【完結】>自殺の報いに、世界を救いましょう!

まみ夜

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八戦

鏡像世界/ジャイアント・アント

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 久しぶりに、両手に装備の重さが加わる。
 とは言っても、同じ重さの装備で訓練していたので、違和感はない。
 むしろ、身体能力が増加されているので、軽く感じる。
 この差が、影響しないといいが。
「ガイドカーソルやで」
 矢印の方向に、シラヌイが走り出す。
 彼の盾は、ランドウのものより、かなり小さかった。
「壁になるから、ついてこいや!」
 作戦の指示もない。
 仕方なく、走りだしながら、
「えーと、メイジは後から来て。壁のヘイト見て魔法。ガンナーはメイジの前で攻撃。こっちもヘイトに気をつけて」
 生身より、体が軽いのが、初めて意識された。
 二人より先行して問題ないので、スピードを上げて、シラヌイの後を追う。
 ガイドカーソルが赤くなり、ジャイアント・アントの名前とバーが出た。
 こいつは!
「こいつ酸吐くから、避けて!」
 肉薄するシラヌイに叫ぶが、遅かった。
 蟻酸を吹きかけられ、転がる
「あっつい、あっついでー!」
 バーが残り四割程度に削れ、そこからもジリジリと下がる。
 酸の効果で、追加ダメージを受けているのだ。
 そのまま彼の脇を走り抜け、アントの脇に付き、脚の関節を狙った。
 太い針金を断ち切るような音がして、脚が一本、中ほどから切れる。
 咆哮を上げ、顎で襲ってくるが、スモール・シールドで、受け流し、逆に複眼に一撃入れた。
 二人が追い付いたので、頼む。
「逆サイドに移動しながら、ボール!」
 酸で溶けた装備にまみれて転がるシラヌイを見て、動きが止まったが、向こう側に動きながら、
「ファイアー・ボール!」
 ムラヤマの声が響く。
 アントの腹を焦がす。
 銃声がして、マキタがメイジの前で撃っている。
 そちらをアントが狙おうと、こっちが留守になったので、もう一本の脚を狙う。
 同じ方の脚二本を失って、アントは腹をついた。
「動きが鈍くなるはずだ。尻の方から、攻撃!」
 三人で時計回りに回って、二人が尻、こちらは頭を過ぎて、顎が届かない首から胸、脚を攻撃する。
 魔法と銃弾が、容赦なく降り注ぎ、アントは向きを変えようと足掻くが、脚が足りなくて動けない。
 蟻酸を吐ける範囲も限られているので、ダメージも受けない。
 あの四人は、どう戦ったのだろう。
 メイジが魔法を使いすぎて、ヒット・ポイントの減りを嗜めることはあったが、被害なく倒すことができた。

 バーが真っ黒になり、湯気のようなものを上げて、水鏡が現れた。
「おい、助けんかい!」
 鏡を通ろうとすると、怒鳴られた。
 シラヌイのバーは、まだ二割以上残っている。
 追加ダメージを心配して、戦闘を急いだのに、怒られるとは。
 まあ、その間、痛かっただろうけど、と肩をすくめて、戻ろうとすると、また怒鳴られた。
「動けんのじゃ、助けんかい!」
 ムラヤマとマキタがヒソヒソと、彼を罵っているのが聞こえてくる。
「聞こえてんやろ!」
「助けてください、じゃないかな?」
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