18 / 59
年下ワンコはご主人様が好き
8・波多
しおりを挟む
キッチンを借りることにしたのは、久世に料理を教えがてら三木本の恋の手伝いができそうだと思ったからだ。
まだ久世が波多の所に居候をしていた頃、二度目の失恋を味わったと言い、恋人として傍に居られなくても、仕事の面では傍に居てサポートし続けたいという。
しかも八潮の体調を心配するあまり、料理をしやすいキッチンへとリフォームし、料理を必死で覚えた。
それなのに相手にその腕を振るったことはなく、今回の料理教室は胃袋を掴むチャンスだというと三木本は話にのってきた。
波多は用事があり昼は外に出てしまうので、三木本には昼休みに八潮をと久世を誘い、そこで料理教室のことを話すように言い、羨ましそうな素振りをみせたら誘うんだぞと話しておいた。
そして波多は久しぶりに喫茶店へと来ていた。癒されたいのとお願いがあってだ。
「いらしゃい」
笑顔の彼に肩の力が抜ける。
ほっこりとした気持ちになりながらカウンターの席へと座った。
「やっぱりここは落ち着きます」
「そう言っていただけて嬉しいです」
江藤に珈琲を頼み、作業する姿を眺めていると、暫くしてよい香りと共に目の前に珈琲が置かれる。
「頂きます」
珈琲を一口飲むと、ホッと落ち着いた気持ちになる。
「そういえば、八潮さんって常連なんだそうですね」
「はい。お知り合いなんですか?」
「同じ課の上司なんですよ」
「そうだったんですね。俺の祖父が店主だったころから通ってくださっているんですよ」
「で、八潮さんに聞いたのですが、江藤さんの手作りのクッキーが美味しかったって。あの、俺に教えて貰えないでしょうか?」
自分が甘い物が苦手なので菓子を作ることなど考えたこともなかった。
頑張ったらご褒美をあげる。そうすれば上達が早くなるのではと思ったのだ。
江藤は一瞬、何か考えるようなしぐさを見せ、
「八潮さんに作ってあげるのですか?」
と尋ねられる。
「いえ。八潮さんではなく、この前、俺と一緒にいた犬みたいな奴、覚えていますか?」
「甘党の方ですよね」
「そうです。アイツ用です」
料理を教えることになった事と、お菓子は褒美としてあげるつもりだと話せば、成程と江藤が頷く。
「わかりました。俺で良ければお教えしますよ」
「ありがとうございます。早速で申し訳ないのですが、今日って大丈夫でしょうか?」
「はい。俺の方は何時でも大丈夫なので」
「ありがとうございます。では、連絡先を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「わかりました」
それから互いの連絡先を交換し、宜しくお願いしますと頭を下げた。
「実はですね、どうしようかって、一瞬迷ったんですよ」
と、波多が自分とお仲間だという事に気が付き、自分とどうこうなりたいのではないかと思っていたという。
「はい。以前の俺は、そういう下心がありました」
素直にそう告白し、
「でも、ずっと前に江藤さんには好きな人が居るって気がついちゃって、あきらめました」
この前見た彼の特徴を言えば、見られていたんですねと、江藤は両手で顔を隠した。
「江藤さんと友達として仲良くできたらいいなって思ってます。だって貴方は俺の癒しですから」
そういってニッと笑えば、
「そう言って頂けて嬉しいです。俺も波多さんと仲良く出来たら嬉しいです」
と、江藤はカウンター越しから手を伸ばし、波多の手に触れた。
「じゃぁ、敬語で話すことをやめるところからはじめようか」
「そうだね」
と互いに顔を見合わせて、一緒に笑いあった。
まだ久世が波多の所に居候をしていた頃、二度目の失恋を味わったと言い、恋人として傍に居られなくても、仕事の面では傍に居てサポートし続けたいという。
しかも八潮の体調を心配するあまり、料理をしやすいキッチンへとリフォームし、料理を必死で覚えた。
それなのに相手にその腕を振るったことはなく、今回の料理教室は胃袋を掴むチャンスだというと三木本は話にのってきた。
波多は用事があり昼は外に出てしまうので、三木本には昼休みに八潮をと久世を誘い、そこで料理教室のことを話すように言い、羨ましそうな素振りをみせたら誘うんだぞと話しておいた。
そして波多は久しぶりに喫茶店へと来ていた。癒されたいのとお願いがあってだ。
「いらしゃい」
笑顔の彼に肩の力が抜ける。
ほっこりとした気持ちになりながらカウンターの席へと座った。
「やっぱりここは落ち着きます」
「そう言っていただけて嬉しいです」
江藤に珈琲を頼み、作業する姿を眺めていると、暫くしてよい香りと共に目の前に珈琲が置かれる。
「頂きます」
珈琲を一口飲むと、ホッと落ち着いた気持ちになる。
「そういえば、八潮さんって常連なんだそうですね」
「はい。お知り合いなんですか?」
「同じ課の上司なんですよ」
「そうだったんですね。俺の祖父が店主だったころから通ってくださっているんですよ」
「で、八潮さんに聞いたのですが、江藤さんの手作りのクッキーが美味しかったって。あの、俺に教えて貰えないでしょうか?」
自分が甘い物が苦手なので菓子を作ることなど考えたこともなかった。
頑張ったらご褒美をあげる。そうすれば上達が早くなるのではと思ったのだ。
江藤は一瞬、何か考えるようなしぐさを見せ、
「八潮さんに作ってあげるのですか?」
と尋ねられる。
「いえ。八潮さんではなく、この前、俺と一緒にいた犬みたいな奴、覚えていますか?」
「甘党の方ですよね」
「そうです。アイツ用です」
料理を教えることになった事と、お菓子は褒美としてあげるつもりだと話せば、成程と江藤が頷く。
「わかりました。俺で良ければお教えしますよ」
「ありがとうございます。早速で申し訳ないのですが、今日って大丈夫でしょうか?」
「はい。俺の方は何時でも大丈夫なので」
「ありがとうございます。では、連絡先を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「わかりました」
それから互いの連絡先を交換し、宜しくお願いしますと頭を下げた。
「実はですね、どうしようかって、一瞬迷ったんですよ」
と、波多が自分とお仲間だという事に気が付き、自分とどうこうなりたいのではないかと思っていたという。
「はい。以前の俺は、そういう下心がありました」
素直にそう告白し、
「でも、ずっと前に江藤さんには好きな人が居るって気がついちゃって、あきらめました」
この前見た彼の特徴を言えば、見られていたんですねと、江藤は両手で顔を隠した。
「江藤さんと友達として仲良くできたらいいなって思ってます。だって貴方は俺の癒しですから」
そういってニッと笑えば、
「そう言って頂けて嬉しいです。俺も波多さんと仲良く出来たら嬉しいです」
と、江藤はカウンター越しから手を伸ばし、波多の手に触れた。
「じゃぁ、敬語で話すことをやめるところからはじめようか」
「そうだね」
と互いに顔を見合わせて、一緒に笑いあった。
10
あなたにおすすめの小説
有能課長のあり得ない秘密
みなみ ゆうき
BL
地方の支社から本社の有能課長のプロジェクトチームに配属された男は、ある日ミーティングルームで課長のとんでもない姿を目撃してしまう。
しかもそれを見てしまったことが課長にバレて、何故か男のほうが弱味を握られたかのようにいいなりになるはめに……。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる