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リュンと店(2)
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ピトルが持ってきてくれた本を夢中で読んでいた。部屋の隅で丸くなっていなくて良かった。
「リュン、おうちに帰るよ」
「うん」
本は置く場所がまだないのでテーブルの上にそのまま置いておく。
「リュン、これを着て」
フード付きの上着を手渡し、かわりにうさぎを受け取る。
「きたよ」
と着終えた姿を見せるリュンにうさぎを返すと、
「おんなじ!!」
とうさぎを持ち上げて目をキラキラとさせた。
同じ服を作ったのはリュンに喜んでもらいたいたかったから。その狙いはどうやらうまくいったようだ。
「これからはお外に行くときはこれを着て行こうね」
「うん、いっしょのきてくの」
ピトルが持ってきてくれたルキンスの本。あれがヒントになった。リュンの中にある楽しいを引き出すことで怖いという気持ちが薄れることを。
手をつないで外へでると、
「よかった。間に合った」
と声をがして、制服姿のセドリックの姿がある。
「え、セド、どうしたの!?」
「早く上がれたから迎えに来たんだ」
そういうけれど、本当は心配で早めに切り上げてきたのではないだろうか。
「リュン、イイ子にしていたか」
リュンを抱き上げると、
「セド、見て、おそろいなの」
うさぎを見せるように差し出した。
「よかったな」
「うん!」
ぎゅっと首に腕を回して頬を摺り寄せるリュンに、くすぐったいとセドリックが笑う。
その姿があまりにも愛おしくて胸が高鳴る。
「さ、帰ろう」
セドリックが手を差し伸べる。
「え?」
躊躇うブレーズに、口角を上げちらりと牙が見える。
「手、つなぎたい」
今一度差し出されてその手をつかみ取った。
「よし、帰るぞ」
「うん」
足が地につかない。それだけ気持ちが舞い上がっている。
にゃん、にゃにゃん。
リズムがついていてまるで鼻歌のようだとセドリックを見上げれば、こちらに気が付き目を細めた。
「独りモンだからさ、こういうのを一度は味わってみたと思っていた」
家族に対するあこがれ。
それは恋愛対象が異性なら普通に抱くものだろう。だが、ブレーズは同性であり別種族の者に恋をしてからは持たなくなったものだ。
そう、セドリックはこれから先、いくらでも家庭を持てるのだ。
ふわふわとしていた気持ちはすっかり元通り。繋いでいた手を離した。
「あ……」
「買い物をしたいから先に帰っていて」
「それなら一緒に」
「だめ。お店はもう少し慣れてきてから」
リュンのことを言っているのだと気がついたようで、
「わかった。先に帰るな」
ぽんと頭に手を乗せ、家の方角へと歩いて行った。
その姿を見送りながらセドリックが触れた個所へと触れる。
本当は一緒に帰りたかった。だけど友達でしかない相手と家族ごっこをしても空しいだけだ。
「いつかそういう相手ができるよ」
セドリックは優しい男だ。しかも家柄も良く騎士団長でもあるのだから。
落ち込みながら商店街へと歩いていけば、そこにゾフィードとドニの姿を見つけた。
「ドニ」
「ブレーズ。あれ、一人なの?」
何かを気にしている様子のドニに、ゾフィードが、
「団長が子供を預かっていることを話した」
という。一緒にいると思ったのだろう。ドニのことだからずっと気になっていたにちがいない。
「セドリックと先に帰った」
「そうなんだ。本当はね、店を休んで会いに行こうと思ったんだけど、ゾフィードがいきなりはダメだっていうんだよ」
「あたりまえだ。こんな変態にいきなり会わせたら怖がらせてしまうだろう」
リュンの事情を知っているから止めてくれたのだろう。
だがオイルのこともあるので会わせたいとは思っているのだが、それはセドリックに相談してからだ。
「ううっ、わかった。いつか会えるのを楽しみに待ってる。それじゃ、またね」
「またね」
仲良く手をつなぎふたりは歩いていく。しかもそろいの宝石を身に着けていて、それが羨ましくて嫉妬から胸がもやもやとしてしまう。
「はぁ、友達の幸せにこんな気持ちになるなんて」
そんな自分が好きではなく、でも気持ちが重苦しいのは当分とれそうにもなかった。
「リュン、おうちに帰るよ」
「うん」
本は置く場所がまだないのでテーブルの上にそのまま置いておく。
「リュン、これを着て」
フード付きの上着を手渡し、かわりにうさぎを受け取る。
「きたよ」
と着終えた姿を見せるリュンにうさぎを返すと、
「おんなじ!!」
とうさぎを持ち上げて目をキラキラとさせた。
同じ服を作ったのはリュンに喜んでもらいたいたかったから。その狙いはどうやらうまくいったようだ。
「これからはお外に行くときはこれを着て行こうね」
「うん、いっしょのきてくの」
ピトルが持ってきてくれたルキンスの本。あれがヒントになった。リュンの中にある楽しいを引き出すことで怖いという気持ちが薄れることを。
手をつないで外へでると、
「よかった。間に合った」
と声をがして、制服姿のセドリックの姿がある。
「え、セド、どうしたの!?」
「早く上がれたから迎えに来たんだ」
そういうけれど、本当は心配で早めに切り上げてきたのではないだろうか。
「リュン、イイ子にしていたか」
リュンを抱き上げると、
「セド、見て、おそろいなの」
うさぎを見せるように差し出した。
「よかったな」
「うん!」
ぎゅっと首に腕を回して頬を摺り寄せるリュンに、くすぐったいとセドリックが笑う。
その姿があまりにも愛おしくて胸が高鳴る。
「さ、帰ろう」
セドリックが手を差し伸べる。
「え?」
躊躇うブレーズに、口角を上げちらりと牙が見える。
「手、つなぎたい」
今一度差し出されてその手をつかみ取った。
「よし、帰るぞ」
「うん」
足が地につかない。それだけ気持ちが舞い上がっている。
にゃん、にゃにゃん。
リズムがついていてまるで鼻歌のようだとセドリックを見上げれば、こちらに気が付き目を細めた。
「独りモンだからさ、こういうのを一度は味わってみたと思っていた」
家族に対するあこがれ。
それは恋愛対象が異性なら普通に抱くものだろう。だが、ブレーズは同性であり別種族の者に恋をしてからは持たなくなったものだ。
そう、セドリックはこれから先、いくらでも家庭を持てるのだ。
ふわふわとしていた気持ちはすっかり元通り。繋いでいた手を離した。
「あ……」
「買い物をしたいから先に帰っていて」
「それなら一緒に」
「だめ。お店はもう少し慣れてきてから」
リュンのことを言っているのだと気がついたようで、
「わかった。先に帰るな」
ぽんと頭に手を乗せ、家の方角へと歩いて行った。
その姿を見送りながらセドリックが触れた個所へと触れる。
本当は一緒に帰りたかった。だけど友達でしかない相手と家族ごっこをしても空しいだけだ。
「いつかそういう相手ができるよ」
セドリックは優しい男だ。しかも家柄も良く騎士団長でもあるのだから。
落ち込みながら商店街へと歩いていけば、そこにゾフィードとドニの姿を見つけた。
「ドニ」
「ブレーズ。あれ、一人なの?」
何かを気にしている様子のドニに、ゾフィードが、
「団長が子供を預かっていることを話した」
という。一緒にいると思ったのだろう。ドニのことだからずっと気になっていたにちがいない。
「セドリックと先に帰った」
「そうなんだ。本当はね、店を休んで会いに行こうと思ったんだけど、ゾフィードがいきなりはダメだっていうんだよ」
「あたりまえだ。こんな変態にいきなり会わせたら怖がらせてしまうだろう」
リュンの事情を知っているから止めてくれたのだろう。
だがオイルのこともあるので会わせたいとは思っているのだが、それはセドリックに相談してからだ。
「ううっ、わかった。いつか会えるのを楽しみに待ってる。それじゃ、またね」
「またね」
仲良く手をつなぎふたりは歩いていく。しかもそろいの宝石を身に着けていて、それが羨ましくて嫉妬から胸がもやもやとしてしまう。
「はぁ、友達の幸せにこんな気持ちになるなんて」
そんな自分が好きではなく、でも気持ちが重苦しいのは当分とれそうにもなかった。
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