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決戦

現実世界

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 翌日から、通常通りの授業と訓練となった。
 やはり、皆も眠れなかったのか、午前中は欠伸混じりだった。
 午後の訓練は、間に四日空いているので、軽めではあったがキツく感じ、今夜はよく眠れそうだ。

 ダイブは、無期限で禁止となっている。
 組織の一部では、情報収集のために、ダイブさせたがっているようだが、実はこの建物には、前の施設でいう白いダイブ室が準備できていなかった。
 待機中にダイブを中止したくなった時のための、カメラ再起動のボタンを備えたベッドは、各部屋のカメラ優先で、設置できていなかったのだ。

 久しぶりの訓練で、テレビを見ながら、眠ってしまったようだ。

>起きてくださーい!

 少女の声が聞こえたような気がして、目が覚めた。
 なんとなく、建物内がざわついている。
 違和感を感じて、カーテンを開ける、と外は真っ暗だった。
 夜なので暗いのは当たり前なのだが、遠くに見える高層ビルまでが、真っ暗で見えなかった。
 大規模な停電?
 つまり、カメラは止まっている。
 早く部屋を出て、ジェネラル以外の人と合流しないと!
 ドアに向かって走り出すと、その前に水鏡が出現し、手をつかまれたように、強く引かれ、水鏡に吸い込まれた。
 鏡にぶつかる寸前、鏡像の僕が笑ったように見えた。
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