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内緒の遊園地
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「もう!」
「ほら。美空さんも隣並んで」
美空の怒りを見事にスルーし、紫雲はスマホを目の前にかざした。
「全く……」
仕方なく言われた通り美空が翔の隣にしゃがむとすぐに、紫雲のカウントダウンが始まった。
「三……二……。待って」
「へ?」
「やっぱ、俺も入る」
言うなり紫雲は翔の隣にしゃがみ込んだ。
「翔。ここ見てろよ」
紫雲がスマホの画面を見せると、そこに映る自分の姿に、「しょうたん!」翔が嬉しそうに指をさした。
「うーん。この位置だとアライグマが入んないなぁ……」
微妙に位置をずらしていると、「撮りましょうか?」近くで男性の声がした。
「あなた撮れるの?」
「スマホくらい俺にだって使えるさ」
夫婦らしき年配の二人が、小さな声で揉めている。
「あの……。お願いしてもいいですか?」
すっと立ち上がると、紫雲は男性にスマホを渡した。
「よし。任せなさい」
男性は張り切ってスマホを構えると、「もっと左だな」右手をクイクイ動かし指示を出した。
「ああ、そこそこ。パパさん、もっとくっついて」
「パ、パパじゃ……」
慌てて訂正しようとする美空を制し、「はぁい!」紫雲がグッと顔を近づけた。
「いいね。にっこり笑って」
頬がくっつきそうな程近くに紫雲を感じ、美空は思わず息を呑んだ。翔の肩に当てた手が、僅かに震える。
「ママさん、リラックス」
男性が笑顔で声を掛けた。
美空が無理やり口角を上げた時、「みーたん、リラックスして」紫雲がそっと、美空の両手を包み込んだ。
声も出せずに隣を向いた美空の視界いっぱいに、紫雲の切れ長の大きな瞳が映った。
ねっ、と顔をくしゃくしゃにして笑う紫雲に、美空の心臓は今まで感じたこともないくらいの速さで脈を打つ。
「ほら、笑って」
二人が声のする方に顔を向けると同時に、「はい、チーズ」シャッターの切れる音がした。
「若いっていいなぁ。初々しい」
にこやかにスマホを返す男性に、「ありがとうございました」紫雲が丁寧に礼を言った。それを見て、慌てて美空も頭を下げた。
「それじゃ、お幸せに」
「あなたったら、余計なお世話よ」
二人は軽くお辞儀をすると、仲睦まじく歩いて行った。
「やっぱ親子に見えるのかぁ」
撮ってもらったばかりの画像を確認し、紫雲が独り言のように呟いた。
未だ残る紫雲の熱を両手に感じながら、「なんかごめんね」美空は困った顔で眉をひそめた。
「なんで謝んの?」
「だって……」
「別にいいじゃん」
「でも……」
「嫌なの?」
「嫌って言うより、申し訳ないよ。紫雲君まだ高校生なのに……」
「なぁんだ。そんなことか」
にっこり笑うと、紫雲は翔の頭に手を当てた。
「俺は別に気にしないよ。翔可愛いし」
「そういう問題じゃ……」
「俺がいいって言ってんだからいいじゃん。なぁ? 翔」
紫雲に頭をくしゃりと撫でられ、翔も「うん!」と笑顔で答えた。
「面白いじゃん。一日限定親子」
「面白いって……」
呆れ顔の美空をよそに、紫雲は翔の手を取ると、「行こうぜ」と仲良く歩き出した。
「ちょっとまっ……」
「みーたんも、手、繋ぐ?」
振り向きざまに、紫雲が右手を差し出した。
「つ、繋がないからっ!」
真っ赤になって叫ぶ美空を見て、紫雲が声を上げて笑った。
「ほら。美空さんも隣並んで」
美空の怒りを見事にスルーし、紫雲はスマホを目の前にかざした。
「全く……」
仕方なく言われた通り美空が翔の隣にしゃがむとすぐに、紫雲のカウントダウンが始まった。
「三……二……。待って」
「へ?」
「やっぱ、俺も入る」
言うなり紫雲は翔の隣にしゃがみ込んだ。
「翔。ここ見てろよ」
紫雲がスマホの画面を見せると、そこに映る自分の姿に、「しょうたん!」翔が嬉しそうに指をさした。
「うーん。この位置だとアライグマが入んないなぁ……」
微妙に位置をずらしていると、「撮りましょうか?」近くで男性の声がした。
「あなた撮れるの?」
「スマホくらい俺にだって使えるさ」
夫婦らしき年配の二人が、小さな声で揉めている。
「あの……。お願いしてもいいですか?」
すっと立ち上がると、紫雲は男性にスマホを渡した。
「よし。任せなさい」
男性は張り切ってスマホを構えると、「もっと左だな」右手をクイクイ動かし指示を出した。
「ああ、そこそこ。パパさん、もっとくっついて」
「パ、パパじゃ……」
慌てて訂正しようとする美空を制し、「はぁい!」紫雲がグッと顔を近づけた。
「いいね。にっこり笑って」
頬がくっつきそうな程近くに紫雲を感じ、美空は思わず息を呑んだ。翔の肩に当てた手が、僅かに震える。
「ママさん、リラックス」
男性が笑顔で声を掛けた。
美空が無理やり口角を上げた時、「みーたん、リラックスして」紫雲がそっと、美空の両手を包み込んだ。
声も出せずに隣を向いた美空の視界いっぱいに、紫雲の切れ長の大きな瞳が映った。
ねっ、と顔をくしゃくしゃにして笑う紫雲に、美空の心臓は今まで感じたこともないくらいの速さで脈を打つ。
「ほら、笑って」
二人が声のする方に顔を向けると同時に、「はい、チーズ」シャッターの切れる音がした。
「若いっていいなぁ。初々しい」
にこやかにスマホを返す男性に、「ありがとうございました」紫雲が丁寧に礼を言った。それを見て、慌てて美空も頭を下げた。
「それじゃ、お幸せに」
「あなたったら、余計なお世話よ」
二人は軽くお辞儀をすると、仲睦まじく歩いて行った。
「やっぱ親子に見えるのかぁ」
撮ってもらったばかりの画像を確認し、紫雲が独り言のように呟いた。
未だ残る紫雲の熱を両手に感じながら、「なんかごめんね」美空は困った顔で眉をひそめた。
「なんで謝んの?」
「だって……」
「別にいいじゃん」
「でも……」
「嫌なの?」
「嫌って言うより、申し訳ないよ。紫雲君まだ高校生なのに……」
「なぁんだ。そんなことか」
にっこり笑うと、紫雲は翔の頭に手を当てた。
「俺は別に気にしないよ。翔可愛いし」
「そういう問題じゃ……」
「俺がいいって言ってんだからいいじゃん。なぁ? 翔」
紫雲に頭をくしゃりと撫でられ、翔も「うん!」と笑顔で答えた。
「面白いじゃん。一日限定親子」
「面白いって……」
呆れ顔の美空をよそに、紫雲は翔の手を取ると、「行こうぜ」と仲良く歩き出した。
「ちょっとまっ……」
「みーたんも、手、繋ぐ?」
振り向きざまに、紫雲が右手を差し出した。
「つ、繋がないからっ!」
真っ赤になって叫ぶ美空を見て、紫雲が声を上げて笑った。
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