11 / 25
刺繍対決!(アレッタ) 1
しおりを挟む
姉妹で同じ図案を刺繍してその出来栄えも考慮し婚約者を選ぶ。
セルジュが辺境伯へ降下した後、刺繍工房を作りそこを任せたいからということだった。
だから絶対に勝ちたい。彼の隣に立つのは自分なのだから。
刺繍はヴェルネルがすることになるだろう。レナーテに頼まれても断れと言ったところで無理な話。
それなら仕上がった刺繍をどうにかすればいいだけだ。
きっと向こうも同じことを考えている。アレッタをまねることしかできない無能なのだから。
図案を渡して十日。アレッタ付きの侍女であるララの話ではレナーテの侍女も出来上がった刺繍を取りに来ていたそうだ。
「頼んでいたものはできているの?」
「はい」
ララから受け取ったのは渡された図案を刺繍したもの。アレッタ専用の侍女に刺繍をさせたのだが、一番まともにできたのがこれなのだが、比べてしまうとどうにも劣る。
「やはりアレはいい腕をしているわね」
セルジュと婚姻をすると決まったらデニスにヴェルネルを貰うこととしよう。彼にはこの先もアレッタのために働いてもらわなければならない。
「ふふ、後は当日にこれと交換すればいいわね」
露骨すぎては騒がれてしまうがこれくらいならパッと見ただけなら誤魔化せるだろう。
提出する前にはよく見るかもしれないが、そこで騒ぎ立ててもどうすることもできない。
さすがに刺繍をするのが早いヴェルネルであっても繍い直しは間に合わないだろうから。
「余計な横やりが入ったけれど、ようやく本来の通りになるわね」
刺繍をキレイに折りたたんで箱に入れる。各自、提出日まで保管することになっていた。
アレッタがレナーテにするようにその逆もあり得る。だから何も起きぬようにとララに命じておいた。
レナーテ専用の侍女を一人手の内に引きずり込んだ。たしかレアといったか。幼い兄弟がいるらしく報酬をちらつかせたら何でもやるというのだ、あとは期待に応えられるかどうかだ。
そして、レアはうまくやりとげた。
箱のふたを開けて中身を確認する。間違いなくヴェルネルが刺繍したものであった。これを隠しておくように命じておく。
しかもレナーテはアレッタと同じことを考えていたようで、何度か彼女の侍女を見かけたけれど、すり替える隙を与えなかった。
そして課題の提出日となった。
姉妹は王室が用意した馬車に個別で向かうこととなる。それはセルジュの心遣いであった。
とてもありがたいことだ。行き場所は同じだが一緒の馬車には乗りたくないから。
それでなくても愉快なのにレナーテを前に笑いを耐えることが辛いから。
「ふふ、あははは、これで今度こそ私が婚約者よ」
すり替えが失敗したことを悔しがっていることだろう。しかもこちらは成功している。
レナーテの箱の中身はヴェルネルが刺繍したものだと思っているだろうから出来栄えは同じ。うまく言いくるめた方の勝ちとなると、話すことを考えていることだろう。全て無意味なのに。
セルジュが辺境伯へ降下した後、刺繍工房を作りそこを任せたいからということだった。
だから絶対に勝ちたい。彼の隣に立つのは自分なのだから。
刺繍はヴェルネルがすることになるだろう。レナーテに頼まれても断れと言ったところで無理な話。
それなら仕上がった刺繍をどうにかすればいいだけだ。
きっと向こうも同じことを考えている。アレッタをまねることしかできない無能なのだから。
図案を渡して十日。アレッタ付きの侍女であるララの話ではレナーテの侍女も出来上がった刺繍を取りに来ていたそうだ。
「頼んでいたものはできているの?」
「はい」
ララから受け取ったのは渡された図案を刺繍したもの。アレッタ専用の侍女に刺繍をさせたのだが、一番まともにできたのがこれなのだが、比べてしまうとどうにも劣る。
「やはりアレはいい腕をしているわね」
セルジュと婚姻をすると決まったらデニスにヴェルネルを貰うこととしよう。彼にはこの先もアレッタのために働いてもらわなければならない。
「ふふ、後は当日にこれと交換すればいいわね」
露骨すぎては騒がれてしまうがこれくらいならパッと見ただけなら誤魔化せるだろう。
提出する前にはよく見るかもしれないが、そこで騒ぎ立ててもどうすることもできない。
さすがに刺繍をするのが早いヴェルネルであっても繍い直しは間に合わないだろうから。
「余計な横やりが入ったけれど、ようやく本来の通りになるわね」
刺繍をキレイに折りたたんで箱に入れる。各自、提出日まで保管することになっていた。
アレッタがレナーテにするようにその逆もあり得る。だから何も起きぬようにとララに命じておいた。
レナーテ専用の侍女を一人手の内に引きずり込んだ。たしかレアといったか。幼い兄弟がいるらしく報酬をちらつかせたら何でもやるというのだ、あとは期待に応えられるかどうかだ。
そして、レアはうまくやりとげた。
箱のふたを開けて中身を確認する。間違いなくヴェルネルが刺繍したものであった。これを隠しておくように命じておく。
しかもレナーテはアレッタと同じことを考えていたようで、何度か彼女の侍女を見かけたけれど、すり替える隙を与えなかった。
そして課題の提出日となった。
姉妹は王室が用意した馬車に個別で向かうこととなる。それはセルジュの心遣いであった。
とてもありがたいことだ。行き場所は同じだが一緒の馬車には乗りたくないから。
それでなくても愉快なのにレナーテを前に笑いを耐えることが辛いから。
「ふふ、あははは、これで今度こそ私が婚約者よ」
すり替えが失敗したことを悔しがっていることだろう。しかもこちらは成功している。
レナーテの箱の中身はヴェルネルが刺繍したものだと思っているだろうから出来栄えは同じ。うまく言いくるめた方の勝ちとなると、話すことを考えていることだろう。全て無意味なのに。
0
あなたにおすすめの小説
氷の薔薇は砕け散る
柊
ファンタジー
『氷の薔薇』と呼ばれる公爵令嬢シルビア・メイソン。
彼女の人生は順風満帆といえた。
しかしルキシュ王立学園最終年最終学期に王宮に呼び出され……。
※小説になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします
柊
ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。
マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。
それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。
※複数のサイトに投稿しております。
【完結】ロザリンダ嬢の憂鬱~手紙も来ない 婚約者 vs シスコン 熾烈な争い
buchi
恋愛
後ろ盾となる両親の死後、婚約者が冷たい……ロザリンダは婚約者の王太子殿下フィリップの変容に悩んでいた。手紙もプレゼントも来ない上、夜会に出れば、他の令嬢たちに取り囲まれている。弟からはもう、婚約など止めてはどうかと助言され……
視点が話ごとに変わります。タイトルに誰の視点なのか入っています(入ってない場合もある)。話ごとの文字数が違うのは、場面が変わるから(言い訳)
悪役(っぽい)令嬢、婚約破棄され(そうにな)る
ひぽたま
ファンタジー
悪役(っぽい)巻き毛の公爵令嬢、マルガリータはある日突然、婚約者たる王子に告げられた。
「マルガリータ令嬢、そなたとの婚約を破棄する!」
聞けば王子は病に侵された際、心を込めて看病してくれた平民出身の令嬢にほだされたのだという。
それはそれでいたしかたないが、マルガリータには質さなければならない事情があってーー。
(pixivに先に掲載したものです)
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる