぇよ」
ぬれた桧山の唇を浅木の指が拭う。
欲を隠そうともせず獲物を狙う、野性味あふれた男の目にゾクゾクと体が震えた。
「どういう顔をしているのかわからない」
彼の胸を手で押しやって視線を外すが、ぺろりと唇を舐められて再び視線が合う。
「よさないか」
「先生が視線を外すから」
俺を見てほしい。そう囁いて両手で頬を挟む。
「こら」
「先生とキスをしたとき、ずっとこうしたかったって、胸が熱くなったんだ」
「京っ」
思わず名前呼びしてしまった。まずいと手で口元を覆うが浅木はにやりと笑う。
0
あなたにおすすめの小説
【第一部完結】カフェと雪の女王と、多分、恋の話
凍星
BL
親の店を継ぎ、運河沿いのカフェで見習店長をつとめる高槻泉水には、人に言えない悩みがあった。
誰かを好きになっても、踏み込んだ関係になれない。つまり、SEXが苦手で体の関係にまで進めないこと。
それは過去の手酷い失恋によるものなのだが、それをどうしたら解消できるのか分からなくて……
呪いのような心の傷と、二人の男性との出会い。自分を変えたい泉水の葛藤と、彼を好きになった年下ホスト蓮のもだもだした両片想いの物語。BLです。
「*」マーク付きの話は、性的描写ありです。閲覧にご注意ください。
この胸の高鳴りは・・・
暁エネル
BL
電車に乗りいつも通り大学へと向かう途中 気になる人と出会う男性なのか女性なのかわからないまま 電車を降りその人をなぜか追いかけてしまった 初めての出来事に驚き その人に声をかけ自分のした事に 優しく笑うその人に今まで経験した事のない感情が・・・
夢の続きの話をしよう
木原あざみ
BL
歯止めのきかなくなる前に離れようと思った。
隣になんていたくないと思った。
**
サッカー選手×大学生。すれ違い過多の両方向片思いなお話です。他サイトにて完結済みの作品を転載しています。本編総文字数25万字強。
表紙は同人誌にした際に木久劇美和さまに描いていただいたものを使用しています(※こちらに載せている本文は同人誌用に改稿する前のものになります)。
記憶喪失のふりをしたら後輩が恋人を名乗り出た
キトー
BL
【BLです】
「俺と秋さんは恋人同士です!」「そうなの!?」
無気力でめんどくさがり屋な大学生、露田秋は交通事故に遭い一時的に記憶喪失になったがすぐに記憶を取り戻す。
そんな最中、大学の後輩である天杉夏から見舞いに来ると連絡があり、秋はほんの悪戯心で夏に記憶喪失のふりを続けたら、突然夏が手を握り「俺と秋さんは恋人同士です」と言ってきた。
もちろんそんな事実は無く、何の冗談だと啞然としている間にあれよあれよと話が進められてしまう。
記憶喪失が嘘だと明かすタイミングを逃してしまった秋は、流れ流され夏と同棲まで始めてしまうが案外夏との恋人生活は居心地が良い。
一方では、夏も秋を騙している罪悪感を抱えて悩むものの、一度手に入れた大切な人を手放す気はなくてあの手この手で秋を甘やかす。
あまり深く考えずにまぁ良いかと騙され続ける受けと、騙している事に罪悪感を持ちながらも必死に受けを繋ぎ止めようとする攻めのコメディ寄りの話です。
【主人公にだけ甘い後輩✕無気力な流され大学生】
反応いただけるととても喜びます!誤字報告もありがたいです。
ノベルアップ+、小説家になろうにも掲載中。
シスルの花束を
碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年
~人物紹介~
○氷室 三門(ひむろ みかど)
・攻め(主人公)
・23歳、身長178cm
・モデル
・俺様な性格、短気
・訳あって、雨月の所に転がり込んだ
○寒河江 雨月(さがえ うげつ)
・受け
・26歳、身長170cm
・常に無表情で、人形のように顔が整っている
・童顔
※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。
※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。
※基本、三門視点で進みます。
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
最愛はすぐ側に
なめめ
BL
※【憧れはすぐ側に】の続編のため先に下記作品を読むことをおすすめ致します。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/573023887/670501303
〇あらすじ〇
律仁さんとの甘いひとときが瞬く間に過ぎていく中、渉太も遂に大学4年目を迎えた。就活も大手企業に内定をもらい、後は卒業を待つところで、以前律仁さんと大樹先輩と尚弥とでキャンプに行ったときの出来事を思い出していた。それは律仁さんと二人きりで湖畔を歩いているときに海外を拠点に仕事をしたいと夢を抱いていること、それに伴って一緒に暮らしてほしいことを彼から告げられていたことだった。
律仁さんと交際を始めて一年の記念日。返事を返さなければならない渉太だったが酷く気持ちを揺らがせていた……。
そんな中、那月星杏と名乗る元サークルの後輩をとあるきっかけで助けたことで懐かれ……彼女もまた兄が那月遼人という律の後輩で…。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる